のび太とブリキの迷宮Ⅳの1[★★]

[初出誌] 『のび太とブリキの迷宮』、「月刊コロコロコミック」199212月号、33頁、184コマ

[単行本]  『のび太とブリキの迷宮』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.131993825日 初版第1刷発行、35頁、193コマ

[大全集] 『のび太とブリキの迷宮』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、35頁、193コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「ワープを出るのです。目的地が近い」が「ワープ空間を出るのです。目的地が近い」に変更[289(3)]

「潜水艦があるよ。だけど……」が「潜水艦があるよ。でも…」に変更[293(7)]

 

「潜水艦!?いっぺん乗ってみたかった!!」、「だれが操縦するんだよ!!」、「これ全自動」コマ挿入[294(1)]

「文字なし」コマ挿入[294(3)]

「念のためにいうけど、危険な旅になりそうだ」、「やめるならいまのうちですよ」、「ぜったいにやめない!!」コマ挿入[295(4)]

 

「ドラえもん、もうすぐ助けに行くからね」、「ぶじでまっててくれよ、ドラえもん!!」コマ転置[295(5)]

「ドタ ドタ」コマ挿入[296(1)]

「北極海ヲウロウロシテイタラきりノ中カラミナレヌ島ガ…」コマ挿入[297(4)]

 

「北極海ヲサマヨッテイタラ、ナント! ぶりきん島が……」が「ナントソレガ、ぶりきん島!!」に変更[297(5)]

「ブ~ツ ブ~ツ ブ~ツ」挿入[297(6)]

「ザ・ザア…」コマ挿入[298(1)]

 

「は、早く艦内へ!!」、「ゴボ」コマ挿入[299(1)]

「は、早く艦内へ!!」が「ハッチしめて!!」に変更[299(2)]

「ゴボ ゴボ」コマ挿入[299(3)] 

「ミテオレ人間ドモ、コンドコソ最後ノヒトリマデモ!!」コマ挿入[300(3)]

 

[梗概] 宇宙に飛び去ったロケットをみんなはただ呆然と見送るばかりであった。「グラ グラ グラ」と大地が揺れだしたので、「大地震!!」と大騒ぎしていると、海が沈んでいくのではなく、島が空へ飛びあがり、「空飛ぶ島だ!!」となった。

 

 早く「どこでもトランク」を探さなければと思って行動していると、ホテルのウサギが開いていたトランクを「パチ」と締め、小さくなったトランクを「パク」と食べ、ホテルの方へ駆け出していった。

 

 みんなで追い掛けると、ホテルの前で、サピオ・ブリーキンと名乗る男が「ようこそ四人の戦士たち」と歓迎してくれた。そして、なぜか、「きみたちはチャモチャ星の人類を救うため、ナポギストラー一世の反乱軍と戦うのです」と命令されてしまった。

 

 みんなはなにか勘違いしているのではないかと猛烈に抗議すると、「だいじょうぶ。きみたちなら戦えます! 戦うため、すでにこのブリキン島はチャモチャ星にむかっているのです」と告げられた。

 

 みんなは地球に返してよと叫びながら、トランクを食べたウサギを追い掛けた。サピオが「乱暴しないで!!」と追い掛けると、二・三歩歩いてバッタと前に倒れてしまった。ブリキン支配人から、「ムリヲスルカラデス。かぷせるニオ入イリクダサイ」と言われるのを聞いて、みんなはビックリしてしまった。

 

 「チャオチャ星人はカプセルに入らないとなにもできないのです。自由に動きまわれるきみたちがうらやましい…」とサピオから言われた。のび太たちが選ばれた理由を尋ねると、「味方をもとめて宇宙をさがしまわりました。人間の住んでる星はほかにもたくさんありましたが…。やっと見つけたのがきみたちです」と言われた。

 

 のび太の「やるしかないだろ!! ドラえもんをたすけるためにも!!」という切なる願いによって、仲間に加わることになった。

 

 その頃、ドラえもんはきびしい取り調べを受けていた。サピオの話やホテルの地下の大迷宮のナゾを教えろと尋問されたが、ほんとになんにも知らないと答えても、「強情ナヤツ」とみなされ、電圧を最高に上げられ、「アジジジジジ。ハチャチャチャ。コテン」とぶっ倒れてしまった。

