のび太と夢幻三剣士Ⅰの1[★★★]

[初出誌] 『のび太と夢幻三剣士』、「月刊コロコロコミック」19939月号、26頁、167コマ

[単行本]  『のび太と夢幻三剣士』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.141994925日 初版第1刷発行、26頁、167コマ

[大全集] 『のび太と夢幻三剣士』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、26頁、167コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] のび太が「あの深い霧の底にトコヤミの城がある。しずちゃんは、そこに閉じこめられてぼくらのたすけをまってるんだよ」と強く訴えても、ジャイアンやスネ夫はわかっているけれども、もともとむりな冒険だと主張して尻込みしていた。

 

 「ガルル… ガウ!!」とドライオンが吠えると、霧のそこから鬼火のように見える魔王軍のたいまつを掲げた大群がやってきた。ジャイアンとスネ夫が「もう逃げられないぞ。どーする、どーする」と狼狽していた。

 

 そこへ、突如黄金ハットが現れ、ナゾの黄金ハットを見てジャイアンもスネ夫もとてもびっくりしていた。そして、いくら黄金ハットでもあの大軍団には太刀打ちできないと考えていた。

 

 すると、黄金ハットは「正義はかならず勝つ!!」と叫び、ドライオンに乗って、「ズガッ ズガ ズガ」とまるでロケットみたいに突進して、大軍団をなぎ倒してしまった。

 

 巨大な怪物が現れたけれども、ドライオンから「そろそろおきて、顔をあらって、ごはん食べて学校へいかなくちゃ」と告げられた。

 

 黄金ハットは「これから最後の対決があって、しずちゃんをたすけてジャイアンたちに黄金ハットの正体を見せてアッといわせなくちゃ」と考えたので、「よーし。どうせぼくの夢だから、てっとり早くいこう。怪物は、たいして大きくなかったことにする」といって、怪物を退治し、「正義はかならず勝つのだ!!」と見得を切った。

 

 黄金ハットは「きみたち、なにか質問があったら早くききなさい」と強要すると、ジャイアンが「どうしたらそんなに強くなれるの?」と質問したので、「そんなことじゃなく! たとえばぼくの正体とか。いちおうきいてみるのが礼儀だろ」と催促した。

 

 「じゃあ、あんたはどこのだれですか?」と質問されたが、特別大サービスで顔を見せようとしたら、マスクが取れなくなってしまった。のび太のママから、「のび太!!」と呼ばれたので、顔を見せないで家に帰ることになってしまった。

 

 夢ではかっこよかったのび太も、学校では先生に立たされ、学校の帰りにはジャイアンとスネ夫にクモに脅かされ、「ギャア」と悲鳴をあげ、その上、石につまずいて「スッテン コロン」と転んで、みんなに「ワハハ アッハッハ」と笑われてしまった。

 

 家に帰るとのび太はドラえもんに「すぐかして!! けさの夢のつづきをみる道具!! 今日も学校でいやなことばかり。せめて夢の中だけでも、スネ夫やジャイアン、しずちゃんにかっこいいところみせたい?」と泣きついた。

 

 ドラえもんは「くだらない!! いくら夢の世界に逃げても、さめたらみじめになるだけじゃないか!! もっと現実世界でがんばらなくちゃ。つまらないこと考えてるひまに、宿題でもやりな」と冷たく突き放した。

 

 夕ご飯になっても帰ってこないので、心配になったドラえもんは交番に行ったり、いつもよく行くうら山に行ったりしたが、どこにものび太の姿を見かけることはなかった。

 

 「いつもろくな目にあわない、不幸な子なんだ。せめて夢の中で、楽しく遊ばせてあげればよかった。夢の世界で自信をとりもどせば、現実世界でもやる気になったかも…。とりかえしのつかないことをした。ぼくのばか! ばか! ばか!」と頭を叩いていると、のび太は「そんなに自分をせめるなよ。ぼくはなんとも思っていないよ」と気楽にドラえもんの頭をなでた。

 

 「今までどこにいたんだ!!」と怒鳴ると、「だれにもじゃまされすに夢をみようと、木にのぼったら、おっこちて目をまわしていたんだよ」ということであった。

 

 のび太はドラえもんからひみつ道具『気ままに夢見る機とアクセサリーセット』を出してもらった。最初にみた夢カセットは『ジュラシックプラネット』であり、予告編がついているからモニターで見ることにした。

 

 「鬼才スピルバーガー監督の贈るジュラシックプラネット。ボートは名もしらぬ星に!! そこにまちうけていたものは!? おそるべき恐竜たちの世界!! 次から次に襲いかかる大ピンチ。息つく間もない、冒険また冒険!! そして大スペクタクル!! 少年たちにあしたはあるのか!? 主人公はきみだ!! 白熱のクライマックスにチャレンジしよう!! ジャジャ ジャ~ン」で終わった。

 

 のび太はドラえもんにしずちゃんを助ける場面のある夢カセットを注文した。夢カセット『アトランチス最期の日』は「伝説の大陸アトランチスが海底に沈んだ時、主人公の少年が王女さまをたすけ、やがて新しい王国を作る」というのび太の期待通りの作品であった。のび太は頬にアンテナをつけ、いきなり本篇を見ることにした。

 

 のび太が羊飼いの少年(ノビウス)で登場した。この夢カセットではインストラクターであるドラえもんが夢に割り込むことができたので、「うっかりしてたけど、そろそろ夜明け…」と告げたので、のび太は「テープを早回しにして。いいとこだけでもみせてよ!!」とリクエストした。

 

 「ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ 大地震だ!! 世界の終わりだ!!」とみんなが叫んでいた。王女さまが海に沈んでいくと、ノビウスが海に飛びこんで王女さまを海上に連れ戻した。王女さまが「ノビウス! きてくれたのね」、「ぼくは命にかえても、王女さまをお守りしますよ」

 

 「あたし、もうだめ…。水がつめたくて…。こごえそう」、「しっかりして! 王女さま!! ? しめた! 水があたたかくなってきたぞ!」、ドラえもんはすぐにおねしょと気づき、「ワア、おきろ、おきろ!!」となった。パジャマ姿ののび太は「水びだしの夢をみると、よくやるんだよね…」とつぶやいていた。