のび太とアニマル惑星Ⅴの1[★★★]
[初出誌] 『のび太とアニマル惑星』、「月刊コロコロコミック」1990年2月号、29頁、199コマ
[単行本] 『のび太とアニマル惑星』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.10」1990年11月25日 初版第1刷発行、30頁、204コマ
[大全集] 『のび太とアニマル惑星』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 4」2011年12月27日 初版第1刷発行、30頁、204コマ
【初出誌vs.大全集】
「目的の星は遠いの?」、「わかんない」コマ削除[52(2)]
「アニマル星は遠いの?」、「けんとうもつかない」コマ挿入[312(2)]
「うまくいけばワープをぬけたときアニマル星についてる…」、「GIANT」コマ挿入[312(5)]
「はずだが…………」コマ挿入[312(6)]
「ニムゲってどんな怪物だろう……」、「まだのこってるのかな…」コマ挿入[315(2)]
「ワ!!」、「いた!いた!いた!」コマ挿入[315(3)]
「あぶなかったなあ」コマ挿入[315(4)]
「文字なしコマ挿入[315(5)]」
「文字なし」コマ削除[54(5)]
「ガタ……」、「ゴト…」削除[315(7)]
「なにか動いたような気がするぞ」挿入[315(7)]
[梗概] ママはのび太の机で難しい環境の本を何冊も読み、「世界中で消えていく緑はなんと、毎年日本の面積の半分くらい」、「地球の陸地の三分の一が砂漠化し、飢えて苦しんでる人たちがアフリカだけで三千万人!!」
「エネルギーの使いすぎで二酸化炭素がふえて温室効果で地球が温暖化」、「植物だけじゃなく、陸の動物たちは住みかをなくし、魚たちも水を汚され…、このままだとやがて地球はボロボロに…」といった様々な事例をできるだけ詳しくのび太に話していた。
ドカンの広場に行くと、ジャイアンがチッポのユーレイの話をし、「お~い…、きこえるか…。きこえたら返事してくれ…。お~い、だれか…」とジェスチャ入りでみんなに訴えていた。家に帰ると、ママが玄関前で、裸足で立ち、どこからかへんな声が聞こえてきたと、ジャイアン同様訴えていた。
のび太の部屋に入ると、引き出しの中の「探検ごっこセット」の中から、「お~い、だれか」という声が聞こえてきた。
セットの中のトランシーバーの送信スイッチを「カチ」と押し、のび太が「もしもし、こちらのび太、チッポくんか?」と声を掛けると、「のび太くん!? よかった…。たすけて! こっちは今たいへんなことに…。ニムゲが…ピー ピー ガー…月の悪魔が…ザ、ザー。あーっ、また攻撃がはじまった!! ガ~ ピ~」ととぎれとぎれの送信がストップしてしまった。
星へのただひとつの道であったピンクのもやも、スッカラカンになってしまっていた。のび太が「宇宙救命ボート!! あれでいこう。自動的に地球型惑星をみつけてつれてってくれるだろ」と提案した。
ドラえもんは「だめ! 広い宇宙には地球型惑星なんて何千何万もあるんだ。なにか手がかりがあれば捜せるけど」と言うので、のび太はママが押し花に使っている「星のホタルブクロ」を思いついた。
ドカンのある広場にみんなを集めて、「伝説の悪魔が攻めてきたのでチッポがあぶない、だれか一緒に行ってくれるか」とのび太が問い掛けると、しずちゃんが真っ先に行ってくれると同意した。
スネ夫は「ぼ、ぼくはいってもいいけれど、ジャイアンがこわがるんじゃ…」と言い掛けると、ジャイアンはスネ夫の頭を殴り、「友だちに助けをもとめられて、知らん顔していられるか!!」と快く同意してくれた。
宇宙救命ボートの探知ユニットに花をセットし、「シュバ」と発進した。ワープをくり返してアニマル星を目指した。目の前のアニマル星は連星であり、緑の美しいのがチッポの星、赤茶けたきたないのがニムゲの地獄星であった。
