のび太の創世日記Ⅵの2[★★★]

[初出誌] 『のび太の創生日記』、「月刊コロコロコミック」19953月号、43頁、245コマ

[単行本]  『のび太の創生日記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.151995925日 初版第1刷発行、45頁、247コマ

[大全集] 『のび太の創生日記』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、45頁、247コマ

 

[梗概] 会談では、「はるか昔、地上世界は虫たちの楽園でした。ほかの生物たちがすべて海の中にひしめいていたころ、われわれの先祖は太陽の恵みとあふれるミドリを独占していたのです。

 

 そのまま時が過ぎれば、われわれは地上で進化し、地球は昆虫天国となるはずでした。ところが…約五億年前、奇怪な現象が起きたのです。その現象をわれわれは「神のいたずら」と呼んでいます」と大統領が博士に説明した。

 

 「神のいたずら」とは、「化石の研究でわかったのですが、ユーステノプテロンという魚が突然変異で両生類に進化したのをきっかけに、さまざまな動物がいっせいに地上に進出してきたのです。

 

 あっという間に地球はは虫類の天下になってしまった。虫たちは片すみに追いやられてしまいました。恐竜たちが絶滅したとおもったら、次は哺乳類の時代…。最後に人間が登場したのです」と大統領はかなり詳しく進化の過程を説明した。

 

 大統領は「片すみでひっそりと何億年生きのびてきたことか…。地底世界の発見がわれわれ昆虫類の運命を大きく変えたのです。われわれは地底でのびのびとくらし、進化しました。中でももっとも知能の発達したのが、われわれホモ・ハチビルスなのです。われわれの地底文明は地上世界以上のものです。…」

 

 「いつの日か昔のように火と光とミドリをとりもどせたらと…。そこへ最近われわれの平和がおびやかされることになったのです。蒸気機関やエンジンを発明した人間たちが石炭や石油を求め地下を掘り始め…、ついには南極の大穴まで、発見してしまった!! もうグズグズしていられない。われわれは地上世界をとりもどすためただちに行動をおこします!」と宣言することになった。

 

 ジャイアンやスネ夫がハチとカマキリにさらわれたとか、ビタノの卒業論文がどうのこうのと説明しても、ドラえもんたちにはさっぱり要領を得ないで理解できなかった。そこへ、ビタノがやってきてみんなに「神のいたずら」の内容を説明しだした。

 

 卒業論文のテーマとして、生物進化の歴史上で最大のなぞとされている五億年前のできごとの解明に取り組んだのです。ビタノはタイムマシンで五億年前の世界へ行き、現場と思われる所と時間を探しまわり川岸で手がかりをつかんだ。

 

 人間の足あと、魚のはねまわったあと、一本のカミの毛。ぼくはそれをタイムマシンの追跡装置にセットし…、カミの毛の落とし主を追った。おどろいたことにタイムマシンはまったく異次元の超空間にとびこみ…、ある町の小さな丘にたどりついた。

 

 このへんにいることがわかったので、さがしていると、ジャイアンが安雄とはる夫に「きいておどろくな。地球を造ってるんだぞ」という話を耳にし、論文のまとめをいそいでいたので、ジャイアンたちを誘拐することになった。

 

 ビタノはドラえもんのそっくりさんかと思える、「二十二世紀からきた未来のロボットエモドラン」をみんなに紹介した。すると、「ゴオン ゴオン ゴオン ゴオン」と空が騒々しくなってきたので、ビタノはドラえもんたちに「じつは今、地上と地底世界の会談は決裂し、ついに動員令がくだったらしい」と告げることになった。

 

 社長は会談から帰り、「われわれがこのまま地底に残るなら、国賓として永住をみとめるそうだ。地上に脱出しようとすれば、出口にたどりつく前に撃ち落とすと…。どっちを選ぶか話しあって返答しろというわけだ」と博士たちに報告した。

 

 大統領からの「野美氏に告げる。立場はちがうがあなたはすばらしい人物だ。失うにはおしい命だ。おりてきてください。みなさんを名誉地底人としてかんげいする」に対して、社長は「ありがたいがわれわれ地上人だ。全員最後まで地上人として行動します。全速浮上!!」との命令を下した。

 

 砲撃開始の合図とともに、「グ・グ・グ ドム ドム ・ドム」と飛行船に向けてはげしく攻撃してきた。「爆発するぞ!! 早くゴンドラの外へ!!」とかろうじて逃げ出すことができた。

 

 円盤が集まってきて最後の時がやってきた。すると、突然、社長が「源くん。今となってはておくれだが、ずっと前からいいたかったことがある。ぼくと結婚してくれませんか」、しず代も「社長…、よろこんで…」となった。

 

 「大統領、攻撃命令を、うむ…、やむを得んか…」と左手を「サッ」と挙げると、ビタノが「パパ!!」と声をかけてきた。ビタノは子どものくるところじゃないと言われたが、この世を作った神さまのことを聞いてほしいと大統領に強引に頼んでいた。のび太神さまがこのさわぎを聞いて、責任をとりたいとあざやかな解決法を大統領に差し出した。

 

 「神さまセット」を「フエルミラー」でコピーし、できてから約四十一億年の第三の地球に大統領自ら入ってもらうことにした。「陸上はまだ虫たちの天下です。どうです、新・新世界へ引っ越して、おもいどおりの文明をきづいてみては…」という提案であった。

 

 飛行船は残がいを「タイム・フロシキ」をかぶせて復元した。大統領は「神さまご一行と地上人諸君、さようなら!!」とエールを送ってくれた。社長から、「地上へ帰ったら、神さまのことをみんなに伝えます」と言われたが、のび太神さまは「いえ、わすれてください。そこまで大きく育った社会は、もうぼくの手におえません」と考えていた。

 

 「さ! がんばって絵日記を仕上げちゃいましょう」と言われると、のび太は「ひさしぶりに昼寝を楽しもうと思ったのに…」、ジャイアンとスネ夫が「おれも。ぼくも」と同意しると、しずちゃんから「なまけていると虫の世界のソックリさんにねらわれるわよ」と注意されてしまった。

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