のび太の日本誕生Ⅴの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の日本誕生』、「月刊コロコロコミック」19892月号、34頁、190コマ

[単行本]  『のび太の日本誕生』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.91989825日 初版第1刷発行、34頁、190コマ

[大全集] 『のび太の日本誕生』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、34頁、190コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

 [梗概] ドラゾンビが「ズビビ ズバ ズバッ」とカミナリを次から次へと落としたので、クラヤミ族の兵士たちは「グワッ ギャアッ キエッ グエッ ゲ、ゲ、ゲーッ アギャギャーッ!!」と絶叫しながら退散してしまった。

 

 ツチダマだけが「ギ~ガ~ ギ~ガ~」と空中に飛び出し、「ワレコソハつちだま!! ぎがぞんびサマノシモベデアル」と宣言し、「ビカ」とビーム線で「ドバガン」とすごい衝撃波で、ドラえもんたち全員をぶっ飛ばしている。

 

 「オロカモノメ! マダワシノオソロシサガワカラムカ」と言いながら、「ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ」の衝撃波でさらに攻撃されることになった。幸い、ドラえもんが「ヒラリマント」でツチダマを逆に、「ドバ ガシャーン」と吹っ飛ばして、粉々に砕いてしまった。

 

 クルルはお父さんやお母さんと感激の再開を果たすことができた。ヒカリ族のみんなから「ドラゾンビさま、なんとお礼を申してよいやら…」ととても感謝された。しずちゃんの「この人たち日本へつれてってあげない?」の提案で、「どこでもドア」を使って、日本へ行くことになった。

 

 ドラえもんは「日本からここまでくる間、ドアのコンピューターに地図をインプットさせたので」どこでもドアを自由に使うことができた。

 

 日本に帰る前に、ペガたち三匹をむかえに和県に立ち寄った。粉々にくだけたツチダマは「カチ カチャ カチャ」と元の姿に戻って、「オノレタヌキノ化ケモノ。コノウラミハラサデオクベキカ」と空中に「ヒュウン」と飛び上がってどこかへ行ってしまった。

 

 のび太が「おーい、ペガ! ドラコ! グリ!」と懸命に探したけれども、どうしても見つけることができなかった。のび太は「いやだっ、みつかるまで探すんだ!!」と泣いて頼んだけれども、ドラえもんの「気持ちはわかるけど…ヒカリ族の人々を早く安全な日本へつれていなくくちゃ」と説得されて、日本へ向かうことになった。

 

 ヒカリ族のみんなは美しい虹を仰ぎ見ながら、見晴らしもよくて、湖に近いところにある小さな丘に新しい村を作ることになった。ドラえもんは「らくらく道具」を出さなかった。

 

 「石器時代の人が鉄器をつかっちゃ歴史がメチャクチャになる。時代によってそれなりのやり方がくふうされるんだ。それが文明の発展というんだ」という理由によるものであった。

 

 のび太はペガなどがいないため一人沈んでいると、ククルが昔飼っていたオオカミのローが狩りの途中でいなくなった話を始めた。狩りの途中シカに蹴られて崖から落ちたが、一か月以上もたって帰ってきた話をした。

 

 「動物には自分の巣やかい主をさがす、するどいカンがあるらしいんだ」、「だからきみの三匹もきっと…」と応援してくれた。

 

 長老が「天と地に満ちみちる精霊たちよ、わしらの新しい村に平安あれ」と祈ったあと、収穫を祝って豪華な感謝の宴が催された。ウタベが「ハア~ドラゾンビさまに、みちびかれ東のはてへきてみれば、ここは日の国ヤンレめでたや~。森にはえもの山ほど、川にはさかな山ほど、めでたやめでたやな~」と歌いながら、みんなと踊った。

 

 ジャイアンは「すばらしい!! …石器時代にも偉大なアーチストがいたのだなあ…。ではおかえしにおれも一曲…」と立ちあがったので、みんなは「やめろ、それだけは!二十世紀のハジ…。こんなめでたい日に」とジャイアンを押さえつけた。

 

 ジャイアンが「おまえらなァ!! おれの歌をなんだと思ってやがる!!」と暴れ出すと、突如、「ド・ド・ド ドーツ」と火山が噴火した。ヒカリ族の人たちは「おおっ、山が火を吹いたぞ!! 精霊の怒りだ!! 不吉な!!」と大騒ぎしだした。

 

 スネ夫が「こわがらなくていいってば。ドラゾンビがあげたの、花火というんだよ」と叫んだので、ドラえもんはひみつ道具『オートマチック花火』を打ち上げたので、ヒカリ族の人たちは「おお! なんとみごとな…。こんなふしぎな術はみたことがない。さすがゾンビさま!!」と絶賛することになった。

 

 この二、三日いろんな冒険をしたので、あすの朝、みんなは家に帰ることになった。のび太はククルにペガたちの大好きが「グルメ」を、帰ってきたら食べさせてほしいと頼んだ。長老からは「ドラゾンビさまがおるすだと心ぼそくなりますな。もし、ギガゾンビが…」と言って、しばらく別れることになった。

 

 ギガゾンビはツチダマに、「トコヤミの宮を完成させるためにはもっともっとどれいを集めねばならぬ」と命ずると、ツチダマは「オソレナガラぎがぞんびサマ、ヒカリ族ニ強イミカタガアラワレタノデス。精霊大王どらぞんびト名ノルタヌキノ化ケモノデゴザイマス」と報告した。

 

 ギガゾンビは「ドラゾンビが超能力の持ち主だというのか。ばかな!! この世にわしにまさる力などあろうはずがない!! みておれ! そやつをさがし、わしの力を思いしらせてやろうぞ!! 地の果てまでもやつを追いつめ、八つ裂きにしてくれるわ!!」と自信のほどをしめしている。

 

 授業中に居眠りをしてのび太もジャイアンもスネ夫も先生から叱られた。しずちゃんからは七万年の時差ボケねと言われてしまった。家に帰ると、ドラえもんはツチダマの手首を分析し、『形状セラミック』でできていることを明らかにした。

 

 石器時代にはそんなものはなく、ギガゾンビはただのまじない師でないことに気づき、ヒカリ族の安否が心配になったので。早速タイムマシンで出掛けることにした。

 

 行ってみるとヒカリ族の人は誰ひとり残っていなかった。しばらくすると、「ワハハ ワハハハ」の笑い声とともにギガゾンビのマボロシがみんなの前に現れた。「ドラゾンビとやらよくきた。

 

 新しいどれいをもらっていくぞ。かえしてほしければトコヤミの宮へやってこい。ただし、二度と帰れぬことをかくごのうえで」とメッセージを伝えると、笑い声とともに姿が見えなくなってしまった。