のび太とブリキの迷宮Ⅱの1[★★]
[初出誌] 『のび太とブリキの迷宮』、「月刊コロコロコミック」1992年10月号、25頁、166コマ
[単行本] 『のび太とブリキの迷宮』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.13」1993年8月25日 初版第1刷発行、25頁、166コマ
[大全集] 『のび太とブリキの迷宮』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 5」2012年3月28日 初版第1刷発行、25頁、166コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] 車から降りてホテルに入ると、「ポコン ペコン」とブリキの音がし、もしかして、これがブリキンホテルではないかと思った。
玄関にカギがかかっていたので、トランクのカギで「カチャ」と開けると、とつぜん、「パンパカパ~ン」のファンファーレとともに、「野比のび助サマ。ワタシ、支配人ノぶりきんトモウシマス。ヨウコソぶりきんほてるヘ」と歓迎された。ふたりはブリキン人形がしゃべったのでとてもびっくりした。
一階から四階までどの部屋も空いていて自由に使うことができた。ふたりはホテル代が心配になったが、「開業記念無料さーびす期間中ダカラ」ということでただで使用することができた。係のウサギさんより、「ドノヘヤモスキニツカッテイイケド、ゼーッタイニ…、地下室ダケハノゾカナイデネ」と注意された。
目の前が海であったので、「ジャバ ジャバ ジャバ」と海へ入ったが、いつものようにすぐおぼれたので、のび太は砂浜で砂遊びをしていた。「ジー ジー」とブリキのカメがやってきたので、背中に乗せてもらって、浦島太郎のように海を楽しく散歩することができた。
オモチャの料理なんてブリキかロウ細工かと心配していたが、本格的なとてもうまい食事をごちそうになることになった。こんないいホテルがなぜガラ空きなのかと尋ねると、「開業シタバッカリデ…。ソレニ宣伝費モナイモノダカラ…、てれび局ニナイショデ真夜中ニこまーしゃるヲ…。ヨカッタラオ友ダチドンドンツレテキテホシイワケ」とのことだった。
食後は山でスキーをすることになった。ゾウのオモチャで山まで送ってもらうことにした。「コロコロ コロ」と歩いていると、草木も花もみんな作り物であり、二十二世紀の地球の科学じゃとても作れそうもない物ばかりであった。
トンネルをくぐると…、一面の雪景色であった。ドラえもんはのび太にいつものように、練習をしなくても転ばない、くたびれないスキーを出してと頼まれ、つい根負けしてひみつ道具『ウルトラバランススキー』を出すことになった。
説明も聞かないでスキーを始めると、上り坂でもどんどん登り、谷も「ヤッホー」でひとっとび、ジェット機より速いのではないかと滑っていると、「ギューン」とスピードアップし、「どうしたら止まるんだ。息もできないよ。ドラえもーん!!」となってしまった。
ドラえもんは迷子になったのび太をさがしていると、「カタ カタ カタ カタ」とブリキ製の飛行船がやってきた。「おーい おーい」と手を振ると、飛行船から「ポン シュパ シュパ」と発射された光線に直撃され、ドラえもんは奈落の底へ突き落とされてしまった。
のび太はスポンジの茂みに突っ込んだので、どこもケガするところはなかった。ドラえも~んと何度も叫んだけれども、まったく反応がなかった。「カタ カタ カタ」と飛行船がやってきたので追い掛けたが、雪の斜面で「スッテン コロ コロ」と転んで、飛行船を見失ってしまった。
悲嘆にくれていると、目の前に雪ダルマが現れ、のび太をおんぶして、ゾウのオモチャのいるところまで連れて行ってもらって、ブリキンホテルに帰ることができた。
ホテルに戻ると、ドラえもんはもちろんのこと、ウサギやブリキの支配人など誰ひとりいない状態であった。ぜったいのぞくなと言われた地下室へ行ってみると、ドアが「ウハハハハハ…。ヨクキタナ。ココハアノ世ヘ通ジル大迷路ノ入リ口ダ。クグレバ二度ト生キテカエレナイ。ソレヲショウチノウエナラバ、サア、入イルガヨイ。ウハハハハ…」と喚いた。
のび太は変なホテルだと思ってどこでもドアらしき物に飛びこんで、「バタン」とトランクを閉めた。
家に帰って押し入れを調べたり、ママに尋ねたり、ドカンの広場で遊んでいたジャイアンやスネ夫に尋ねても、どこにもドラえもんを見つけることができなかった。のび太は大いに反省し、そこまでやるのと思ったが、「ドラえもんなんかいなくても平気だもん!!」と強気の態度をとっていた。
そのころ、ドラえもんは兵士たちにつかまって、ロープで縛られて台車の上に乗せられていた。失神から目がさめたドラえもんは「体が動かない…、ワー、なんだなんだ!! どうなってんだ!?」と大騒ぎしていた。