のび太と鉄人兵団Ⅲの3[★★★]

[初出誌] 『のび太と鉄人兵団』、「月刊コロコロコミック」198510月号、25頁、158コマ

[単行本]  『のび太と鉄人兵団』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.7」昭和62225日 初版第1刷発行、33頁、210コマ

[大全集] 『のび太と鉄人兵団』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 32011730日 初版第1刷発行、33頁、210コマ

 

[梗概] 超高層のビルが一瞬にこなごなに砕け散ったので、しずちゃんは「ワア~」と泣き崩れてしまった。「おもちゃのつもりでとんでもない怪物を作っちゃった。こんな強力な兵器はきいたこともない。

 

  今のが無人ビルだったからよかったが」とドラえもんは語り、家に帰って、ドラえもんは「ザンダクロスも、鏡の中の世界も、三人だけの秘密にしようよ。ぜったいだれにもしゃべらないと約束しよう」と提案し、しずちゃんとのび太からも同意を得ることができた。

 

 ドカンのある広場で、ロボットの決闘を用意していたが、十時半になってもこないので、ジャイアンやスネ夫は「すっぽかしたな!!」と猛烈に腹を立てていた。

 

  そこへ、ひとりの女の子がやってきて、「このへんで大きなロボットを見かけませんでした?」と質問してきたので、スネ夫は「どうしてしってるの!? これです。ぼくのロボットも有名になったなァ」と喜んで紹介すると、「いえこんなおもちゃじゃなく…、もっとう~んと大きいの。あなたがたの家ぐらいの大きさ」というので、スネ夫は「そんなものあるわけないでしょ!! 常識で考えりゃわかるはずだ!!」と怒鳴っている。

 

  女の子はうら山から発信機を使って、「部品はすべて、先着した「頭脳」の誘導で無人の北極に送られたはずなのに…。かけらひとつみあたりませんでした。……。なにがあろうと命にかけても使命をはたすことを誓います。祖国メカトピアばんざい!!」と宣言している。

 

 授業後も残されて、学校からの帰りにのび太はスネ夫のミクロスにランドセルを奪われ、学校のうら山まで追い掛けると、スネ夫とジャイアンが待っていて、家よりでかいと自慢したロボットがどうなっているか」と問い詰められたた。

 

  しかし、のび太が「あんなのウソ…」と答えたので、ジャイアンに羽交い締めされてしまった。のび太がサッと身をかわすと、ミクロスが「ガチョン」とジャイアンのあごを蹴ってしまったので、そのすきに山の中に逃げている。

 

  そこへ、例の女の子が現れ、のび太を保護し、ミクロスが攻撃してくると、ふしぎな力を発揮して、「ピタ」と止め、指を「グル グル」回し、方向を狂わして、ジャイアンとスネ夫を襲うようにしている。

 

 のび太は助けてくれた女の子をわが家に誘った。その女の子は部屋に入ると窓から外を見ながら、「ロボットはどこ?」と突然尋ねてきた。のび太は「ロ、ロボット!? な、な、なんのこと? あ。あ。あいつらウソついてるんだよ! そ、そ、そんなのあるわけないでしょ」としどろもどろになって返答している。

 

 女の子はひどくがっかりし、「じゃあ、どこへいったのかしら…」とつぶやいたので、のび太が「どうしてきみがロボットさがしてるの? えーっ、きみのロボット!?  ど、どうしてきみがあんなおそろしい破壊兵器を!?」と叫んでしまった。

 

  女の子は「しってるのね!!」と立ち上がり、「あれは秘密兵器なんかじゃないわ、土木工事用ロボットよ」、「それがどうして北極に?」、「…きかないほうがいいと思うけど…」となって、のび太はスペアポケットから「おざしきつり堀」を出すことになった。

 

 鏡の中の世界に入ると、女の子はタケコプターなしで空を飛ぶので、のび太は「どういう人間なんだ…」と思った。目の前に現れたロボットに「ジュド」と呼び掛け、「返事して! 動いて!」と頼んでも何ら反応しなかった。

 

  女の子から「ジュドは自分の判断で自由に行動できるのよ!! 組み立てるとき、ちゃんと頭脳を入れたでしょ」、のび太がなくしたと謝り、代わりに、コントローラーで自由に操縦できることをデモした。のび太は女の子からふたつのことを約束してほしいと頼まれた。

 

  ひとつは「おざしきつり堀」をしばらく貸すこと、もうひとつはきょうのことはわたしたち二人だけの秘密にしておくということであった。

 

 女の子は発信機によって、「こちら地球、リルルから総本部へ。ジュドを発見、ただし頭脳は行方不明。捜査は続けますが、見つかるまでわたしが操縦して作業にかかります。大きな収穫がありました。

 

  北極より広く、まったく無人の世界を発見! ここなら地球人に気づかれることなく計画が進められます。基地の完成をまって鉄人兵団の出動を求めます」と連絡している。

 

 ドカンのある広場で、スネ夫はミクロスに人間なみの知能をあたえて、ひとりで動いてしゃべれるようにしていた。ドラえもんが「1たす1はいくつ」と質問すると2と答え、ジャイアンが「おれとスネ夫どっちが強い?」と尋ねると、「ジャイアン強い! 世界一!!」と答えている。

 

 ドラえもんが「ロボットのことで張り合ったけれども、このへんでのび太と仲なおりしてやってくれない?」と申し出た。ジャイアンもスネ夫もいいだろうといっているところへ、のび太が現れた。ジャイアンがミクロスはおまえより頭がいいというので、のび太は「こじかとおやじか大きいのはどっち?」という問題を出した。

 

  「オヤジカ!」と答えたので、ジャイアンはよくできました」と拍手をした。しかし、のび太は「ブーッ、ざんねんでした。こじかが大きいの」と答えたので、ミクロスは「ガ・ガ!? ウガ…ガ…」となり、煙がでてきた。

 

 ドラえもんが「ややこしいことを考えると、コンピュータがショートするんだ」と注意した。正解は「しかの子とかのおやじとくらべりゃ、おやじかのほうが小さいだろ」というものであった。ミクロスは「パチ パチ」とぶっ倒れてしまった。

 

 仲なおりは完全に失敗に終わってしまった。ドラえもんが「なんかかくしごとしてやしないか」と尋ねても、のび太は「してないしてない!!」の一点張りであった。夕食の時間にパパやママが釣り堀や鏡の話をすると、のび太はそういう話はやめてほしいと怒鳴っている。

 

  のび太は布団の上に座って、「ザンダクロスを返してよかっただろうか…。いったいあの子は何者なんだ…。鏡の中の世界ででっかいロボットを使って…、なにをしているんだろう」と悩んでいた。

 

  窓から外をながめると、流れ星のごときものがうら山に流れ落ちていった。鏡面世界へ何かが送り込まれているので、中に入ってみると、ロボットが流れ星と思われたものをどこかへ運んでいた。