 

 尋問した人たちは「こんぴゅーたガヤケチャッタミタイデス。コリャモウドウニモナランナ。すくらっぷトシテ海ヘデモステチマエ」という最悪の事態になっていた。

 

 「昔はチャモチャ星もいい星でした。恵まれた自然の中で高い文明を育てていたのです。チャモチャ星人は争いを好まず、子どものように無邪気な明るい人びとでした。あそぶのが大すき。たのしいことが大すき。いつものんびり遊んでくらすのが夢でした」

 

「だから科学技術もその方向へどんどん進んでいったわけ。……。あらゆる仕事がロボットにまかされました。次から次へとべんりな新型ロボットが発明されていったけど…、そのうち発明するのもめんどくさくなっちゃって。発明家ロボット「ナボギストラー博士」を作ったのです。全身がほとんどコンピューターです」

 

 「博士は人間がさらに楽をするための発明をつづけます。人間は働く必要がなくなって、毎日が日曜日。最大の発明は「イメコン」です。これで人間はゆび一本動かさずにくらせることになりました」とサピオが語ると、のび太たちみんなは「天国だ!! ぼくらもそんな星に生まれたかった!!」と絶賛していた。

 

 楽園ではなく、その危険に真っ先に気づいたのがサピオの父、ガリオン・ブリーキン公爵であった。アンラック王にイメコンの使用の中止を訴えた。

 

 「人間の体は使わなければ、どんどん衰えていくのです。このままではロボットなしでは動けなくなってしまいます!!」と警告すると、ナボギストラー博士は「ゴ心配イリマセン。ソンナ時ノ対策ハデキテオリマス。コノかぷせるニノレバ、自由ニ動キマワレマス」と王に進言し、王から「すばらしい!! 全国民に一台ずつ作ってくれ!!」と言わしめている。

 

 公爵はそれに猛反対したが、聞き入られませんでした。しかし、 博士は公爵の気づきに大いなる警戒心を持っていた。

 

 カプセルはアッという間に全国に広がり、公爵は「このままでは人類が滅びてしまう。あの研究を一日も早く完成させねば」と、一家で別荘のブリキン島へ出かけることになった。

 

 地下室にはご先祖の作った全長百八十四キロの大迷路があり、過去に何百人が挑戦してもクリアーできなかった大迷路を、公爵一家はガイド・マウスの力を借りて中央ホールにたどりつくことができた。

 

 ほぼ一年間の地底暮らしで、公爵はその研究を完成し、大至急王さまにおあいしなければならんと言いながら別れたのが、サピオが見た両親の最後の姿であった。

 

 テレビを見ていたら、「ワガハイハチャチャモ星皇帝なぼぎすとらー一世デアル。人間ノ時代ハオワッタ。ろぼっとノ世紀ガハジマルノダ! 役タタズノ人間ドモニカワッテワレワレガ世界ヲセイフクスルノダ!!」といったニュースが流れた。

 

 ロボットの反乱で、王宮へ出かけたサピオの両親の安否が危惧された。空飛ぶ島(ブリキン島)もワープ空間を出る知らせがあったので、目的地チャモチャ星に近いところまでやってきていた。

 

 チャモチャ星の皇帝はブリキン島が消えたという知らせを受けて激怒していた。皇帝は「地球人ガさぴおニ味方スレバ、ユダンデキナイゾ。陸モ空モ海モ厳重ナ監視態勢ヲトレ」との指令を発していた。

 

 サピオたちは一年中霧に閉ざされていて、船も飛行機もめったに近づかない北極海に着陸して、身を隠していた。サピオはみんなにふたつの問題を指摘した。ひとつは父の発明についてくわしく聞かされていない、もうひとつは町のようすがわからなくて、父たちがどこにいるのかもわからないというものであった。

 

 情報を集めるため、サピオ、のび太、しずちゃんは迷宮の研究室へ、ジャイアンとスネ夫は町に潜入することになった。

 

 ホテルのウサギ(タップ)に作りかけのロボットのボディを持ってきてもらい、ジャイアンとスネ夫がロボットに変装して、潜水艦に乗って町の様子を探りに出かけた。サピオたちはタップに食料を詰め込んでもらい、その上、ガイド・マウスの助けを借りて、大迷路の危険な旅に出かけた。