のび太の日本誕生Ⅱの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の日本誕生』、「月刊コロコロコミック」198811月号、24頁、154コマ

[単行本]  『のび太の日本誕生』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.91989825日 初版第1刷発行、24頁、154コマ

[大全集] 『のび太の日本誕生』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、24頁、154コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「まかしておけばずーっと遠くへつれっててくれるよ」が「まかせておけばずーっと遠くへつれっててくれるよ」に変更[38(1)]

 

 [梗概] サイが「バフッ ドッ ドッ ドッ」と、ジャイアンとスネ夫を激しく追い掛け、二人が「ギャーッ た・す・け・てー!!」と叫ぶので、ドラえもんはひみつ道具『トレアドール』を出し、闘牛士のようにサイを二人のいないほうへ誘導してもらっている。この時代日本にもサイのほかクマ、オオカミ、イノシシ、オオヤマネコ、トラ、ワニなど危険な動物が棲息していた。

 

 ドラえもんはひみつ道具『原始生活セット』を取り出した。「石やり」はとても軽かったけれども、ボタンを押すとショックスティックになり、ゾウでも気絶させることができた。「エアコンスーツ」は体のまわりの空気をあたためたりひやしたりすることのできるものであった。

 

  生活の準備が整ったので、南東向きの崖がながめも日当たりもよさそうなので、ここに大きな洞穴を掘ることになった。

 

  ドラえもんは地面をトーフみたいにかるーくほれるひみつ道具『らくらく道具』を取り出した。みんなおもしろそうなのでとりあいっこになったが、ジャイアンが「力しごとはおれのもんだ、もんくあるか!!」となったので、ドラえもんはジャイアンを「けんか大臣…いや建設大臣」に任命している。

 

 『花ぞのボンベ』は「小さなタネがガスみたいにとびちって、芽がでて葉がでて花がさいて、あっという間に一面の花畑になるものである。しずちゃんを環境庁長官に任命して、このボンベを使ってもらうことになった。

 

 『畑のレストラン』は「料理のタネであり、これをまいておけば一年間いつでもすきな料理が食べられる」ものである。スネ夫がこのレストランの担当になった。この広い世界にぼくたちだけじゃさびしいから、のび太にペットを作ってもらうことになった。

 

 のび太に『動物の遺伝子アンプルとクローニングエッグ』を手渡して、ペット大臣になってもらった。ドラえもんまでものび太をあまり重要視しなかったので、のび太はタマゴにアンプル液を注入して、「みんなをアッといわせてやろう!!」と心に誓っていた。

 

 のび太のママが家にいると、変な天気になり、「ゴロ ゴロ パチ パチ ビビビ… バババ ビシャーン」のカミナリとともに、一人の男の子が天から学校のうら山へふってきた。はる夫が愛犬ブクと散歩していたら、ブクが激しく「ワン ワン」と吠え、男の子の方へ駆けて行った。

 

 しかし、男の子から「ウ~~~」と唸られると、「キャイン キャイン キャイン」と尻尾を巻いて逃げて行ってしまった。

 

 環境庁長官のタネまきは順調であったので、ドラえもんはひみつ道具『ラジコン雨雲』を出した。その雨雲の雨には肥料も含まれていることもしっかり連絡している。農林大臣のスネ夫には、ひみつ道具『ラジコン太陽』を出し、この太陽の強い日差しをあてると早く育つことを伝えた。

 

 建設大臣であるジャイアンの仕事もほとんど終わったので、ひみつ道具『ノービル水道管』を出して、水の確保に努めた。さらに、天然ガスをさがしあてるガス管と、汚水を処理する下水管…も同時に手渡していた。 

 

 のび太は馬と白鳥のアンプルをいっぺんに使ってペガサス、ワシとライオンでつくったグリフィン、ワシとシカとトカゲのリュウを誕生させていた。ドラえもんがのび太を呼びにくるとそれらを全部隠し、ドラえもんに「ついひるねをしちゃって」と言い訳している。

 

 ドラえもんはぐんぐん育つ万能ペットフード『グルメン』を手渡し、「タマゴからかえったらそれを食べさせるんだ」と伝えている。

 

  食事のため、ドラえもんとスネ夫が育った野菜を引き抜くと全部ダイコンであった。そのダイコンを持って帰ると、部屋がすっかりできあがっていたので、ドラえもんはひみつ道具『ミニチュア家具』を取り出し、それぞれ気に入ったものを自分の部屋に持っていってもらい、ビッグライトで大きくして使ってもらうことになった。

 

 外見はダイコンであったけれども、割ってみると自分の食べたかった物が出てきたので、みんなはとても感動して食べることができた。

 

 きれいな虹がかかり、みんなは楽園住んでいるような幸せを味わっていた。しずちゃんは「こうやって大きな自然につつまれていると小さななやみなんかどうでもよくなっちゃうわ」といった心境になった。みんなはきたけりゃいつでもこられるので、タイムマシンでひとまず家に帰ることになった。

 

 ハムスターもちゃんとかごに入れてあるので、ドラえもんはみんなと「じゃあまたあしたね」といって別れた。野比家の屋根の上では一人の男の子が座って、「グス…ウワ~オ!!」と叫んでいた。

 

 のび太がフトンに入ると、「オ~ オ~ オ~」の声が聞こえてくるので、「のら犬がねぼけてるんだろ」と思っていた。男の子は三日月を背景にして、「ワオー オーオーオー…。オーッ オーッオーッ」と空に向かって吠えていた。