のび太と雲の王国Ⅲの1[★★★]

[初出誌] 『のび太と雲の王国』、「月刊コロコロコミック」199112月号、24頁、166コマ

[単行本]  『のび太と雲の王国』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.121994725日 初版第1刷発行、24頁、166コマ

[大全集] 『のび太と雲の王国』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、24頁、166コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「しずかちゃん」が「しずちゃん」に変更[82(1)]

 

 [梗概] 吹雪の中から、人間を乗せた巨大なカメが近づいてきた。カメは変温動物であるのでこんな寒いところは動き回ることができないと思ったが、どうみてもカメにしか見えなかった。「ゴソリ ゴソリ」と近づいてきたので、カメの正面に出てドラえもんが「止まれーっ!!」と叫ぶと、「ズボ」と前足で雪の中に押しこめられてしまった。

 

 まるで戦車のように、「ゴソリ ゴソリ」と動きながら、男の子を振り落として吹雪の中へ消えていった。

 

 山にひかかってた部分をはずし、男の子を収容し、「お医者カバン」で診断すると、病名は単なる気絶で、原因は寒くて腹ぺこでひどく疲れたから、治療法は栄養ドリンクを飲ませ、暖めることだとなった。

 

 もう夜になったので、みんなは大騒ぎしていると、ドラえもんは「どこでもドア」の「時差調節ダイヤル」を操作して、家を出た時間まで戻してくれた。しずちゃんの発案で、宿題をみんなでやることにし、なんとかがんばって全部終えることができた。

 

 みんなはたっぷり遊んで宿題も終わらせることができたので、今日ととても充実した一日であった。のび太のママからも、「たいへんけっこうです。これから毎日そうしなさい」と激励されることになった。

 

 ドラえもんが謎の動物を「宇宙完全大百科」で調べると、グリプトドンと判明し、「カメに似ているが装甲貧歯目とよばれる哺乳類であった。始新世に現れ北米南部・南米に分布。完新世(今から六千年前)に人類に狩りつくされ絶滅…」と記されてあった。

 

 その晩天上人が雲の王国にやってきて、短期間にすばらしい町を築いたので警戒しなければいけないと考えた。グリプトドンは無事つれもどしたけれども、あの子をさがさなくちゃと城の中を調査して、なんとかつれもどすことに成功した。

 

 次の日どこでもドアで出掛けると、男の子はどこを探しても見つけることができなかった。ドラえもんはこの国のどこかにいることが確かだから、ひみつ道具の『まいごさがし機ごはんだよー』を出した。

 

 この機械の出すにおいが国中に広がって腹ぺこの人を誘い寄せるものである。時間もかかりそうなので、この素晴らしい国がとてもいい天気であったので、なにか開催しようということになった。

 

 スネ夫は雲の王国建国記念テニス大会、しずちゃんは建国記念スケッチ大会、ジャイアンは建国記念ジャイアンリサイタル、のび太は昼寝となった。スネ夫が「よせよ、くだらない!!」、ジャイアンは「くだら…な、な、なんだって!! もういっぺんいってみろ!!」、スネ夫は「なんべんでもいってやる! きみのオンチにはみんながめいわくしてるんだ。この国ではぜったいに歌わせないからな!!

 

 ジャイアンは「ウ・ウ…ヌ・ヌ…、ク・ク…」となり、まわりのものは「だめよ、そこまでほんとのことを。命にかかわるぞ!あやまっちゃえ、早く!!」となだめたが、スネ夫が「平気だもん、ぼく、三百株の大株主だもん。株式国家では大株主が一番えらいんだ」と言うと、ジャイアンはスネ夫の頭を「ゴチン」とゲンコツで殴り、「うるせえ!! カブヌシもカブトムシもあるか!!」と追い掛けだした。

 

 ドラえもんがひみつ道具『雲の国王冠と飛行スカーフ』を「スポ」とのび太にかぶせた。「雲の国にいるうちは、その王冠をかぶった者のいうことにだれもさからえない」というものである。

 

 ソーラーボートで追いかけるジャイアンに対して、のび太が「やめろ!!}と命ずると、ジャイアンは正座して両手をついでのび太に謝ることになった。

 

 花火が「ポン ポン ポーン」とあがる中、国王になったのび太は雲ロボットを前に、「みんなで力をあわせて平和ですみよい夢の国を作ろうね」と演説している。そして、しずちゃんを王妃、ドラえもんを総理大臣、スネ夫をナンデモ大臣、ジャイアンを召使いに任命した。

 

 男の子がひみつ道具「ごはんだよー」によってもまだ出てこないので、グリプトドンから手がかりをつかむため、「ゴーゴーカザグルマ」で北アルプスの槍ヶ岳へ向かった。

 

 高度を下げて着陸し、みんなで男の子を捜しに出掛けた。どこを捜しても見つからないので、みんなが雲の王国に戻ってみると、風に流されてどこにも見つからなかった。

 

 外からはただの雲にしかみえないので、あちこちを捜していると、のび太が少し様子は違うが、中に入ってみると、絶滅した「ドードー鳥」が「トコ トコ トコ」歩いていた。しばらくすると、「ズシン…ズシン…ズシン」と目の前に巨大なマンモスが現れた。