のび太の創世日記Ⅴの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の創生日記』、「月刊コロコロコミック」19952月号、30頁、199コマ

[単行本]  『のび太の創生日記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.151995925日 初版第1刷発行、30頁、199コマ

[大全集] 『のび太の創生日記』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、30頁、199コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] すごい大都会であり、「UFOカメラ」が「ビ・ビ・ビ・ビ」とりっぱなお屋敷の上で止まったので、のび太は「これは貴族のやしきじゃないか!! すごい出世ぶりだなあ」と大感激していた。

 

 しかし、「おねがいでございます、そこをなんとか…」、「うるさい!! だまれ、野比奈。さっさと立ちされ!!」、「夏じゅうかかってあつめた薬草でございます。もう少しお代をいただきませんと冬がこせません」、「なんじゃ、まだいたのか。目ざわりだ、早くおっぱらえ!!」、「スネ麻呂さまァ!!」といった、のび太の先祖の悲惨なやりとりを目にすることになった。

 

 野比奈のじいさまが竹やぶにいると、「チュン チュン チュン」と鳴く、見なれぬ生き物と出会った。その生き物はひどいケガをしていたので、うちへつれ帰って手当をしようと考えた。

 

 うちのばあさまがたいへんな生き物ぎらいであったので、ひとまず、チュン子という名まえをつけて物置に隠しておくことにした。のび太神さまは心配になって物置に入ると、「じつに珍しい! 角なんか生やしてカブト虫みたい」な生き物であった。

 

 「お医者カバン」で診断すると、「右前肢オヨビ背中ニ深イ刀傷アリ。抗生物質ト栄養ダンゴヲアタエル」という結果が出た。「それを食べたら明日は動けるぞよ」とチュン子に伝えた。家から、ばあさまの「これっぽっちのお金でどうやってくらしていくんだよ!!」、じいさまの「明日、長者さまにお願いしてなんとかするから…」といった声が聞こえてきた、

 

 明日になると、じいさまは長者さまに、「アワでもヒエでもよろしいです。ほんのちょっぴりかしていただければ。この冬さえこせれば、来年はきっと! きっと!」とお願いしても、「だめ! だめ! だめ! ええい、しつっこいやつめ!!」となった。

 

 のび太神さまはひみつ道具『植物改造エキス』を木に注射すると、あっという間に花が咲いて、実がなった。じいさまが「こりゃいかん…。腹がへって目がまわって…」とひと休みすると、どこからともいいにおいがしてきた。

 

 目の前に珍しい木の実がなっていたので、「パカ」と割って食べてみるととてもうまいものであったので、たくさんの木の実を持って、チュン子やばあさまの待っている家に急いだ。

 

 その頃、夜の海で泳いでいて空から降りてきた怪物によって、ジャイアンとスネ夫はマユにされたが、タイムマシンで「ゴトン ゴトン ゴトン」と移動している時に、なんとかマユをやぶって外に出ることができた。

 

 じいさまの持って帰った木の実は天丼であったので、チュン子に食べさせると、「チュン! チュン!」と食べて、とても早く元気になることができた。まるで自分の子どものようにかわいがっていたけれども、チュン子が「パタ パタ」と飛ぼうとしたが、すぐ「ゴチン」と落っこちてしまった。

 

 ばあさまから「おまえさん! そんなところでさぼっていないで、さっさと薬草さがしにいっといで!!」と怒鳴られたので、じいさまはチュン子に「ばあさまにみつからんようしずかにしてなよ」と言いながら薬草採りに出掛けた。

 

 じいさまが帰ってくると、戸が開けっ放しであり、あたりを調べてもチュン子はどこにもいないので、ばあさまに尋ねると、「あの化け物ならおいだしたよ。ひっぱたいてやったら、泣きながら空高くとんでっちゃった」という返事だった。

 

 じいさまがチュン子を探しに出掛けたので、のび太神さまは最後までめんどうをみることにした。「たずね人ステッキ」を出し、チュン子のいる方角を教えてもらったので、じいさまをチュン子のいる方角へ誘導した。

 

 声がかれるほどチュン子の名を呼びながら探していると、遠くの方から「やさしいおじいさんはどこですか。チュン子をかわいがってくれたおじいさんはどこですか。チュン子のお宿はここですよ」という声が聞こえてきた。

