のび太と鉄人兵団Ⅳの3[★★★]

[初出誌] 『のび太と鉄人兵団』、「月刊コロコロコミック」198511月号、31頁、191コマ

[単行本]  『のび太と鉄人兵団』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.7」昭和62225日 初版第1刷発行、35頁、217コマ

[大全集] 『のび太と鉄人兵団』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 32011730日 初版第1刷発行、35頁、217コマ

 

[梗概] 近くで「ガサ」と音がしたので、のび太が「ガサ ガサ ガサ」の音におどろいて、「ワ! ワ! ワ!」と叫んで逃げ出すので、ドラえもんがのび太をつかまえて、「シッ しずかに!! さわいだらみつかるぞ!!」と注意している。

 

  ドラえもんからなにもかも打ち明けてほしいと言われたので、なぞの少女リルルの件から、今までの経過をすべて話した。

 

 鏡面世界では、「町の一部がとりこわされて、SF映画みたいな世界に!!」変貌していた。リルルがジュドの上から無数のロボットに指令を出しているので、ドラえもんはひみつ道具『糸なし糸電話』を取り出した。

 

  この電話を巨大なロボットの後ろへ飛ばすと、リルルの指令内容がわかり、最後に、「地球人捕獲作戦を成功させるために!!」と檄を飛ばしていることがわかった。この電話は向こうの声だけではなく、こちらの声も聞き取ることができるので、リルルはのび太に声を掛けてきた。

 

リルルから「鏡面世界の出入り口を広げてほしいのよ。大兵団の到着にそなえてね。協力してちょうだい。あなたが気に入ったの。地球人の中であなただけ特別あつかいしてあがるわ」と言われた。

 

しかし、ドラえもんと逃げるとき、のび太は「ガシャシャ ガシャシャ ガシャシャ」とロボットに追っ掛けられて捕まってしまった。しかし、幸い、ドラえもんが空気砲で「ドゴン」と攻撃して助けてくれた。

 

 ジュドが追い掛け、その上、リルルがのび太とドラえもんのタケコプターにビーム砲を「バッ」と浴びせて、破壊してしまったため、二人は「おざしきつり堀」に「バシャ」と墜落してしまった。追い掛けてきたジュドがつり堀に「ザバ」と手を入れ、出入り口を広げるため、「グイッ グイッ」と突き破って、ふたつの世界に大きな連絡口をつけようとした。

 

 ドラえもんが「や、や、やぶれちゃう!! ばかな! そんなことぜったいに…。力づくでわりこむことなんて、できるわけが…。わ~っ、まずいやめろ!!」と絶叫していると、「パチ パチ パチ ゴ ゴ ゴ…」と大爆発が起こった。

 

  この爆発は、無理やりこじあけようとしたので、空間の接点がゆがんでねじきれる次元震であった。向こうの世界でも、出入り口がふさがって、あのおっかないロボットもでてくれなくなってしまった。そのため、二人は「地球は救われた!!」と大喜びすることになった。

 

 昨晩の疲れで、ドラえもんが「フンガー」と昼寝していると、例のボールが「ピ・ピ・ピ・ピ」と音を出しながら物置から飛び出てきた。ドラえもんには「ザンダクロスの脳」だとわかったので、「ほんやくコンニャク」を使ってなにを言っているかをきいてみた。

 

 「人間どもがどうあがいても、今さら手おくれさ。たったいま連絡がとどいたんだ。鉄人兵団は基地の完成をまちかね、すでに地球にむけて全軍発進したと!! ワープをくり返しながら、殺到しつつあると! どうだ、おどろいたか、ワハハ…」といった内容であった。

 

 のび太が帰ってきたので、「鉄人兵団が地球へ」と話し、ママにも話したが「テレビやマンガのみすぎね。……。いいかげんにしなさい!!」と怒鳴られてしまった。電話で110番、自衛隊、総理大臣、国連事務総長、子ども電話相談室などに相談してもだれも信じてくれなかった。

 

 二人はジャイアンやスネ夫に相談しようと出掛けた。スネ夫の家ではミクロスがでてきたので、大事な用があるから、どこへいったか教えてほしいと頼むと、「べー」という返事であり、ミクロスはアカンベー用の舌をしっかりと取り付けていた。のび太はナゾナゾを出し、答えられなかったらスネ夫の居所を教えろと頼んだ。

 ミクロスも「ヨシ受ケテ立ツ!!」と応じたので、「大ざるこざる、けんかさせたらどっちが強い?」、「ソレハモチロン大ザル…。マテヨ、今度ハヒッカカラナイゾ。答エハコザル!!」、「ざんねんでした! ざるはけんかなんかしないもんね」となった。

 

 ミクロスが案内してくれたので、ジャイアンやスネ夫に会うことができた。鉄人兵団の話をすると、「それはたいへんだ!! どうしよう!!」となり、スネ夫が「ザンダ…なんとかの脳を改造」したらというアイディアを出したので、家に帰って、ドラえもんがドライバーなどを使って、脳の改造をなんとか終えることができた。

 

 ザンダクロスは鏡面世界にいるので、ドラえもんは「鏡のように真っ平らな反射する平面を探して、新しく出入り口を作らなくちゃ」と提案している。のび太がさしあたり思いつくのは、やっぱりしずちゃんのお風呂であった。左右が逆なだけで、そっくりそのままの世界に四人とミクロスが入ることができた。

 

 この世界を歩いていると、ロボットが「カシャシャ カシャシャ…」と音を立てて見回りにやってきた。怯えた、ミクロスが「ワア~」と奇声を発して逃げても、同じロボット仲間だと見なされて、全く注意を払われなかった。

 

 しずちゃんがお風呂に入ろうとすると、鏡面世界になっており、のび太さんたちが利用したことがわかった。鏡面世界に入ると、次元震はこちらの側のほうがより激しく、ジュドは遠くの方まで吹き飛ばされていた。

 

 しずちゃんも鏡面世界へ入りのび太たちを探していると、ミクロスがしずちゃんを見つけて、「アーンコワカッタヨ~」と抱きついてきた。

 

 ジュドに改造した脳を装着すると、ジュドはみんなの仲間になり、手を差し出して、コックピットに招き入れてくれた。鉄人兵団がくる前に、基地を「ズシン ズシン」とたたきつぶしてもらうことにした。

 

 しずちゃんとミクロスはのび太がうら山に行ったということを知って、次元震の現場へ行ってみることにした。すると、地面の中で「ウ、…ウ……ウーン」とうなる声が聞こえたので、ミクロスに地面を掘ってもらうと、女の子が現れた。

 

 しずちゃんが女の子の負傷した部分をみてロボットであることに気づいた。ロボットの意識が戻ると、しずちゃんの右足を「グッ」と握り、「みたわね…」と声を出したので、しずちゃんは「キャー」と叫んでいる。

 

  鏡面世界に基地を作っていた何十何百台のロボットがきょうはどこを探しても見つけることができなかった。スネ夫が「ちょっときてくれ!!」と大騒ぎしているので、行ってみると司令部の巨大なディスプレーに「リルル応答せよ、リルル。兵団はすでにメカとピアを発進したぞ。明晩、地球に到着のみこみ。リルル、誘導せよ誘導せよ」といった指令が流れていた。