のび太のドラビアンナイトⅣの1[★★★]
[初出誌] 『のび太のドラビアンナイト』、「月刊コロコロコミック」1990年12月号、30頁、186コマ
[単行本] 『のび太のドラビアンナイト』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.11」1991年8月25日 初版第1刷発行、33頁、190コマ
[大全集] 『のび太のドラビアンナイト』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 4」2011年12月27日 初版第1刷発行、33頁、190コマ
【初出誌vs.大全集】
「それにしてもそろそろ限界だ」、「気のせいか足のほうからもうミイラになりかけてるような……」、「がんばれ!さいごのさいごまでのぞみをすてるな!!」コマ挿入[491(5)]
「作詞・武田鉄矢 『夢のゆくえ』」コマ挿入[492・493)]
「逃げろ!!」コマ挿入[495(1)]
「ぼくの目はあてにならない」、「ぼくの目はあてにならない……」が「またへんなものがみえる」、「あてにならない目だなあ…」に変更[495(2)]
「ブワ~ッ」コマ挿入[496(5)]
[梗概] 大荒れの海上で、バッグから手も足も出ない状態で大波に翻弄されるので、ドラえもんはみんなに「あんまりしゃべるな! しゃべると舌をかむぞ!!」と注意するのが精一杯であった。「ゲベ…ゴボ…。もう…だめ…ゴボ…」となり、海上では「ビュウ ゴ・ゴ・ゴオ… ド・ド・ド…」と猛烈なシケが続いていた。
次の朝になると、ゆうべの暴風雨が夢みたいにおだやかないい天気であった。スネ夫が「真っ赤な火の玉みたいなものがとんできて…。気ぜつしてるぼくらをひろい集めて岸へ運んでくれたんだ」と言い張ると、ジャイアンは「火の玉オバケのおせわにならなくたって、このねぶくろはうきぶくろになってんだ!!」と反論していた。
ドラえもんは「えたいのしれないばけものがでたということは…、架空世界と現実世界の間のかべがぼやけてきてるってことだから…」と、アラビアンナイトの世界へ入りかけていることを示唆した。
目の前は果てしなく広がる大砂漠であるので、ドラえもんは自分の道具を活躍させるときがきたと思った。しかし、「四次元ポケット」に手を入れようとしたら、落としたらしくどこにも見つからなかった。スネ夫から「ポケットのないドラえもんなんて、ただの中古ロボットじゃんか!!」と言われる始末であった。
ミクジンのくれたターバンはサイズが合わないので、自前のターバンを被っていた。このひみつ道具は『おりこうターバンくん』といい、ターバンについていた羽根は笛になっており、ドラえもんが「ヒャラリー」と吹くとどんな形にでも伸びるものであった。
ただ、それだけであったのでみんなはガッカリし、太陽の輝く砂漠を北に向かって歩き出した。すると、みんなはミクジンよりひどいと非難し、もういやだと叫んで動かなくなった。しかし、ドラえもんが動物の白骨化した姿を指し示し、あんなふうになりたければとひと声かけると、「まってくれー!!」となった。
のび太は「タケコプター」、スネ夫は「ノービル水道管」、ジャイアンは「グルメテーブルかけ」の話をすると、ドラえもんから「ひょっとして、それはぼくに対するあてこすりか!?」、スネ夫やジャイアンは「あー、そーだよ! もんくあるか! ドジえもん!!」と一触即発の状態になった。
のび太が「どうしてけんかばかりするんだ。ぼくらの目的はしずちゃんを助けだすことじゃないのか!?」と仲裁に入った。
盗賊のカシムも子分をふたり率いて、砂漠と悪戦苦闘していた。カシムがドラえもんから奪った袋から水や食べ物を出すと、「ノービル水道管」と「グルメテーブルかけ」が出てきたが、使い方がわからず、なんの役にもたたなかった。
カシムがタケコプターを使うと、空に舞い上がり、助けを求めながら大地に「ドシーン」と墜落してしまった。
ふたりの子分が腹を立て、ナイフをもって脅そうとすると、カシムは黄金の宮殿の話をし、「その宮殿をうばい、わしの王国を作り、それを足場にバクダッドを攻略し…、おまえらを大臣にと思っていたが…、信じられないならそれまでだ。さっさとやれ!!」と怒鳴りつけると、ふたりはおともさせていただきますとなった。
ドラえもんが笛を吹くとターバンはどんどん高くなり、その上にのっていたスネ夫は、「湖!! 海みたいなでっかい湖が!!」と叫んだので、そちらをめがけて走ったけれども、いっこうに湖が見えず、蜃気楼だということになった。
ジャイアンから「赤い火の玉だとか、蜃気楼だとか、人さわがせもいいかげんにしろ!! 自分の目があてにならない目だってこと、わすれるな!!」とお灸をすえられた。
のび太は「自分が今歩いているのか、立っているのか、さっぱりわからない」、「フラ フラ ヨタ ヨタ」の状態であった。スネ夫が振り返るとのび太がいないことに気づいた。
ジャイアンは「道のないとこで、道にまようなんて! あいつはドジの天才だぜ!!」と言いながら探していると、日射病で倒れているのび太を発見し、ひとまず日陰で休ませることにした。
そのころ、しずちゃんはオアシスで水浴びをしていた。奴隷商人であるアブジルは「おまえみたいにきれいずきな奴隷ははじめてだぜ。ま、しかたがない。たったひとりのこっただいじな金の卵だもんな。おまえは思いっきり高く売ることにしよう。相手は黄金宮の王さまだからな」とうそぶいていた。
その間に、しずちゃんはこっそり逃げることに成功した。アブジルがしずちゃんを追い掛けると、砂嵐がやってきて、息をつくこともできないほどのすごい嵐になってしまった。
ドラえもんたちは「ターバンのマユ」で砂嵐をなんとか乗り切ることができた。のび太は脱水症状で、あいかわらずグッタリした状態が続いていた。太陽が「ギン ギン ギラ ギラ カン カン ジリ ジリ」と照りつける中、ジャイアンはのび太を背中におぶって歩いていた。
スネ夫は「いつもらんぼうでいやなやつだけど…、ジャイアン!! きみの友情にはジンとくるぜ」と感動していたが、そろそろ限界に達していた。ジャイアンも「気のせいか足のほうからもうミイラになりかけているような…」状態であった。
突然、「ゴ・ゴ・ゴ・ゴ ゴゴゴ」と空に「ワーッ、巨人だ!! 大魔神だ!!」と驚きの声が上がった。逃げようとするみんなの前に、大魔神が「ドス」と大地に着陸した。ドラえもんは「ぼ、ぼくらはついにアラビアンナイトの世界に入ったぞ!!」と絶叫した。
大魔神はみんなを帽子の上に「ポイ」と投げあげ、「ブワ~ッ」と舞い上がって、ものすごいスピードで地平線の果てにある「キラ キラ」輝く黄金の宮殿をめざした。みんなは「コンなところに宮殿を建てて、いったいだれが住んでいるんだろう!?」と思った。