のび太と竜の騎士Ⅱの1[★★]

 [初出誌] 『のび太と竜の騎士』、「月刊コロコロコミック」198612月号、31頁、184コマ

[単行本]  『のび太と竜の騎士』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.8」昭和63625日 初版第1刷発行、31頁、184コマ

[大全集] 『のび太と竜の騎士』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 32011730日 初版第1刷発行、31頁、184コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「早くはっきりさせないと気がくるいそうだよ」が「早くはっきりさせないと気がすまないよ」に変更[250(6)]

 「「水中酸素あめ」」コマ挿入[272(1)]

「飲むとどうなるんだ」、「水を分解して酸素をとりだすんだよ」コマ挿入[272(2)]

 

「テキオー灯をつかえば、暗やみも水の中も平気だ」コマ削除[44(1)]

「文字なし」コマ削除[44(2)]

「明るくなった」が「これで準備OK」に変更[272(3)]

「ずーっと下り坂になった」挿入[275(3)]

 

 [梗概] 外出の許可がなかなか出ないので、ジャイアンはのび太のママに「勉強会の予定」といった電話をかけ、のび太もジャイアンのかあちゃんに同じ電話をかけて、なんとか外出するのに成功している。早速、洞穴の自分の部屋で、のび太は昼寝、しずちゃんは「ギ・ギ…」とバイオリンを弾き、ジャイアンは「ボゲ~」と歌い出した。

 

 スネ夫はビデオをもって、昨日見た恐竜がマボロシであったかどうかを検証するため、同じ現場に立っていた。ビデオを回していると、ファインダーに「多奈川の底に沈んだラジコン」が、「プルル…」飛んでいる姿が映った。

 

  「ラジコンの幽霊だァ」と大声で叫び、ビデオをほっぽり出して、懸命に逃げ出した。見なれない地底に紛れ込んで、「お~い。ドラえも~ん。のび太~。しずちゃ~ん」と呼んでも、「チャ~ン チャ~ン チャ~ン」のこだましか帰ってこなかった。

 

  地底で迷子になっていると、目の前に大きな地底湖が現れた。「ドス ドス ドス」と動物に乗った騎士が現れてきたので、かくれていたスネ夫は「ツル」と手を滑らせて、「ボチャ」と地底湖に落下してしまった。

 

 ドカンのある広場では、神成さんが掃除をしながら、「おかしの空き箱やジュースの空き缶やら…、ちらかす不心得者が多くてなげかわしいことじゃ」とこぼしていた。マンホールのふたを捨てるやつがいるといいながら、「どこでもホール」をゴミ置き場に「ガチャーン」と捨ててしまった。

 

 地底の広場では、ジャイアン、のび太、しずちゃんがバギーを「ブロロ…ブロロ…」とぶっ飛ばしていた。スネ夫のビデオカメラが落ちていたので、近くをさがしたがどこにも見つけることができなかった。

 

 そのため、スネ夫が勝手に家に帰ったとみんなは考えた。そのうえ、「るす宅警報テレビ」のブザーが激しく鳴り出したので、テレビを見るとのび太のママとジャイアンのかあちゃんにウソをついたことがばれ、最悪の状態になっていた。

 

ホールのダイヤル番号をあわせて、ふたを開けると、ゴミの山に捨てられていることがわかった。ドラえもんがこのホールをポケットにしまおうとしたが、すきな時に勝手に使えないので、空き地のどこかへ隠すことにした。

 

のび太が家に帰ると、ママから「ガミ ガミ ク ドクド イビ イビ」と長時間のお説教をくらい、その上、「とうぶんの間学校以外外出を禁じます!!」と命令されてしまった。

 

 のび太には「どこでもホール」があるので、この部屋から一歩も外に出ないで、地底に行けると考えていた。そして、ドラえもんにそのホールをドカンのある広場まで取りに行ってもらった。はる夫と安雄がこのホールを「ゴロゴロ」回しながら広場で遊んでいた。

 

 このホールが「ゴロン ゴロン」と道路に転がると、自動車に「ガツ ブウン」とぶつかって吹っ飛ばされ、神成さんの家のガラス窓を「ガチャン」と割ってしまった。

 

 神成さんが「ウヌ~。もうゆるせん!!」と言いながら、トンカチでこのホールを「ガーン ガンガン ガン」とぶちこわしているところへ、ドラえもんたちがやってきた。

 

 破壊されたホールをみて、のび太は「せっかく0点のしまい場所ができたのに…。ひるねべやや野球場やサッカー場や、サーキットや、夢がいっぱいふくらんでたところなのに…」とガッカリしていた。

 

ジャイアンやしずちゃんに知らせると、「おれのステージ衣装、みんな!! 地底なんだぞ。わたしのバイオリン…。こまるわ。なんとかしろ!!」と罵られ、ジャイアンからは「いいわけ無用!! 責任をとれ!! うるせえ!!」と暴力を振るわれてしまった。

 

ドラえもんは「なんと話のわからない連中だ!! あと、まだスネ夫に知らせなくちゃ。きっとネチネチいやみをいわれるぞ」と泣きながら覚悟するドラえもんであった。

 

 ドラえもんがスネ夫の家にいくと、ママから「二泊三日の勉強合宿。ちょっと心配だけど、ドラちゃんがいっしょならと思って…。スネちゃまいい子でお元気してます?」と尋ねられてしまった。

 

 スネ夫がうちに帰っていないで、まだ、あの地底にひとり残されていることが判明した。なにか手がかりがないかと考えていたら、のび太がビデオカメラの話を思い出したので、テレビで再生すると、地底の広場が映り、スネ夫の「きょうこそナゾをときあかすぞ!!」という声も入っていた。

 

 しばらくすると、「プルル…プルル…」の音とともに多奈川の底に沈んだラジコンが映し出された。

 

 ドラえもんにはある考えが閃いたが、外に出ようとしたらママが玄関に仁王立ちに立っているので、外に出ることができなかった。みんながねしずまったころ、「ソロ…」と窓を開けて外に出ることにした。

 

 ドラえもんは「夢風鈴」で、ジャイアンとしずちゃんを広場に呼び出し、地底のスネ夫をこれから救出に出掛けると告げた。地底には二度と行けないことがわかっていたが、あの空洞がどうも多奈川の底に通じているらしいことがわかった。

 

 「○×占い」で、「多奈川の底には大空洞の入り口がある」と質問すると、「○ ピンポーン」という答えが返ってきた。

 

 ドラえもんが出したひみつ道具『水中酸素あめ』をなめると、水を分解して酸素を取り出すので、このあめをなめながら、多奈川に「ジャボ ジャボ」と入っていくと空気中と同じように息ができた。多奈川の大きな穴を下っていくと、ずっと下り坂になっており、深く深く限りなく続いていた。

 

 ドラえもんには辿っている道筋が「できすぎており、まるでだれかが地底の秘密を守るため、こんなややこしい出入口を作ったみたい」に思えた。しかし、この通路を通り過ぎると目の前が明るくなり、アッとおどろくような世界へ一歩足を踏み入れることになった。