のび太とアニマル惑星Ⅵの3[★★★]

[初出誌] 『のび太とアニマル惑星』、「月刊コロコロコミック」19903月号、44頁、263コマ

[単行本]  『のび太とアニマル惑星』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.1019901125日 初版第1刷発行、52頁、299コマ

[大全集] 『のび太とアニマル惑星』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、52頁、299コマ

 

[梗概] 「ツキの月」の効き目はあと一時間四十五分であったが、みんなは「しかし…。たったひとりで…。ニムゲのすみかを見つけてあやしまれずにもぐりこんで、ロミちゃんをさがしてつれだして、ぶじに帰ってくるなんて…、いくら「ツキの月」がきいてるとしても…」と半信半疑であった。

 

 ニムゲの星に到着するとベトベトの雨が降り出た。のび太があたりを探していると、ニムゲの兵士に出会ったので、声を掛けると、あやしいとにらまれた。そして、のび太は本部に連行される途中、かってにその兵士が「ズデン ドシン」と滑って気絶してしまった。

 

 のび太は水も空気を汚れた星では防護服が必要であったので、借用することにした。ニムゲの兵士に呼び掛けられたので、のび太も古代のスクラップ置き場に使えそうな部品を拾いに行くことになった。

 

  のび太が「大昔これだけの科学文明をもってた人類が、どうして今こんなにみじめな…」と問い掛けると、兵士は「そらおまえ、いい気になりすぎたからよ。われわれにできないことはないと…、あげくのはてが環境汚染やら核戦争…。自分たちの住んでる星をボロボロにしちゃった。わずかに生きのこった人類は、石器時代からやりなおしよ」という話であった。

 

  「ブオー ブオー」と全員集合の合図がかかった。組長から全員整列の号令がかかり、「あやしいやつがこの中にまぎれこんでいる!! ひとりずつマスクをぬいで顔をみせろ!!」となった。順番にマスクをぬぐことになり、もうすぐのび太の番になったので、「つきが落ちちゃったのかな」と考えていた。

 

 残り時間はあと四十八分になった。ご先祖がこの星へついて、最初に建てた神殿で、緊急会議が開かれた。町長のウータンが「なにしろわれわれの歴史がはじまっていらいの危機です。どんな対策をとればいいか、けんとうもつかない。いい考えがあれば、どんどんきかせてもらいたい」の発言で会議が始まった。

 

 ゾウさんもキリンさんもライオンさんもニワトリさんもダチョウさんもフクロウさんもまったく意見がなく、町長も「だめだこりゃ…」と頭を抱えてしまった。

 

 ドラえもんが「この星にどんな武器がありますか? 宇宙ヘとびだせるロケットは?」と質問すると、町長は「武器というほどのものはなにもありません。神が戦いを禁じられたからです。宇宙船も同じです。聖典のいましめに「宇宙には大いなる災いあり」との回答であった。

 

 ドラえもんは「空気砲やショックガンをフエルミラーでふやし、作戦でカバーするしかない! この深い森の中に敵をひっぱりこんで…」と訴えた。「ツキの月」のききめはあと三十分になった。

 

 のび太が「もうだめだ…」と考えた時、ひとりの男が「ダッ」と走り出し、追い掛けてきた敵を殴り倒したが、「ガン」と殴られ、「ゴロ ゴロ」と落下して逮捕されてしまった。見たこともない顔であり、きっと連邦警察のスパイだということになった。組長からあとでじっくり拷問するからそこの二人こいつをとじ込めておけと命令された。

 

 そのひとりがのび太であったので、連行しながら、ロミちゃんの居所をつきとめたり、救出の方法を考えたりしていた。

 

 警戒の厳重な本部に入り、牢屋のドアを開けると、ロミちゃんがいたので、近づくと、連行者のひとりが「何者だ! きさまあやしいぞ!!」と叫び、「マスクを取れ!!」と命令してきた。すると手錠をかけられた連邦警察の若者が「ボカ」と殴り倒し、「ぶじに逃げろよ。幸運を祈る!!」と言いながら武器を持ってどこかへ行ってしまった。

 

 マスクを取ってチッポちゃんの友だちであると名乗ると、すぐロミちゃんも気づいてくれた。「バキュン バキュン」と激しい打ち合いが続き、敵を追い掛けてみんな裏口のほうへ行ってしまったので、あたりは「シ~ン」と静かになり、のび太はロミちゃんを連れて、簡単に星の舟に乗って地獄の月とおさらばすることができた。

 

 のび太がロミちゃんを連れて時間切れ寸前に帰ってくることができた。のび太が星の舟から下りる時、「ツルリ ステン ドタ」となり、ツキが完全に落ちていることに気づいた。

 

 町長は「神よ、ふたりをぶじにおかえしくださったことに感謝いたします。さらに、これからきたるおそるべき災いからも、お守りくださいますよう…」と懸命に祈った。

 

のび太はチッポから、ロミちゃんのことで感謝されたあと、「ニムゲの大攻撃が始まると…、その前にチキューへ帰ったほうが…」と言いかけると、のび太から「ばかにしないでよ、友だちをみすててにげられるか。力をあわせて、この美しい星を守るんだ!!」と逆に激励されることになった。

 

