のび太の日本誕生Ⅵの3[★★★]

[初出誌] 『のび太の日本誕生』、「月刊コロコロコミック」19893月号、41頁、246コマ

[単行本]  『のび太の日本誕生』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.91989825日 初版第1刷発行、52頁、292コマ

[大全集] 『のび太の日本誕生』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、52頁、292コマ

 

[梗概] トコヤミの宮という魔境はどこにあるかまったく見当がつかなかった。ドラえもんが「たずね人ステッキ」を使うと、北北東であるはてしない大陸のはてしない奥地を指し示した。みんなはタケコプターを使って進んだが、あまりにも長い旅路になったので、四時間ごとにタケコプターのバッテリーを休ませなければならなかった。

 

 エアコンスーツを着ていたが、氷河期でしかも北に向かって飛行を続けたので、気温がどんどん下がり、氷点下五十度になってしまった。タケコプターも時間がかかりすぎるので、ドラえもんは地磁気を利用して最高速度三百八十キロで走ることのできる、ひみつ道具『リニアモーターカーごっこ』を取り出した。

 

  このカーが走り出すと、「目がまわる! 息ができない!!」まるでジェットコースターのような速さになった。

 

 「ビュウ ゴオオオ ゴオ ゴオ」とものすごい吹雪になり、とても前へ進めない状況になった。幸い、目の前に大きな洞穴があるのでそこへ避難することになった。安心して辺りを見回すと、のび太がいないことに気づいた。

 

 猛吹雪の途中で落っこちた公算が大であったので、ジャイアンがひとり助けに出掛けようとしたが、ドラえもんは制止して、ひみつ道具『レスキューボトル』を取り出した。このボトルの中には、薬用栄養ドリンクが入っていて、のび太を探してここまで連れてきてくれることのできるものである。

 

 のび太が手遅れにならないうちに、のび太の「0点の答案」のにおいをしっかりかがせて、猛吹雪の中へ送り出した。しかし、ツチダマがしっかりと「レスキューボトル」を追跡していて、「ギ~ガ~!!」とビーム線を発射して、「ガチャ」と破壊してしまった。

 

 スネ夫がイライラしながら洞穴を歩き回っていると、地底に通じる階段を発見した。ドラえもんたちは「だれがこんな物を…。七万年前につくったのかしら。ひょっとして…」と考えながら、階段をどんどん下りていった。

 

 トコヤミの宮では、ツチダマが破壊したボトルを見せながら、「どらぞんびトヤラガコノ近クヘアラワレタショウコデゴザイマス。サッソクツカマエテマイリマス」と進言すると、ギガゾンビは「まて! しばらくおよがせて、でかたをみるのもおもしろい。最後に一人残らず八つ裂きにしてくれる。ギガゾンビにてむかった罪のおそろしさを骨のずいまで思いしらせてやるのだ!!」とほくそ笑んでいた。

 

 猛吹雪の中で、のび太は「ドラえも~ん」と叫んでいた。こごえ死にそうになりながら、「あったかいストーブがほしいよ~!!」と絶叫していると、目の前にストーブや温かいラーメンのマボロシを見るようになった。遭難してこごえ死にそうになると…、いろいろまぼろしを見ることを思い出した。のび太は「ぼく死んじゃうのかなあ…。ドラえも~ん!! もうだめ…、一歩もあるけない…」最悪の状態まで追い込まれていた。

 

 ドラえもんたちは階段を歩いても歩いてもきりがなく、ひょっとして地球を突き抜けるんじゃないかしらと思ったりした。なにか人の気配を感じたので、ドラえもんは「サルのおもちゃ」を出し、タンバリンをシャンシャンシャンと鳴らしながら、歩かせると、ギガゾンビの家来が現れ、追い掛け出したので、「ショックスティック」で「ビビビ ドターッ」と倒すことができた。

 

 クラヤミ族が見張りをしているということはここがトコヤミの宮であることがわかった。歩いていると、窓みたいに前方がボーッと明るくなってきた。

 

 のび太はなにかを口にくわえ「ゴクン ゴクン ゴクン ゴクン」と飲んでいた。気が付くと目の前には巨大なマンモスが立っていた。マンモスは「この飲み物は百薬混合栄養満点体力増強気力充実…。すぐに元気に…。そこできみにたのみが…。もしきみが発見…。…に成功したら…。この小箱を…。ふたを開け、赤いボタンを…」と告げながら、「コツン」ののび太の頭の上に落としてくれた。

 

 のび太が「しつっこいなあ!! まぼろしならさっさと消えろ!!」と叫んだので、マンモスは「その元気ならもうだいじょうぶ、…幸運をいのる」といって去っていった。

 

 ドラえもんたちの目の前では、大勢のヒカリ族が工事のため奴隷のようにこき使われていた。ククルが監視人にムチで打たれそうになっていたので、ドラえもんは「ウルトラストップウオッチ」を出し、時の流れを一時ストップさせている。そして、クルルを助けたあと、みんなが脱出できるルートを確保するため「通りぬけフープ」を使っている。

 

 ドラえもんがこのフープを使って地上に出ようとしたら、石器時代には想像できないような機械の並ぶ、地底世界に出てしまった。ドラえもんが時の流れを止めたにもかかわらず、ギガゾンビが「ギギギ…」とドアを開けてドラえもんの前に現れた。「

 

 この部屋はだれもはいれない神聖な場所だが、きみの勇気に敬意をはらってお通ししたのだ」、そして、「タイムロックを解除した」と知らされた。

 

 ドラえもんはタイムロック解除の件から、ギガゾンビは未来人だと見破った。「時の流れをさかのぼり、歴史をかってに作りかえようとする時間犯罪者だ!!」と告発した。

 