美しい星が激しく攻撃され、チッポの家に行っても誰もいなかったので、ドラえもんはときどきトランシーバーで連絡を取りながら、各人が手分けして探すことにした。
のび太が探していて、「ガタ…」と音をたてると、ニムゲの兵士から「ガギュ ガギュ ガギュ」と攻撃された。ドラえもんからトランシーバーで連絡があり、ちょっとした発見があったので集まってほしいという内容であった。トランシーバーを手放すと、ドラえもんの所まで「コロ コロ」と誘導してくれた。
チッポくんが非常食の缶詰を食べていたので、鼻の利くキツネのスネ夫がチッポのにおいをたよりに、地下水道までみんなを誘導した。においが下水道の流れで消えてしまっていた。
耳のいいウサギのしずちゃんがワンワン鳴いている声に気づいたので、行ってみると、チッポくんが爆弾で地崩れしたところに埋まっていることがわかった。ジャイアンがゴリラなみの力を発揮して、チッポを救出してくれた。
チッポによれば、「とつぜんお皿みたいな飛行物体が飛んできて、ドッカンドッカン爆弾の雨…。ぼくらは町から逃げ出すのがやっとだったんだ」という話であり、ロミちゃんとはぐれ、たったひとりで探しにもどったところを発見されたのである。
町中を探していると、「ブオーッ ブオーッ」と大きな音がしたので、行ってみると、ニムゲの円盤が「ブワ~」と発進するところだった。
「きけ! 動物ども!! われわれのおそろしさがわかったか。今回はひととおりの偵察だけで帰るが…。今度来るときには手かげんなしの猛攻撃がはじまると思え!! 逃げてもかくれてもむだだぞ。おとなしく降伏すればかわいがって飼ってやろう。ワハハハ…。つけくわえておくが、子イヌを一匹つかまえた」と告げて飛び立った。
宇宙救命ボートで追い掛けたが、戦うためのロケットでないため、「ビビッ ズガーン」と一発で、禁断の森の川に撃ち落とされてしまった。
ジャイアンがキョロ キョロしだすと、「こらゴリ郎!! 森を出たらニムゲにみつかるってのに、このバカタレが!! ペチ」と殴られることになった。間違いに気付いた船長にドラえもんが尋ねると、森の中に動物たちの仲間がかなりかくれていることが明らかになった。
「ホーイ!」と船長が声を掛けると、森のあちらこちらから、「ホーイ!」、「ホーイ!」の声が帰ってきた。
「やあ、おまわりさんとこのチッポじゃないか。お父さんがさがしていたぞ。ほかにクマくんウサギさんタヌキくん」との声がかかった。ドラえもんは「ぼくはネコです!! いつもタヌキタヌキとしつれいな!!」と猛然と抗議すると、タヌキさんから「タヌキといわれてそんなに腹立つか」と訴えられた。
ドラえもんは「いや、あのぼくはけっして悪い意味じゃなく…」と懸命に言い訳していた。
テントを張ってみんなの集まっているところへ行くと、チッポのパパは腕にけがをしてチッポをむかえてくれた。この星では軍隊もなく、戦争をしたことがないため、一つの町に警官がひとりで、武器は六発の麻酔銃一個であった。ましてニムゲが何人いて、何台の円盤で今度攻めてくることなど見当もつかない状態であった。
チッポが伝説の光の階段があり、星の舟もきっとどこかに埋まっていると強く主張するので、ドラえもんはひみつ道具『ツキの月』を取り出した。「ゴッゴーシュンギクという薬草が原料で、飲めば三時間信じられないほど幸運がつきまくるという…」ものである。
「これはふだんついていない人ほどききめが強いので、のび太が「パクリ モグ モグ ゴクリ」と飲み込んだ。そして、エネルギーのなくなりかけているモグラロボットを使って、一発で星の舟を掘り当てことに成功したので、のび太はその星の舟に乗って「ゴ・ゴ…ゴ… シュボ」とニムゲの星を目指して発進した。