のび太と雲の王国Ⅳの1[★★★]

[初出誌] 『のび太と雲の王国』、「月刊コロコロコミック」19921月号、29頁、188コマ

[単行本]  『のび太と雲の王国』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.121994725日 初版第1刷発行、29頁、188コマ

[大全集] 『のび太と雲の王国』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、29頁、188コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] マンモスに乗った女の人が「地上のみなさん、ようこそ天上世界へ」とあいさつをした。みんなは「天上世界? 地上人!? するときみは天上人!? ここは天国!?」と質問した。

 

 すると、「そういうことかしら」と回答したので、のび太は「ほーらみろ! ほーらみろ! やっぱり天国はあったんだ!!」とみんなに自慢した。 

 

 天上世界はいくつもの州にわかれ、地球の空の上に散らばっているということであった。この雲は絶滅動物保護州になっていたので、フクロオオカミ、クアッガ、ジャイアントモア、メガテリウム、スミロドン、ネス湖からきのう連れてきたネッシーを見ることができた。

 

 管理員のパルパルがみんなを宿舎に連れて、グリオに紹介すると、グリオは開口一番、「こまったことをしてくれた!」とみんなの前で言い切った。

 

 グリオはパルパルに、「天上世界のようすをさぐりにきたスパイかもしれない。とにかくノア計画がまもなく実行されるんだ。二度と地上へかえすわけにはいかん」と厳命したので、パルパルはみんなに「せっかくきたんだから天国をあちこち見学していかないか?」と誘いをかけていた。

 

 おいしい夕食をごちそうになったあと、みんなはすばらしい寝室を紹介された。赤いボタンを押すと雲のベッド、黄色いボタンはムードミュージック、白いボタンはルームライトであった。青いボタンを押すと、かべが透き通って一面の星空がみ見えた。

 

 とてもきれいな星空を見とれていると、UFOが現れ、みんなが「宇宙人の襲来!?」と騒いでいると、突然グリオが現れ、よけいな物を見るんじゃないと消して、ドアを「バタン」と閉めて出て行ってしまった。

 

 みんな感じ悪いなあと思った。スネ夫がどうしても見たい番組があるのでテレビを借りに行こうと思って、ドアを開けようとしたがカギがかかっていた。とじ込められたらしいとみんなは思ったので、ドラえもんは「とおりぬけフープ」を出して、ぼくらの王国を探しに出掛けた。

 

 「ビ・ビ・ビ…」とあちらこちらに雷雲が発生し、カミナリが「ビシャン」とドラえもんを直撃し、ドラえもんは落下してしまった。それ以外の者も、次から次へと発生したカミナリに「ビシャ バリ バリ バリビシャーン」と直撃された。

 

 のび太は雲の地面に「ポーン」とはずんで着地しため、けがはなかったが、「飛行スカーフはボロ ボロ」になってしまった。

 

 警報が「フォーッフォーッフォーッ」と鳴り響いたので、グリオとパルパルは逃げ出した地上人を追い掛けることになった。森の中で、「だれかァ、助けてぇ!!」という叫び声が聞こえたので行ってみると、ドードー鳥を「お化け鳥だ!!」とスネ夫とジャイアンが騒いでいた。

 

 そこへしずちゃんがやってきた。パルパルの「あと二人は?」の質問に対しては、「どこかへおちたのはたしかなんだけど…」と答えるのが精一杯であった。

 

 グリオが「なぜにげた」と問い詰めると、ジャイアンは「そっちがカギなんかかけるから頭にきたんだよ!!」と反撃した。パルパルが「外はけっこう危険だから」と援護すると、ジャイアンは「よけいなおせわだ。おれたちゃ自由なんだ。帰りたいときに帰るんだ!!」と訴えた。

 

 グリオが「いいだろ! そこまでいうならかってに帰りなさい」と突き放すと、まわりに得体のしれない動物が「ギャ ギャ ギャ フーウ フーウ」と不気味な唸り声をあげたので、みんなは帰ることをしばらく延期することにした。

 

 やっと夜が明けたので、のび太はドラえもんを探しに出掛けた。ドラえもんなら「たずね人ステッキ」を使うだろうと思って、近くに落ちていた木を「ドラえもんはどこ?」と投げつけると、「ゴチン」とドラえもんに当たり、「レダガナノコンケタブツ!!」と喚き、のび太が近よると、その木で「ピシリ」と殴り、「アップクプーのチンチロリン」と言いながら逃げようとした。

 

 のび太がドラえもんをつかまえて、「なかまをみつけて地上へかえらなくちゃならないんだ! そのための道具をだして!」と頼むと、「ドーグ? アプアプ ギャハハハハ。ゲラゲラゲラ」とビックリ箱のお化けをポケットから出している。

 

 「ラリパッパー」と叫んで逃げるドラえもんを追い掛けていたら、ドンジャラ村のホイくんから声を掛けられた。ホイくんたちはアマゾンの奥地にドラえもんに案内されて、新しい町を作ってもらったが、アマゾンの奥地にも高速道路や発電所が作られ、困っていたら天上人がきて雲の上へつれてきてくれ、すぐ近くに新しいドンジャラ村を作ってくれたと報告している。

 

 しずちゃんたちはパルパルの円盤に乗って中央州を目指した。中央州は美しい大都会で天上界の首都のあるところであった。パルパルは「天上連邦は十二の州でできているの。地球の空一面にちらばり、本物の雲にまぎれて浮かんでいるのよ。

 

 だから地上人にはぜったいに発見できないの。目の前の雲はいつも超高空を地球の自転にあわせて、…つまりいつも陽の光をあびながら浮かんでいる。…。一面に太陽電池をしきつめ、マイクロ波で各州にエネルギーを送り出しているという話であった。

 

 ドラえもんとのび太は新ドンジャラ村でホイくん一家から歓迎の宴を開いてもらっていた。ホイくんのパパから一緒に住みませんかと誘われたが、のび太が「家族が心配するし、ドラえもんの故障も直さないと…」と断った。

 

 すると、パパは「しかし、帰れますかな…、ここは雲の上ですから」と心配すると、ホイくんが「でもぜったいにむりだとはいえないと思うよ。このあいだも南の島の少年がグリプトドンにのって」という話をしたので、のび太は「その話をくわしく教えて!!」と頼み込んだ。

 

 しずちゃんたちの乗った円盤が「中央州中央市中央空港に到着したので、外を見ると、「えーっ、雲の上にこんな大都会が!?」と驚くような光景が目の前に広がっていた。