のび太と雲の王国Ⅴの2[★★★]
[初出誌] 『のび太と雲の王国』、「ドラえもんクラブ2号」1994年5月1日、75頁、437コマ
[単行本] 『のび太と雲の王国』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.12」1994年7月25日 初版第1刷発行、75頁、437コマ
[大全集] 『のび太と雲の王国』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 5」2012年3月28日 初版第1刷発行、75頁、437コマ
[梗概] ドラえもんは天上人に洪水をやめさせる方法としてひみつ道具『雲もどしガス』の使用を考えていた。このガスを使うと、天上世界はあとかたもなく消えてしまうものである。
のび太が強引に反対すると、ドラえもんは「力には力だ。話し合おうと思っても天上人とつりあうだけこっちも強くしないと相手にされないだろ」という論理であったが、このガスはこっちの切り札であったが、あくまでもおどしのためのものであった。
天上人のパトカーに追いつめられた密猟犯は雲の王国に突っ込んできた。天上人が「地上人もうこれまでだ。あきらめてわれわれにしたがいなさい」の警告を聞いたのび太は、モーターボートに乗って、「ここは、ぼくの王国だ。かってなことはさせないぞ!!」と警告すると、天上人は全員一斉に引き上げることになった。
密猟犯はのび太とドラえもんにノア計画の陰謀を企んでいると告げ、おれたちはその実験にとらえられたと訴え、二人はそのことを納得することになった。そして、こちらの切り札である「雲もどすガスタンクやガス砲」を密猟犯に案内した。
密猟犯が「今すぐぶっぱなそうじゃないか」と訴えると、のび太は「おどかすだけでほんとにつかう気はないんだよ。らんぼうすると追いだすぞ!!」と厳命すると、密猟犯は全員正座して「ハハーッ」となった。
密猟犯は「なぜさからえねぇ。くやしいなあみすみす強力な武器があるのにつかえないなんって……。なんとかやつらの秘密をさぐりだそう!」と知恵を絞った。
ドラえもんとのび太はあす正式に天上人と交渉する計画を立てていた。ドラえもんがあの四人、おとなしくしてるといいが…」と心配すると、のび太が「この王かんをかぶっているかぎり、ぼくの命令にさからえないんだから」と発言した。その発言をドアの外で、こっそり密猟犯のひとりが聞いていた。
「きみたちの雲の王国は天上警察が包囲した。いつまでも手向かうなら総攻撃にうつるぞ!!」と警告してきた。それに対して、ドラえもんは「天上人くん、その前に王宮のバルコニーをみてごらん。巨大な砲身がそびえてるはずだ。
これは「雲もどしガス砲」といってね、天上世界を煙のように消してしまう力があるんだ。ただちにノア計画を中止しなさい。さもないとガス弾が世界の空にとびかうことになる」と逆警告をした。天上警察は「中央州に連絡して指示をあおぎたい」と連絡してきた。
密猟犯は釣り針をつかってのび太の王冠を「スポ」と奪ってしまった。天上界では、「地上人がノア計画の中止を求めています。ことわれば雲もどしガスで天上界は全滅と…。地上人は雲の王国から巨大な大砲で…」といったテレビニュースが流れた。
それを見たしずちゃん、ジャイアン、スネ夫やパルパルはやめさせなくちゃと考えて、雲の王国に急いだ。
大統領たちが善後策を検討しているとき、「絶滅動物を一匹残らずひきわたせ。おどしでないしょうこにガス砲を一発射ってみせる」といった新しい要求が届いた。「雲もどし砲」がほんとに発射され、「エネルギー州は地上人の攻撃で消滅した。各州も厳戒態勢に入れ!!」といった指令が出された。
そんなことが信じられないしずちゃんたちは雲の王国にのりこんで密猟犯に訴えると、逆につかまって全員、ドラえもんやのび太の入っていた牢に入れられてしまった。ドラえもんははじめてガス弾が使われたことをしずちゃんから聞いて、あんなものだしたのが悪かった。ぼくの責任だァ!!」と叫んで、ドアに「ゴン ガン ゴン ガン」と突撃した。
すごい石頭でドアをひしゃげちゃったので、ドラえもんは「そうか! ぼくには石頭という、最後の武器があった!! ぼくがとびだしたらみんなはすぐ、UFOにのって!」とのび太に告げ、「責任をとるんだ。バアン ワ~ッ ワ~ッ ダ ダ ダ シュル シュル シュル ボボム」とガス弾のタンクに激突した。
ガスが王国一面に広がって、雲の王国はまるで地震のように「ド・ド・ド・ド…」と崩れ落ちた。
ドラえもんさんは今意識不明の重体です。自分を犠牲にして天上世界を守ってくれたためです。新しい証人がドンジャラ村からやってきてくれました。
「ぼくらが住んでた森を追われたとき、のび太さんたちが…。一族をアマゾンの奥地につれていってくれ新ドンジャラ村を作ってくれました」、モアくんとドードー鳥も「安心してくらせる無人島を作ってもらったんだよな」と証言してくれた。
植物星大使がドラえもんに緑の光線を「ジ…」と浴びせると、「パチ」と目を覚まし、意識を回復させることができた。大使が「のび太さんドラえもんさん。わたしをおわすれですか?」と尋ねると、ふたりはすぐに「キー坊!?」と気づいた。
大使は「みなさん実はわたしは地球出身なのです。まだ苗木のころこのふたりに命を助けられました。そして動けるようにしてもらい、知性もあたえられました。やがて植物星のロケットが地球をおとずれた時、わたしはその文明を学ぶため、留学生として地球をはなれたのです」
「みなさんたしかに地球の自然は破壊されつつあります。しかし一方では自然を守ろうと努力している人たちも増えつつあるのです。ゆっくりですが前進していることはたしかです。もうしばらくその動きを見守ってあげるわけにはいきませんか。ノア計画の中止を」と訴えた。
議会は満場一致でノア計画中止を議決しました。「植物星が移民を受け入れてくれるので、わたしたち天上人はしばらく地球をはなれることになったの」、パルパルは「水や空気がもとどおりきれいになったらかえってくるわ」と言ってみんなと別れることになった。
「昨夜おそく世界各地でふしぎな現象がみられました。地表から空へ飛ぶあべこべの流星群が観測され…」といったテレビニュースが流れた。移民団が出発した証拠であった。
ドラえもんとのび太は空を見上げながら、「むかしの人が夢みたように雲の上には国があった。今は空っぽ…。でも…、もう一度とりもどそうよ。天国の夢をぼくたちの手で!!」と確認するふたりであった。
[C12115・L05119・109405:01]