 「同志たちよ、ニムゲ同盟の朝は近い!! 思いがけず手のとどくところに宝の星があったのだ。はるかな伝説の時代、おろかな先祖たちがみずからの手でこの星を荒れはてた不毛の地にしたとき…、ある科学者が、ワープガスで動物たちをとなりの星ヘ移動させたらしい」

 

 「動物たちは新しい環境に適応し、進化し…、なまいきにもそこに理想郷をきづいているという!! ゆるせぬ! 宇宙は人間のためにあるのだ! 動物も植物も人間に役立つためにあるのだ! あの星もわれわれのものにせねばならん!! しょくんのけんとうをのぞむ!! おーおーおー!!」となった。

 

 まもなく夜があける…。長い長い一日が始まった。ドラえもんは空気砲ひとつの力なんてたかがしれているので、みんなで一斉にねらいを集中させることの大切さと、禁断の森へ敵をおびき寄せることができるかどうかが、作戦のカギであると強く認識していた。

 

 第七監視所から、「飛行物体が? 東北東から市街地へ接近中?」の連絡が入ったので、ドラえもんは第二班行動開始の命令を下した。森のほうでなにかの爆発が続くので、ニムゲの組長は森に立てこもって抵抗する気なので、「全機転進!!」を指示している。

 

 森の入り口の古代遺跡から、「空気砲」を「ドカ ドカ ドカン ボム グラ グラ」と発射して、第一の円盤を撃墜し、さらに、第二、第三の目標を撃墜することに成功した。

 

 「全機高度を上げよ!!」の命令で、空気砲がとどかなくなり、爆弾を雨あられのごとく投下したので、ドラえもんは森の中へ引きあげることを指示した。円盤も着陸し、ニムゲの兵士たちには円盤を出て森の中へ突入という命令が下された。

 

  第三班はニムゲの兵士たちを森の奥へ誘導する作戦を展開した。ドラえもんたちはモグラロボットの作ったトンネルを使用して、先回りすることになった。

 

 ドラえもんは「植物あやつり機」を使って、木の実爆弾を投下し、「催眠花粉」を放射して、武器を使えなくした上で、第四班の出番を要請した。そして、森の中のニムゲを全部つかまえることに成功している。

 

 予定していなかった鉄の戦車が攻撃してきたので、ドラえもんは誘導しながら、「森の王」に後をまかせた。森の王にがんじがらめにされた組長の乗った鉄の戦車は火炎放射によって、森の王を「ボウ ボウ」と焼きつくし、さらに、組長は鳥もけものも森といっしょに焼きつくせという指令を発した。

 

 森が焼きつくされ、ドラえもんが「もうおしまい! なんだよ!! ワア~」泣き喚きながら、鉄の戦車に向かっていった。のび太はそれを見て、「ロボットのヒステリー」だと叫んだ。

 

その時、新手の円盤の大群が近づき、土砂降りのような雨を振らせたので、山火事はみるみるうちに消えていった。そして、円盤から大量の兵士が降り立ち、組長の乗った鉄の戦車を「ドカン ドカン」と激しく攻撃し出した。降伏した組長は「連邦警察か!!」と言いながら、鉄の戦車から上体を現した。

 

 連邦警察の隊長は「ニムゲ同盟! もうおまえたちのかってな行動はゆるさぬぞ!!」と警告した。連邦警察の中には、ニムゲの星でお世話になった隊員も混じっており、のび太はお礼をすることができた。

 

 隊長は町長に対して、「アニマル星のみなさんにめいわくをおかけしてもうしわけありませんでした」と陳謝した。町長が「あなたがたも同じ人間ではないのか? それなのになぜ?」と質問した。

 

 すると、隊長は「人間のすべてがニムゲのようなばか者と思わないでほしい。われわれの星が危機におちいったとき、われわれの先祖は自分のおろかさに気がついたのです。これを教訓として一からでなおそうと…。ところが、ニムゲ同盟はまだむかしの夢をすてきれないでいるのです。長い苦労のかいがあって、やっと文明社会再建のめどが立ちました。これかえらは貴方方のすばらしい世界に学んでいきたいと思います」

 

 町長も「わかりました。わしらでお役に立つことがあればおてつだいさせてもらいましょう」と話しをむすんだ。

 

 「ポン ポン ポ ンポン」と花火が上がり、「ワー ワー ワー ワー」の歓声を前に、町長は「アニマル星をすくってくれた小さな五人の英雄を記念し、きょうを国の祝日と定めます。地球の友人たちをたたえて乾杯!!」となった。チッポのパパからも「地球のみなさんには何べんお礼をいってもたりない気もちです」と感謝された。

 

 スネ夫が「ぼくたちどうしたら地球へ帰れるんだろ」と心配していたら、船長が「ドラネコさん! ドラネコさん! じつは今川の底をさらっていたら…。ドラネコさんののりものがあがってきましたよ」と報告すると、「ぼくタヌキだけど」と言われてしまった。

 

 恐縮したドラえもんが「ひょっとしてぼくのこと?」と問いかけると、宇宙救命ボートが見つかったという話しであった。

 

 地球救命ボートで帰るとき、「地球がいつまでも美しい星であるように守らなくちゃ。アニマル星に負けないほどきれいになったらチッポくんたちを地球へ招待しようね」とお互いに確認し合った。

[C10138L0433210900301]