のび太とアニマル惑星Ⅰの1[★★★]

 [初出誌] 『のび太とアニマル惑星』、「月刊コロコロコミック」198910月号、29頁、195コマ

[単行本]  『のび太とアニマル惑星』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.1019901125日 初版第1刷発行、30頁、202コマ

[大全集] 『のび太とアニマル惑星』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、30頁、202コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「文字なし」コマ挿入[198(1)]

「いつのまにかへんてこなもやの中にはいって………、フラフラあるいていたら…」コマ削除[11(1)]

「いつのまにこんなへんてこなもやに入ったんだろ……」、「キラキラピンクに光ってどこが西やら東やら」コマ挿入[198 (2)]

 

「家へ帰らなくっちゃ」、「ドラえも~ん」コマ挿入[198 (3)]

「夢かな……」、「そうだ夢にきまってる」、「それにしても……」コマ挿入[198 (4)]

「出口だ!!」コマ挿入[198 (5)]

 

「あれれれれ!?………」コマ挿入[198(6)]

「今夜こそぼくらが正体をつきとめるんだ」が「この森に人を近づけないためのおどしだよ」に変更[200(3)]

「おどし?なんのための?」、「じつはこの森には宝が埋まっているんだよ」コマ挿入[200(4)]

 

「ジリリリリン」コマ挿入[200(5)]

 「じゃあ、そうさ隊はめでたし解散ということに…、ワッハッハ」が「じゃあ、捜索隊はめでたし解散ということに…、ワッハッハ」に変更[220(2)]

 

 [梗概] のび太は夢の中でキラキラピンクに光っているもやの中をさまよっていた。子犬や子豚や子熊の話し声が聞こえ、しかも立って歩きながらしゃべっていた。落ちていた花にはホタルが入っていたので、拾い上げて持って帰ろうとしたら先ほどのもやの中に入ることができた。

 

 のび太が夢の話しをしても、ドラえもんから「まるで絵本の世界じゃないか」と大笑いされた。スネ夫からは「夢なんてものは見る人の知能程度があらわれるものだよ」、ジャイアンからは「のび太は幼稚園なみってこと!」と決めつけられ、笑いものにされてしまった。

 

  しずちゃんだけは「ときどき、空想するの。ほんとに動物たちとお友だちになれたらいいなって」と、のび太の夢をうらやましいと積極的に賛同してくれた。

 

 家に帰ってテレビの上の花びんを見ると、ゆうべ夢の中で見た花がさしてあった。その話をドラえもんにすると、「人にいうな! ますますバカにされるから」と釘を刺された。

 

 どうしても納得がいかないので、物知りの出木杉に見てもらうことにした。ホタルブクロに似ているが、植物大図鑑を調べてものっていなかったので、「ひょっとして新種かもしれない! 完全な標本が手に入れば…、きみは発見者としてその名を学名に…」と言われたので、寝ぼけて歩き回ったとすれば、うら山あたりだと思って調べに出掛けた。

 

 大好きな山には、花が咲き、チョウが飛び、二匹の野ウサギが遊んでいたので、新種の発見なんてどうでもよくなった。山の中では、のび太のママを含めた町内の有志が山を切り崩してゴルフ場にしようとする計画について話し合っていた。

 

 「各町内会が力をあわせて反対運動を。全住民の署名を集めましょう!!」ということになった。家に帰ってママに「反対運動がんばってね、なにかおてつだいしようか?」と申し出ると、「よけいな心配しないで、あなたは宿題をちゃんとやりなさい!!」と言われてしまった。

 

 夜になって、トイレから帰ると、ゆうべ見たもやが廊下に出ていたので、「今夜こそあの夢の国の正体を…、つきとめてやる!!」と思ってもやの中へ入っていった。出口から出ると、「ゴオ」とものすごい暴風が吹いていた。

 

 「タケコプター」で出掛けると、「ズズン ワーッ!! ビタン ザザザ ギャッ」と暴風に翻弄され、タケコプターも吹き飛ばされてしまった。「た、す、け、て」と絶叫していると、ドラえもんが「ノービルハンド」でガッシリと空中でのび太の右足をつかまえてくれた。

 

 ドラえもんは夜中に起き出したのび太のあとをつけてきた。ドラえもんは「絵本みたいな夢なんて、ばかにしてたけど…、ほんとにこんな世界があったとは…」と驚き、のび太に謝っている。ドラえもんはひみつ道具『台風の複眼』を取り出し、体のまわりを小さい台風の目にし、雨も風もぜんぜん気にならない状態を作りだしている。

 

 森を出ると大きな川が目の前に現れ、水かさが増して「ドオ ドオ」と流れていた。川に一台のいかだに乗って「ワン ワン ワン」と鳴いている子犬を発見した。その子犬はゆうべの夢に出てきた犬であった。のび太は「ノービルハンド」を借りて、この子犬の尻尾をつかんでなんとか救出することができた。

 

 子犬の家が川上の町にあるというので、ドラえもんが背中に乗せて運ぶことになった。のび太が「どうしてイヌなのにしゃべれるの?」と質問すると、「えーっ、しゃべれないイヌなんて世界じゅうさがしたっているもんか」という返事であり、「きみたちはみなれないすがただけど、サルくんとタヌキくん?」と逆に問われ、二人は「人間! ロボット!!」とかなり腹を立てて答えている。

 

 町の着くと、おまわりさんのパパから、「チッポ! おまえよくぶじで…。ペチン 悪い子だ!! いつもいつも親に心配をかけて!!」と叱られた。

 

 チッポは謝ったあと、「台風の中でいかだの帆を上げたらどんなスピードがでるか」を実験したのだというので、みんなは「な、なんというむちゃな!!」と驚いていた。ドラえもんはゾウさんもライオンさんもクマさんをしゃべっているので、開いた口がふさがらなかった。

 

 チッポのおとうさんの招待でしばらくお茶などをごちそうなることになった。家でお茶を飲みながらテレビを見ていると、見慣れない地図がでてきたので、いったいここはなんという国だろうという疑問がわいてきた。

 

 チッポのパパもきみたちもみなれない姿だなあと言いながら、職業柄「住所氏名を正確に」と問い質したので、ママから「あなた! それじゃ不審尋問みたいよ」と言われてしまった。もうすぐ夜も明けるので、みんなは再会を約束して別れることになった。

 

 でっかい月が出ていたけれども、ここが地球でないことははっきりしていた。わかっているのは森の中のピンクのモヤがただ一つの出入り口であることであった。ドラえもんは目印を残して置いたけれども、ピンクのモヤはどこにも見つけることができなかった。

 

 台風が吹き散らしたと思い、再度調べると、かすかなピンクのモヤを発見することができた。小さすぎてくぐれないのでドラえもんは「ジェットモグラ」を取り出し、穴を大きくしてモクモクと吹き出したモヤの中を通って、なんとかわが家に戻ることができた。

 

 学校へ行く途中、ある門の前にかわいいイヌがいたので、のび太は「きみ、しゃべれる? ぼくのび太、きみの名まえ?」と話しかけていたので、スネ夫から「ワンちゃんとお話してる」、ジャイアンから「のびちゃんかっわいい~」と冷やかされてしまった。