のび太の創世日記Ⅳの1[★★★]
[初出誌] 『のび太の創生日記』、「月刊コロコロコミック」1995年1月号、34頁、214コマ
[単行本] 『のび太の創生日記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.15」1995年9月25日 初版第1刷発行、34頁、214コマ
[大全集] 『のび太の創生日記』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 6」2012年5月30日 初版第1刷発行、34頁、214コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] 御神矢の落ちた家の娘が白神さまのいけにえになるということを聞いて、ドラえもんが「バショー扇」で「ビュウ ビュウ ゴオ」と扇ぐと、御神矢は人里離れた山奥へ飛んでいった。
お付きの者が「奇怪です。生けにえなど、いらぬという神のおおせでしょうか」、ヒメミコは「いーやそんなはずはない! 田畑の作物をみよ。今年はついに夏がこなかった。神の怒りが深くはげしいからだ!! お怒りをなだめぬかぎりわが国は亡びるぞよ!!……。矢の飛び去ったという双つ山を草の根わけてもさがせ!!」というお達しを出した。
兵士たちはさっそく双つ山の御神矢のいく先を探すことになった。のび太たちもタケコプターで追い掛けると、山奥に一軒家があり、その屋根に弓が刺さっていた。ドラえもんは白神さまの正体を突き止めるため、あえて矢を抜かないことにした。ヒメミコ女王が自ら生けにえを送り届けることになった。
ドラえもんは生けにえの娘さんの成り行きを見守り、そのうち何かいい方法が見つかるかもしれないと考えていた。
次の朝、女王一行は小川のそばでひと休みを取ったので、ドラえもんは高山地帯のため寒いので、ひみつ道具『エアコンボール』で温かくして、「グルメテーブルかけ」で好きな食べ物(お子さまランチ、ピザパイ、ドラ焼きどんぶり)をそれぞれ食べた。
「UFOカメラ」で女王さまが命令を出しているので、聞き取ると、死の国に通じているといわれる底なしの聖なる岩屋、ヨミの岩屋をめざしていることが明らかになった。
女王は「この国はおよそ三十年ごとに日照りや長雨、疫病などに見まわれる。そのたびに白神さまに生けにえをささげたのじゃ。あの岩屋は神の通り道じゃ。荒れ狂う吹雪とともに、白神さまはお姿をあらわされるのじゃ」と告げていた。
大急ぎで女王一行は出発し、岩屋の前で「オ~、天地をしらしめす大トコヨムシ白神のミコよ。われらのささげる生けにえをうけ入れたまえ。われらの国にとこしえの平安をもたらしたまえ。ジャラン ジャラン ウンガダラ ボエ~ ボーボー ベゾブラヨ オエロエハー グダ~ラ」と祈った。
雪が降り出したので、「白神さまの先ぶれじゃ。みなの者、大いそぎでひきあげるのじゃ!!」と、岩屋の前に生きにえの娘をおいて立ち去ってしまった。夜になり猛吹雪のため、生きにえが死んでしまうので、「エアコンボール」であたりを「パカパカ」と照らして暖かくした。
ウトウトしていたら、のび太そっくりの青年がたいまつをもってやってきた。「おれ、ノビ彦。スネ若隊長の命令でもどってきたのだ。……。その命令ってのがさ、白神さまが生けにえをちゃんと召し上がるまでみとどけこいっていうんだよ!! 人の命をなんだとおもってるんだ! ね、きみ、こんな国ほっといてふたりでどこかへにげないか。ね、きみ…。なんだ、イビキをかいてねてるのか。けっこう神経が太いんだね」と声をかけた。
「ギュル…ギュルルルル…」洞穴の奥からふたまたのムカデが現れたので、二人は「アレー、たすけてえ!!」と悲鳴を上げて逃げ出した。ドラえもんはひみつ道具『無敵ホコとタテ全自動式』を取り出して、二人でそれを使って巨大なムカデに戦いを挑んだ。
しかし、ホコもタテも巨大なムカデにはまったく役に立たなかった。しずちゃんの作戦を取り入れて、二つの顔をもったムカデをうまく誘導して、こま結びのようにこんがらせるというものであった。うまくこんがらせることができたので、自由な動きがとれなくなったムカデが洞穴の中へ逃げ出すので、追い掛けることにした。
洞穴が「ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ ドーン」と崩れ落ちて、大岩がトンネルを完全にふさいでしまった。岩の隙間から小さな虫みたいな生きものが出てきて、のび太のおしりを「ピュピュ ピュ」と刺した。
雪がやんだのでノビ彦がもどってみると、白神さまはどこにも見あたらず、生きにえの娘さんは「さては! おらが気絶してるまに、あんたがあのバケモンやっつけたんだね!? ンまー、なんとたのもしいお方! わたしのタイプだわ!!」と顔にかけていたベールをとって、「お嫁さんになってあげる~」、「ギャッ」、「まってえ。どこへいくのよ、わたしもつれてってえ!!」となった。
しずちゃんがふたまたムカデの絵を観察日記に描き、その解説も書いてくれた。その後、のび太のおしりがチクチク痛み出したので、ドラえもんが天眼鏡でそのトゲを調べると「矢」であった。「大きさからみて人間とはおもえない。虫みたいに小さくて頭のいい生物がいるのかしら」と推理していた。
「ジリリン ジリリン」と電話がかかってきたのでるとスネ夫からであった。「パパがきゅうに四丈半島の別荘へ行こうといいだしてさ」、ジャイアンといっしょに来ているという内容であった。二人が寝る前にひと泳ぎしている時、二匹のカマキリが熱心に監視していた。
きのうから五百年たっている世界に、今日も三人で出掛けることにした。のび太はノビ彦やその子孫がどうなっているか気がかりであり、一方、しずちゃんはそれぞれの国でいろんな文明が発展してきたので外国へ降りたいという希望を持っていた。
のび太は「スペアポケット」をドラえもんに黙ってもってきたので、「フエルミラーコンパクトタイプ」を出し、「神さまセット」をコピーした。しずちゃんを一人前の女神にして、ドラえもんといっしょに外国へいってもらうことにした。
のび太はノビ彦の髪の毛を一本持ってきたので、「UFOカメラ」に髪の毛のDNAを調べさせ、ノビ彦の子孫を見つけだしておくれと、空に放り投げると、「ピ・ピ・ピ・ピ ヒューン」と見つけ出し、東へ何百キロも引っ越していることがわかった。