のび太と夢幻三剣士Ⅳの1[★★★]

[初出誌] 『のび太と夢幻三剣士』、「月刊コロコロコミック」199312月号、26頁、170コマ

[単行本]  『のび太と夢幻三剣士』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.141994925日 初版第1刷発行、26頁、170コマ

[大全集] 『のび太と夢幻三剣士』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、26頁、170コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

 [梗概] ジャイトスは「おれはいそがしいんだぞ。コンサートツアーで、これから、アメリカ、イギリス、ロシア、中国へ…」、スネミスも「ぼくは家族旅行にでかけるところなんだ。スペース・シャトルを借り切って宇宙へ」といった文句を並べていた。

 

 ノビタニヤンが「ぼくらは夢幻三剣士。これから竜の血をあびて不死身になって、妖霊軍団と戦いにいくんだよ」と説明しても、「そんなのきいてないぞ! かってな夢をおしつけるな!」と抗議してきた。

 

 ドラえもんは電波が弱いと思って、「ピッ ピッ ピッ ピッ」と強めると、「そういえば…。そうだったかなあ…」と納得してもらうことができた。

 

 退治する竜はどこにいるかと質問されると、ノビタニヤンは「妖精のシルクが、なんにも教えずどこかへいっちゃったんだもの!!」という始末であった。

 

 その時、「ウガオーッ」と吠えながら巨大なクマが現れたので、みんなは逃げたが、ノビタニヤンひとり腰を抜かしてクマにつかまってしまった。そこへ先日助けたコグマがやってきて、事情を父ちゃんにくわしく話してくれた。

 

 巨大なクマが「むすこの恩人ともしらず、もうしわけねえことでがんす」とペコペコとノビタニヤンに頭を下げていた。みんなはさすが白銀の騎士と感心していた。

 

 ノビタニヤンが「ぼくたち竜退治にいくんだけど、竜の住所しらない?」と尋ねると、巨大なクマから「わるいこといわねえ。おやめなせえ。ぜーったい生きてかえれぬだから」と言われたが。「危険がわかってるが、いかなくちゃならないんだよ」と強く頼むと、竜の巣近くまで案内してくれることになった。

 

 その時、「ホーッ ホッホ ホーッ ホッホ」と木の上で、ノビタニヤンがどこかで見たことがあるような鳥がしきりに鳴いていた。

 

 グリム市の守備隊長は「必死に戦ったのですが…。妖霊軍の魔法にかかっては…。グリム市も敵の手に」となった。王さまが「白銀の剣士はまだか!! どこでなにをしてるんだ!!」と怒鳴っていると、係りの女性が「王女さまがベットに書き置きを残して」どこかへ消えてしまったと報告した。王女シズカリアは窓から逃げたと言うことが判明した。

 

 王女は橋の下にかくれ、「わるいけど、王女はもういないのよ。今日から剣士になったんだから」と決心し、近くにいた馬を借りて乗ってみると、「ヒヒヒーン」といななき、剣士は「きゃっ、たすけてえ。わたし馬の運転しらないのよ!!」と叫んで、どっかへ飛び出していった。

 

 クマは木を「ユッサユッサ」と揺すって果物を落としたり、川に入って「バシャッ バシャッ」と魚を取ったりしてくれたので、みんなはクマと旅していると、ハイキングみたいな気分を味わうことができた。ドラえもんが「とりよせバッグ」で次から次へといろんなものを出すので、みんなから絶大の人気を博した。

 

 ノビタニヤンひとり、「せっかくの夢がぶちこわしだい!!」と腹を立て、バックを投げ捨てると、ほうき星に引っかかって、どっかへ飛んで行ってしまった。ドラえもんが「おいかけるんだ!!」と命令すると、ほうきだけが追い掛けることになった。

 

 妖霊大帝は「この宇宙には、成り立った時からの定めがある。不死身の剣士の予言もそれだ。その剣士は、ひねりつぶしても、焼きつくしても、限りなく生きかえってわしに向かってくるはずだ。

 

 えーい、思っただけでもイライラする!!」と部下に当たり散らしていた。そこへ、「ホーッ、ホッホッ、ホッホ」とトリホーが帰ってきた。「予言どおり、剣士は目覚めの世界から、この夢宇宙にのりこんでまいりました。ホーッホッホ」と報告すると、大帝は「ばか者!!」とビーム線を浴びせた。

 

 「剣士が現れる前にそれを防ぐのが、おまえの役目ではないのか!! なにをしにいったのだ。おろか者めが!!

 

 それに対してトリホーは「剣士の出現は、だれにも動かすことのできない定めでございます。ですからわたしは目ざめの世界で、人間に姿を変えあの少年をさがして送りこみました。彼は強い剣士にはなれても、不死身にはなれません。ぜったいに! 妖霊大帝オドロームさまは永遠に夢宇宙を支配なされるのです。オーッホッホッホ」と進言した。

 

 竜の谷は遠くて、ドラえもんがめずらしく弱音を吐いた。そして、自分ひとり「タケコプター」で移動しようとしたので、ジャイアンに石をぶつけられて降参した。

 

 ジャイアンやスネ夫にもタケコプターを提供し、谷で竜に出くわしたらかならずあたる「手なげミサイル」を取り出したので、ノビタニヤンが「いいかげんにしろ!!」と怒鳴りつけたところで目がさめて、朝になってしまった。

 

 学校ではジャイアンもスネ夫も歩き疲れて、居眠りをして先生に叱られ、しずちゃんも放課後、走る馬にしがみついて三日三晩を動いたので、話す気にもならないくらい疲れていた。のび太は夢が乱れ始めたので、そのことをドラえもんに話すと、今朝からずーっと反省して、ある決心をしていた。

 

 ドラえもんは「四次元ポケット」をはずし、その上。「かくしボタン」を押すことに決めた。夢見る機のかくしボタンを押すと、「夢とほんとが入れかわるんだ。つまり、夢が現実の世界になって、今ここにこうしていることが夢になる」というものである。

 

 のび太が「しかし…、そうするともうこっちへかえれないの? ママやパパや先生や…」と質問すると、「話にくぎりがついたら、リモコンのかくしボタンをおすんだよ。またもとどおりになる」ということであった。のび太は「なるほど! 妖霊大帝をたおして、しずちゃんと結婚式をあげたらかえろう!」と夢がどんどんふくらんだ。

 

  クマさんは「ドロ ドロ ドロ ドロ」と音のする陰気くさい竜の谷まで案内してくれた。「竜は口から火をはきます。火をあびると石になるそうです。たったのひとりも生きかえった者はいないんでがんすよ」と注意すると、「それが白銀の剣士のつとめだからね。われら夢幻三剣士は天下無敵!! 魔法使いドラモンもついている!!」といってクマと別れた。

 

 「竜をやっつけるには、ヒゲを切ればいいんだ。ヘナヘナになっちゃう。なんだ、そんなのかんたんだい」と話していると、「グラ グラ グラ ドドドーツ」と一定の時間おいて吹き出す間けつ泉にノビタニヤンは吹っ飛ばされてしまった。

 

 みんながノビタニヤンを捜していると、火を浴びて石になっている兵士をたくさん目にすることになった。「ウオオ~ン」と竜が吠え、姿を現したので、ジャイトスが「うろたえるな!! ヒゲさえ切れば、あんなもん!」と突撃すると、「ゴオ」とスネミスとともに火を浴びてしまった。

 

 ノビタニヤンが気絶から目がさめると、「ウオオオ~ン」と吠えながら、ドラモンとノビタニヤンがかくれている岩の方へ竜がやってきた。