 ギガゾンビは「フフフ…、よくぞみやぶった。いかにもわたしはここを根城に地球を支配する永久王朝をつくるのだ。無知な原始人どもをしたがえるのは赤ん坊の腕をひねるより簡単だからな」と白状した。

 

ドラえもんが「タイム・パトロールがすてておかないぞ」、ギガゾンビは「だからこそ地の底深く秘密基地をつくったのだ。だが、いつまでもコソコソかくれてはいない。この亜空間秘密破壊装置が完成すれば…、なにものもこの時代へ立ちいることはできないのだ!」

 

ドラえもんは「とんでもないやつだ!! おまえなんかに世界の帝王になられてたまるか!! つかまえてタイム・パトロールにひきわたしてやる!!」とヤリを持って突進した。

 

 ドラえもんは「ウワー… ドガ チャガ ハチャ チャチャ…」となり、意外に手強い相手だとわかったので、もう手加減をしないで、パワー全開で「ワア… ドガ ドガ チャガ チャガ ドダーッ」と吹っ飛ばされてしまった。

 

 ドラえもんが「そんなばかな…。二十二世紀の最新式石ヤリの電撃が通じないとは」、ギガゾンビから「これは二十三世紀の最新式だぞ」といわれ、「コテン」とぶっ倒れてしまった。ツチダマにしずちゃん、ジャイアン、スネ夫もつかまり、ギガゾンビから逆らう者はみなこうなるのだと告げられた。

 

 吹雪もおさまり、のび太が元気になると、ペガ、ドラコ、グリがのび太を探してやってきた。ドラえもんたちが迷子になっていると伝えると、グリが雪の上に落ちていた四角いものを発見した。それはのび太の0点の答案であり、ドラえもんたちが近くにいる証拠となった。

 

 クラヤミの宮の牢屋に閉じこめられた四人の前に、「サーベルタイガー」が「ガルル… ガウ!!」と現れた。ギガゾンビが「おまえたちはトラに食われて天地の精霊にささげるいけにえになるのだ。

 

 むだなあがきはやめろ、どこにも逃げ場はないぞ」と伝えたので、ドラえもんが「桃太郎印のキビダンゴを出そうとしたが、品切れであり、みんなが「もう…だめ…だあ…」とあきらめたとき、「おーいドラえもーん!!」という声が響いた。

 

 のび太がペガにまたがり、ドラコとグリをしたがえて、勇猛果敢に乗り込んできた。サーベルターガーもドラコにはまったく歯が立たず、のび太は全員を助けて、地上の出口に通じる方へ向かった。

 

 たくさんのツチダマがみんなを激しく追い掛けてきたので、ドラえもんはひみつ道具『瞬間接着剤』でなんとか撃破することができた。ギガゾンビはディスプレーでドラえもんたちの動きを逐一チェックしていた。洞穴を逃げているとき、落盤を起こされ、もうひとつの逃げ口も「ドドド」と落盤を起こされ、完全に生き埋めになってしまった。

 

  ドラえもんはみんなから洞窟から抜け出るひみつ道具があるだろうと、責められたが何一つ出すことができなかった。のび太がエアコンスーツに手を入れると、ゆめで見たマンモスの小箱が出てきた。

 

 一瞬に地上にテレポートしてくれるとか、すごい力を持っているかもしれないとみんなから言われたので、中の赤いボタンを「カチッ」通すと、「ピコーン ピコーン ピコーン」と鳴りだした。いつまでたってのなにも起こらないので、のび太は「インチキ!!」と怒鳴りながら、小箱を地面に投げつけてしまった。

 

 近くを警戒していたマンモスが発信をキャッチし、マンモスがふたつに「パカ」と割れ、タイム・パトロールが登場した。タイム・パトロール隊は本部へ、「こちらヴェルム氷期特捜隊員。マンモスに化けて内偵中のところ、ギガゾンビの基地がついに判明した!!」と連絡した。「こちら本部、ただちに機動隊を発信させる。それまで逃さぬよう厳重の監視をつづけてくれ」となった。

 

 全機が潜航してきたので、ギガゾンビはディスプレーを見ながら、「つかまってたまるか! ひとまずタイム・マシンでどこかの時代にかくれて…。かならず王国を再建してみせるぞ!!」と言いながら、逃げようとした。

 

 しかし、潜航したパトロール機に吹っ飛ばされ、階段を「ゴロ ゴロ ゴロ ドターッ」と落下した場所で、「ギガゾンビ! 歴史破壊未遂罪!!」で逮捕されてしまった。

 

 タイム・パトロールは閉じこめられた洞窟に現れ、「ギガゾンビをとらえることができたよ。もちろんヒカリ族も全員救い出した。この基地は歴史に残さぬよう破壊することになった」と伝え、全員を救出してもらうことができた。

 

 クルルのパパから「ありがとう。ほんとにおせわになりました。こんどこそりっぱな村をつくります」と感謝されると、ドラえもんたちはここから「日本」という国が第一歩を踏み出す記念すべき瞬間となると思った。

 

 タイム・パトロールから架空の動物はどんな時代にもおくわけにいかないと言われたので、のび太はペガたちを架空サファリパークで飼ってもらうことに渋々同意した。

 

 その後のククルが気になって「タイム・テレビ」で二十年後の姿を調べると、ククルはウンバホ(日の出の国の勇者)と呼ばれ、村人たちに尊敬されていた。

 

 それ以前にいた旧人は絶滅したらしく、ククル一族(新人)が住みついたときこそ「日本の誕生」の瞬間だったのだ!! ペガ、ドラコ、グリも空想動物サファリパークでかわいがられ幸せにくらしていることが明らかになった。

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