のび太の創世日記Ⅵの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の創生日記』、「月刊コロコロコミック」19953月号、43頁、245コマ

[単行本]  『のび太の創生日記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.151995925日 初版第1刷発行、45頁、247コマ

[大全集] 『のび太の創生日記』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、45頁、247コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「作詞・武田鉄矢 『さようならに さようなら』」コマ挿入[164165]

 「文字なし」コマ挿入[166(1)]

 

[梗概] 女神になっていろんな国でいろんな体験をして帰ってきたしずちゃんは、一番たいへんだったのは伝染病であったと報告した。中世のヨーロッパではペストが大流行し、医学が発達していないので、毎日、何百人何千人の人が死んでいくので、「お医者ごっこカバン」の薬と消毒ガスをまいてやっと流行をストップさせることができた。

 

 お城の舞踏会に行けない女の子にカボチャの馬車を出したことも楽しい思い出の一つであった。しずちゃん神さまが困ったのは宗教戦争であり、どっちも「神さまのために」と言いながら殺し合ったという点である。

 

  ドラえもんは「ふしぎだったのは世界じゅうどの民族も、にたような伝説をもってたことだ。羽根の生えた小さな妖精とか。地底世界のいいつたえとか…」、さらには、かえらずの岩屋、白神さまのヨミの岩屋を挙げることができた。地底になにかあるので、明日はその秘密をさぐることになった。

 

 タイム・パトロールはただちに停止しなければ砲撃するぞと警告し、前方の三台で袋のネズミに追い込んでいた。「こんどこそなぞのタイムマシンの正体をみとどけてやる!!」と確信した時、ビタノ率いるタイムマシンはワープして超空間の支流に脱出してしまった。

 

 千年もたつと、京東という大都会では自動車や電車も発明され、機械文明の時代に入っていた。号外が配られていたので、もらって読んでみると、ドラえもんは「日本の出木松博士の作った気球が南極上空を飛んだというので世界じゅうが大騒ぎ…。え、えっ!? さらにおどろくべき大発見…南極点にポッカリ大穴が…」と、直径何キロもありそうな大穴が写真に出ていたが、信じられなかった。

 

 のび太神さまたちは野比奈の子孫である野美コンツェルン総本社を訪れた。出木松博士が社長秘書である源しず代に飾られてある銅像について尋ねていた。

 

 「社長のご先祖で野比奈さまとおっしゃいます。野美家の富の基礎をきづかれたとうかがっておりますわ」という回答であった。のび太神さまはしずちゃんのそっくりさんだけでなく、出木杉まで登場するので、少し腹を立てていた。

 

 野美のび秀社長は出木松博士の南極征服を、われわれも鼻が高いと言いながら大絶賛していた。博士が「次はぜひこの足で南極点に立たねばと。

 

 そのため、第二次探検隊の計画を…」、それに対して、社長は「計画書を拝見しました。巨大飛行船の建造や、探検隊の装備など、一切の資金はわが野美コンツェルンの総力をあげて協力いたしましょう」となった。

 

 野美社長は「わたしともうひとり隊員にくわえていただきたいのだが。秘書の源しず代くんです。女性だが、源は登山家だからおじゃまにはならんとおもいますよ」と博士に頼んでいる。

 

 のび太神さまは「だいじょうぶかなあ、南極なんかつれてって」、一方、しずちゃん神さまは「あなたに心配してもらう必要はありません」と自信をもって言い切っていた。

 

 「プカ プカ ドン ドン ジャン ジャカ ボン ボン」と盛大な見送りを受けて、巨大飛行船は太平洋を南へ、南へと飛行を開始した。ドラえもんたちは「神さま雲」に乗り、飛行船にしっかりつないではぐれないようにした。ドラえもんは「飛行船てのはじれったい乗物だねぇ」と思ったので、「ゴーゴーカザグルマ」を飛行船に取り付けた。

 

 飛行船はあっという間に南極に到着した。社長は「さすが博士の設計された飛行船だ。おどろくべき快速ですな」、博士も「いや、これは奇蹟です。自分でも信じられません」と語っていた。ドラえもんがひとまわりして様子を見てくると、「世界じゅうの探検隊が、南極めざしてまっしぐら! たぶん南極を自分の国の領土にするつもりだろ」という見解であった。

 

 猛烈な低気圧が接近していた。「ビュゴオ ゴオオ…」とすごい天候になってきた。社長は「南極のブリザードはものすごいと聞いていたが、これほどとは」、博士も「ぼくもこんなのは初めてです。まるで世界の終わりだ」と語っていた。「ビカ」と光り、ビルのような巨大な男…、怪物が目の前に現れた。

 

 巨大な怪物は「さがれ! 罪深き者どもよ。ここは神の土地である。聖域に足をふみ入れれば、たちまち神罰がくだるぞよ。ただちに立ちされ!!」と警告を発した。ドラえもんはひみつ道具『正体スコープ』を取り出した。

 

 このスコープはいろんな怪奇現象の正体を明らかにしてくれるものである。このスコープをのぞくと、小さな点がいっぱい動いており拡大してみると、ハチみたいな虫がまぼろしを見せていることがわかった。ドラえもんが「カチャ」とビーム線を発射すると、怪物は消えてしまった。

 

 飛行船が南極点に達し、問題の大穴が見えたので、まわりの岩盤にぶっけないように高度を下げていくと、底につくどころか空っぽが広がっていくような状況であった。下の方に光りがみえたので出口かもと思って入ってみることにした。

 

 「天地がひっくりかえって、さかさの世界だ!! みろ!! 地底にも太陽が!! おどろいたなあ…。地球の中に空があったなんて…」ということになった。

 

 博士も「地球空洞説」というのを聞いたことがあります。まさかと思ったがどうやらほんとだったらしいと驚きの発言となった。

 

 しばらくすると、空飛ぶ円盤が現れ、「地上世界のみなさん、地底世界へようこそ。大統領が会談をのぞんでいます。われわれにしたがって着陸してください」の指示があった。飛行船では、社長の「うたがっていてもきりがない。とにかくあってみようじゃないか」との結論になった。

 

 「代表者だけ飛行船をおりてください。大統領が会議場でお待ちしています」と再度指示が出たので、博士に代わって社長が話しあいの場に出ることになった。「おまたせしました、わたしが大統領です」と紹介して現れたのはハチであった。「地底世界の支配生物。学名をホモ・ハチビリスといいます。しかし、この姿では話しづらいかも…」と言いながら、ハチから人間に変身した。

 

 「神さま雲」に乗ったのび太たちは「いったいだれがこんな文明都市を…。たぶん昆虫たちが人間みたいに進化したんだろうね。いや、地上世界の人間より科学が発達しているみたい」となった。

 

 公園みたいだけど草も木も生えていないが、かわいい大きなキノコやコケなんかが生えていた。下界に、ふたりの姿、ジャイアンとスネ夫がいたので、声をかけると、ふたりはキョロキョロあたりを見渡していた。みんなが「石ころぼうし」をかぶっていたので見えなかったが、帽子を取ると、「心の友よ!!」と感激の対面となった。