のび太と鉄人兵団Ⅰの2[★★★]
[初出誌] 『のび太と鉄人兵団』、「月刊コロコロコミック」1985年8月号、30頁、189コマ
[単行本] 『のび太と鉄人兵団』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.7」昭和62年2月25日 初版第1刷発行、31頁、194コマ
[大全集] 『のび太と鉄人兵団』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 3」2011年7月30日 初版第1刷発行、31頁、194コマ
[梗概] ドカンのある広場でしずちゃんと話していたら、スネ夫のいとこである模型作りの天才の作ったラジコンロボが「ズシ ズシ… ズシ…」と歩いてやってきた。スネ夫から「おどろいたらおどろいたと、うらやましならうらやましいと、はっきり…」と言われたが、のび太はすました顔をして「だってうらやましくないもん」と軽く流している。
しかし、ドラえもんの前では、「うらやましい!!」と喚き散らし、ビルみたいなでっかいロボットを出してとせがむので、ドラえもんはただでさえこの暑さにゲンナリしている上、高額のロボットをせがまれたので、「あ~いやだいやだ」と叫んで、「どこでもドア」から涼みに行ってくると出掛けてしまっている。
のび太もとても暑いので、「どこでもドア」で出掛けると、南極か北極かよくわからないがとても寒い場所に出てしまった。ドラえもんを探していると、「ピ・ピ…」と音を出す、小さな穴の三つあるボールを手に入れることになった。さらに、「ポ・ポ・ポ・ポ」と音を出す巨大なものが空から「ドサ」と落ちてきた。
とても重く一人では無理だと思いながら「ズル ズル」と引っ張っていると、突然、「ガタン ガタガタン ゴト ゴト ガツ ガタン」とスピードがついて、「どこでもドア」からのび太の部屋へ飛び込むことになった。「ピ・ピ・ピ」と鳴るボールもいっしょについてきた。
外でも「ポ・ポ・ポ…」の音ともに、何かが「ズシ~ン」と庭に落下していた。のび太は閃いて、ボールはどこかへ信号を送って、部品を集める装置であり、すべてドラえもんが送ってくれたものであると考えていた。
ドラえもんは吹雪とともに帰り、「どこでもドア」から入ると前へコトンと倒れてしまった。道に迷ってシロクマに追い掛けられたためである。新しい部品が次々と庭に「ズシ」と届いたが、ドラえもんのまったく知らないものであった。
ドラえもんはひみつ道具『かるがる手袋』で部屋の中に運んだけれども、持ち主がわからないので、交番にとどけたほうがいいのではないかとのび太に告げている。すると、のび太は「ぼくんだい!! 神さまがさずけてくださったんだい」と強硬に主張した。
組み立て場所の問題、大きすぎるからスモールライトで小さくしたらといった問題、完成しても近所迷惑になるのではないかといった問題が山積していた。
のび太が前に『入りこみ鏡』を使って、こちらとそっくりでだれもいない町を作ったというケースを思いだした。巨大なロボットをこの鏡に通すことは不可能であったので、ドラえもんはひみつ道具『逆世界入りこみオイル』を取り出してもらった。
このオイルを鏡じゃなくても、鏡みたいに反射する平面に塗れば、あの世界へ入りこめるので、このロボットを通せるほど広い、鏡みたいな平面であるひみつ道具『おざしきつり堀』を出してもらっている。
このつり堀を使って、静かでだれもいない、いわば背景だけの世界へ、のび太とドラえもんはどんどんと部品を運び入れることができた。夕食時になっても、ボールは「ピ・ピ・ピ…」と鳴り、新しい部品が「ポ・ポ…ズシン、ポ・ポ…ズシン、ポ・ポ…ズシン」と落下し、小さな地震が連続しているような状況であった。
次の朝になると、ママから「なによ!! このガラクタの山は!!」と怒鳴られたが、二人はセッセセッセと新しい部品を逆世界へ送り込んでいだ。
「ピ・ピ・ピ…」と鳴るボールも逆世界へ入ろうとしたが、ドラえもんは「かってにきちゃだめ!! まだなにか送ってくるかもしれない」と考えて、のび太の部屋に置いておくことにしている。ママはこのボールに部屋と庭で、二度つまずいて「ドデン」とぶっ倒れてしまった。
ドラえもんは「みたことのない合金だ。どこからきたんだろ」と不思議に思い、のび太もコンピュータのスペースに入れる部品がないことに気づきながら、懸命にロボット完成を目指してがんばった。コンピュータがないと動かないので、ドラえもんは二十二世紀のスーパーでバーゲンをやっているので、買いに出掛けた。
かっこよくて強そうなロボットが完成したので、コックピットに入って適当にいじると、ロボットが「グ…ズシ」と動きだし、向きを自由に変えて道路を歩くことができるようになった。
のび太は「ひょっとしてぼくは天才じゃないかしら」と思ったが、実はドラえもんの買ってきたひみつ道具『サイコントローラー』のおかげであった。このコントローラーは脳波制御であり、これをにぎって心の中で思う通りにロボットを操縦できる代物である。
しずちゃんにこのロボットを見せようと思って出掛けると、スネ夫のいとこの作ったロボットミクロスが「ブルーン」とのび太を追い掛け、のび太をつかまえて押さえつけてしまった。
のび太が「なんだいそんなおもちゃ!! ぼくなんか乗って飛びまわれるようなでっかいの作ったぞ!」と宣言すると、今夜十時土管のある空き地でミクロスと決闘することになった。
しずちゃんはプールへいこうと思っているところへ、のび太がやってきて、家みたいにでっかくて、ラジコンより簡単に動かせて、空も自由に飛べるロボットのある場所へ強引に連れて行かれた。
「おざしきつり堀」からあっちの世界へ入り、ロボットに乗って道路を「ズシ ズシ ズシ」と歩いても、「車は道路にいっぱいでも、動かす人がいないから、交通事故なんて絶対起きることはなかった。
空に「ボ!」と飛び上がり、空中を自由に飛び回れるようになると、のび太は「しずちゃんどこへいきたい?」と問うと、「どこか泳げるところがいいわ」という返事だったので、水のある場所に向かって進路を変更した。