 

 この岩屋の奥にチュン子がいて、おじいさんをおまちしているということだった。場所を尋ねると、里の人は「かえらずの岩屋」と呼んでいるそうですと言われたので、じいさまは「かえらずの岩屋」!? おそろしや! 入ったら二度とかえれぬときいたが…」と驚いてしまった。

 

 誘われて入るとチュン子がまっており、常世の国のおもてなしをお受けくださいと歓迎された。のび太神さまは「これが地底世界!? まるで竜宮城じゃないか! 夢みてるんじゃないかしら」と考えてしまった。

 

 宴の席で、じいさまは「チュン子がわれわれ一族の子どものようにかわいがっていたペットです。かってに都へ遊びにいったきりかえらないので心配していましたが、助けていただきほんとうにありがとうございました。今日はゆっくりおすごしください」と歓迎の辞を述べられた。

 

 スネ麻呂が「ついのみすぎてしまったわい、右大臣どののご病気をわしがピタリとなおしたらたいへんなおよろこびで…。これでわしのひょうばんはますます上がる。

 

 やがては宮中からもお召しが…、ウッシシシ」と牛舎の中でほくそ笑んでいると、スネ麻呂さま一大事でございます、大井山で紅葉狩りの最中にお姫さまがはぐれてお姿が見えないということであった。スネ麻呂は大井山には鬼が住むという、右大臣にお願いして山狩りをするようにと部下に命じた。

 

  野比奈じいさまはチュン子とわかれ、かえらずの岩屋のあるじであるご夫婦から「人間にもいい人がいるのね。まったくだ、あんな人ばかりなら人間族とも仲良くくらせるの…」と嘆きながら、「パッ パッ」とハチに変身した。

 

 じいさまが見たこともない宝物を持って家に帰り、ばあさまに「だから生き物は大事にしなくちゃいけないのだよ」と語ると、「ほんにおまえさまのいうとおりだねえ。こうなったら犬でも猫でもどんどんひろっておいでよ。さ、早くさがしにいっといで!!」となった。

 

 「今日こそはこの大井山に巣くう鬼どもを一匹残らず根絶やしにするのだ! 手柄をたてればおもいのままのほうびをつかわす。ふるえ、者ども!! えいえいお~!!」と歓声をあげた。

 

 かえらずの岩屋のあるじであるハチ夫婦は「これだから人間どもはしまつが悪い。この平和な山のどこに鬼がいるというのだ。このあたりも荒らされるのでしょうか。そうはさせぬ! かれらが鬼を信じるならばその鬼をみせてやろう!!」と決心した。

 

 鬼は七つの峯、七つの谷をくまなくさがしても見つからないので、右大臣の怒りをおそれた大将は「山に火をかけい。火と煙でせめるのじゃ」と指示を出した。

 

 すると、「ガハハハハ…・・」と山よりもでっかい鬼が現れ、「人間ども!! わしにくわれにきたか}と一喝すると、大将をはじめ、すべての兵士が鬼にふみつぶされたり、火にやかれたりして、懸命に逃げ惑った。

 

 松の根元でぐっすりねこんで、その後、山の中をさまよって迷子になっていた姫君か見つかった。大将は「みなの者よく聞け…。われわれは鬼のすみかをさがしあて斬りこんだ。勇ましくたたかい、一匹のこらず鬼をやっつけて姫を助けだした…。ということにするのだ、みんなわかったか。エイエイオ~!!」となった。

 

 タイムマシンの中には、「ききたいことがあって、ちょっとぼくらの国のぼくらの時代へきてほしいんだよ」と頼まれていたジャイアンとスネ夫が乗っていた。ジャイアンは「いっとくけどおれをさらっても身代金はでないからな」、スネ夫は「おうちにかえりたいよ~」とビタノに泣き喚いていた。

 

 「ブーッ ブーッ ブーッ」と警報が鳴ると、運転をしていたカマキリから、「びたのサン、マタたいむ・ぱとろーるガ…」の呼び出しがあったので、ビタノは人からハチに「パッ」と変身して、「なんとかふり切れ。人間なんかにつかまってたまるか」と、運転しているカマキリに指示を出している。