のび太とアニマル惑星Ⅳの1[★★★]

 [初出誌] 『のび太とアニマル惑星』、「月刊コロコロコミック」19901月号、24頁、146コマ

[単行本]  『のび太とアニマル惑星』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.1019901125日 初版第1刷発行、24頁、146コマ

[大全集] 『のび太とアニマル惑星』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、24頁、146コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「じゃ、もやを作ったのはだれ?」が「もやをつくったのはだれ?」に変更[295(6)]

 

 [梗概] ベッドで、ジャイアンは「かあちゃ~ん!! かあちゃん、たすけて!!」と大騒ぎするので、スネ夫は「ねごとがうるさくてねむれやしない。

 

 ジャイアンがあんなにおびえるとはなあ…。あのずうずうしい無神経なバカ力だけが自慢のジャイアンが…」と口にすると、ジャイアンが「だれが無神経だ!? だれがバカ力自慢だ!?」と言い出し、二人はけんかを始め出した。ヒツジのお医者さんは二日間も眠りつづけ、その元気なら退院してもうだいじょうぶと許可してくれた。

 

 家に帰る前に、チッポくんの一家に別れの挨拶をしようということになったので、ドラえもんはジャイアンにゴリラ、スネ夫にキツネの帽子を差し出した。スネ夫から「アハハ、かぶっても、たいしてかわらないや」と言われたので、再びけんかになってしまった。

 

 無人タクシーに「モレモ街サスポール通り八番地。ワンゲルさんの家まで」乗ることになった。この車は地磁気のエネルギーを使っており、動物の国では光電池とか、排気ガスを出さないクリーン・エネルギーが発達し、空気を汚さないようになっている。しずちゃんなどは「平和でおだやかで…、これがほんとの理想郷じゃないかしら」と絶賛している。

 

 チッポの家に着くと、パパとママがお年始まいりでしんせきへ行き、今夜は帰らないので、チッポが探検の計画をみんなに語り出した。禁断の森の奥深く光の階段と星の舟が、何千年もの間眠り続けていると言われている。

 

 その場所は神殿遺跡のまっすぐ南へ八十キロのところにある。しかし、川の曲がり角から東に進めば近道になり、三十キロでそこに到達することができると説明した。のび太はそこで、タケコプターの使用を提案した。

 

 チッポが森にはオバケが出るという伝説があり、現に森へ足をふみこんで帰ってこなくなった人が何人もいると話していると、突然、ジャイアンが「ワーッ でた! でた! でたア!! へんなやつが窓からのぞきこんでたんだ」と喚いた。

 

 なんにもいないのに、ジャイアンは「探検なんてまっぴらだ。おれは家に帰るぞ!!」と言い張った。

 

 スネ夫が「こっちへきてからなんだかひどく神経質になっちゃって…」と指摘するので、ドラえもんは探検ムードを楽しむことのできるひみつ道具『みの虫式ねぶくろ、圧縮非常食三十食ぶんつめあわせ、どろ水でも飲める浄水器、糸なし糸電話型トランシーバー、警報用打ちあげ花火』をコンパクトケースに詰めてみんなに配っている。

 

 ジャイアンは「二度とあんな森へいくか!!」と頑張っていたが、家へ帰るにはどうしてもあのモヤを通らなければいけないので、渋々承知して出かけた。途中、パパの予定が変わって、しかもいとこのロミちゃんをつれていたので、チッポはパパと帰ることになった。みんなはチッポと別れ、タケコプターで禁断の森を目指した。

 

 禁断の森の前に来ると、ジャイアンはどうしても入らないとゴネだし、ドラえもんに「もやなんかに入らずに帰る方法を考えろ!!」と言い出す始末であった。みんなはあきらめ、森の中に入ってジャイアンの様子を見ていた。

 

 ジャイアンは「みんなおれのことをおく病者だと思ってるだろうな。ちがうんだぞ! わけもなくこわがってるんじゃないぞ! こう見えてもおれはけんかのプロだ!! 敵が近づくと第六感が働くんだ。ビンビン感じるんだ!! 光のもやに入ったとたんおれはいやな気がした。敵がねらっている…、強くて凶暴なおっそろしい敵が…」と考えていた。

 

 日が暮れても動かないので、力づくでつれていくしかないという心境にドラえもんはなっていた。その時、浚渫船の船長が「そこにいるのはゴリ郎でねえか。またそんなところでさぼってやがる!」と怒鳴りつけたので、ジャイアンは走ってみんなに加わることになった。

 

 森に入るとピンクのモヤはぶじであったが、スネ夫が「地球へ帰れずに地獄へいっちゃった!?」という話をしたので、ドラえもんは二十二世紀に売り出された同じようなひみつ道具『どこでもガス』を思い出した。

 

 このガスは「遠くはなれた場所へ超空間を通って…、つまり「どこでもドア」の気体版だよ。でもこれがあてにならなくてとんでもない場所につながったり、出口がずれちゃったりするので発売中止になった」という話をした。

 

 その話を聞いてしずちゃんは「このガスが神話の光の階段だったのよ!! 遠い昔、動物たちが光のもやを通ってこの星へ移住してきたのよ。神話では神さまとなってるけど…、すぐれた科学技術を持っただれかがつくったんだ。すべてが終わってから神さまはガス発生機を森の地中深くうめた。

 

 それから何千年もの年月が流れ…。何かのはずみでガスがもれたのよ」と解釈した。それが偶然この星とのび太の部屋をつないだが、スネ夫がガス発生機のダイヤルをいじったので、地球との通路が消え、地獄のように荒れ果てた月へつながってしまったということである。

 

 だんだんガスの色が薄れてきたので、ドラえもんが調べると、ガス発生機の残量計がゼロに近づき、もうすぐスッカラカンになることがわかった。ドラえもんはひみつ道具『タイム虫メガネ』を取り出し、三日前のダイヤルの位置に戻した。

 

 全員、もやの中に飛び込むと、ガスが消えそうであったので、全速力で走ってなんとが出口から飛び出すことができた。学校のうら山に出たときはしずちゃんとのび太はバンザイし、ジャイアンとスネ夫は涙を流してしっかりと抱き合っていた。

 

 みんなは無事に帰ることができたけれども、もう二度とチッポには会えないのではないかと思いながら、ずいぶん留守にしたのでタイムマシンを出発した日にセットして家路に向かった。

 

 次の朝、テレビの上の星の花がしおれていたので、なんだかいい気持ちがしなかったが、ママから「なにぐずぐずしてるの!! 学校におくれますよ!!」と怒鳴られたので、のび太は「動物の国はのんびりしてよかったなあ」とつぶやきながら、学校へ走っていった。