のび太の宇宙小戦争Ⅳの1[★★]

[初出誌] 『のび太の宇宙小戦争』、「月刊コロコロコミック」198411月号、25頁、132コマ

[単行本]  『のび太の宇宙小戦争』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.6」昭和601125日 初版第1刷発行、25頁、132コマ

[大全集] 『のび太の宇宙小戦争』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、25頁、132コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] しずちゃんはPCIAの戦闘艦が帰っていくのを見て、しずちゃんの脳裏にはがひょっとしてパピが捕まったのではないかという考えがよぎった。すると、近くで、一頭の犬が「せっかくはるばるピリカからきたのに~。ワオー オー オー」と号泣していた。

 

 ドラえもんたちは改造作業を完了したので、反重力装置を始動させて、「ガ~ ガ~」と出動した。しかし、広場で「しずちゃんがどこにいるかもわからず出動もないもんだ!!」と反省していると、しずちゃんは犬にぶら下がってみんなのところへやってきて、「パピさんが!! ワーッ」と泣き崩れてしまった。

 

 大統領の愛犬のロコロコが「ギルモア将軍の反乱軍の急襲に政府軍はチリヂリ、大統領は宇宙へのがれ…、すべてはおわったかとみえたのですが、ピリカ国民の中には、ひそかに将軍の独裁に反対する人も多く…、同志が集まって秘密基地を造り、将軍に決戦をいどむことになったのです。そのために大統領むかえにぼくが」と一挙にしゃべりまくった。

 

  ドラえもんも「いや…犬がよくしゃべるもんだからびっくりして…」しばらく開いた口がふさがらなかった。

 

 ジャイアンが「要するに、おまえは大統領への密使なんだな」と確認すると、ロコロコは「そうなんです! ワープしては超空間の波動をたどり、地球についたらかすかなにおいをたどり……。やっとあえたと思ったら…。ワー オー オー」と再度泣き崩れた。しずちゃんも「わたしの身代わりにつかまったのよ。ワ~」と泣いていた。

 

 ドラえもんは大統領のロケットを使って、ピリカ星へ行ってスモールライトを取り返すことが勝てる唯一の道だとみんなに説いた。ロコロコがロケットを操縦し、何回もワープインを繰り返しながら、ピリカ星に向かった。

 

 ロケットの中では、ジャイアンがピリカ星についたら激しい戦いがまっているので、「ファイト! ファイト!」と走りながら体を鍛えていた。

 

 スネ夫はパピといっしょに死刑にされると泣き叫びながら、布団に閉じこもって部屋から出てこなかった。ロコロコはスネ夫の話し相手になってほしいとのび太に頼まれた。

 

 「大統領がある日おっしゃいました。ロコロコよ、おまえはいい犬だが、ほんの少し口数が多すぎる。ぼくはハッと反省したんです。それからというものよけいなおしゃべりをつつしみ、むだ口をきかず、必要なこと以外ワンともスンとも…」としゃべりまくったので、スネ夫は耳を押さえ、うんざり顔になっていた。

 

 大きな輪を持った美しいピリカ星に近づいた。PCIAの巡視艇に発見されないように、輪が小さな星の集まりであるので、この星くずのジャングルの一つに基地を築いていた。目の前では仲間のシャトルがPCIAの無人戦闘艇に追跡されていた。

 

 この戦闘艇は一度目標をとらえると、どこまでもくいさがり、ついには体当たりして自爆するというおそるべき兵器である。

 

 みんなの乗ったロケットは戦闘用でないので、ドラえもんはひみつ道具『かべ紙格納庫』からプラモの戦車を取り出した。すると、間もなく、戦闘艇に発見され、「グーン」と接近してきたので、戦車は「ジャ ジャッ ズガン」と戦車砲を発射して、撃墜に成功した。

 

  クレーターの底の飛行場に着陸すると、「自由同盟本部へようこそ、五人の勇士たち」と大歓迎された。自由同盟盟主のゲンブが「はるばる地球から大統領の脱出に…。あなた方にきていただいてわが自由同盟は百万の味方をえた思いです」とあいさつをした。

 

 大統領はピリカのPCIA本部で拘束されていた。ギルモアが皇帝となる戴冠式が行われるから、処刑はおそらく明後日になるという話であった。

 

  ピリカにはひそかに自由同盟の同士が地下組織を作り、戴冠式の当日一斉に攻撃を開始する予定になっている。しかし、自由同盟には六百人、ギルモアの軍隊は八十万と圧倒的な兵力に差であった。

 

 盟主のゲンプは「ピリカ一千万の国民はほとんどがギルモアをおそれにくんでいる。だから…、自由同盟が火の手をあげれば…。みんながわれもわれもと立ちあがって大暴動になる可能性がある。われわれはそこに賭けているのです」と主張した。

 

 裁判所では裁判長から、「元大統領パピに対し、ピリカ大法廷は死刑を宣告する。処刑は明後日、ギルモア広場で執行される。被告人なにか申し立てたいことは?」と判決が下された。

 

 パピは「ひとつだけいっておこう。こんな無法がゆるされる日も永くはないぞ。やがて国民の怒りがピリカの空に燃えあがり、独裁者を焼きつくすことになるだろう」と最後に申し立ている。