のび太の宇宙小戦争Ⅲの3[★★]

[初出誌] 『のび太の宇宙小戦争』、「月刊コロコロコミック」198410月号、27頁、168コマ

[単行本]  『のび太の宇宙小戦争』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.6」昭和601125日 初版第1刷発行、31頁、188コマ

[大全集] 『のび太の宇宙小戦争』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、31頁、188コマ

 

[梗概] ピリカ星から大統領の愛犬であるロコロコがロケットで地球にやってきた。探査球はジャイアン、スネ夫、のび太、しずちゃんがパピをかくまっていると判断して、夜も昼も監視を続けた。

 

 ドラえもんたちはお互いにカーテンを閉めたりして、パピが発見されないように努力していたが、ジャイアンのポケットに探査球を忍び込ませることに成功したので、ついに、パピは敵方にはっきりと所在を確認されてしまった。その上、ひみつ道具「スモールライト」の存在も敵方に知られてしまった。

 

 緊急会議の場で、探査球に命令を出している電波の発信地がドラえもんの調べにより、学校のうら山らしいことが明らかになった。スネ夫のいとこが作ったガレージキットである戦車やドラえもんの出したショックガンや空気砲を持って、学校のうら山に攻撃に出掛けた。

 

 しずちゃんがお買い物から秘密基地に戻ると、だれもいなかったので、スモールライトで小さくなって、長年のユメであった牛乳風呂に入ることになった。

 

 牛乳風呂に入っている間に、戦闘艦が超音波を発信し、窓ガラスを破り、秘密基地に侵入してきた。しずちゃんはドラコルルの部下につかまり、パピを呼び寄せるおとりとして連行されていってしまった。

 

 電波の発信地のあたりを捜索したが、手がかりがなにひとつつかめず、戻ってくると、しずちゃんがいなくなり、しかも、ピリカ文字で「パピに告ぐ。今夜十二時公園の噴水へ一人でこい、こなければ人質の少女の命はないぞ。

 

 PCIA長官ドラコルル」といった警告文が浴室の壁に書かれてあった。その上、スモールライトもPCIAが持っていってしまった。

   

 ドラえもんはひみつ道具『天才ヘルメットと技術手袋』を出している。「天才ヘルメット」がどう改造するかを考え、「技術手袋」は指先がいろんな工具になっていてどんな工作でもできるものである。この道具を使って、スネ夫のラジコンを徹底的に改造することになった。

 

 パピは「地球の友人たちよ…。ぼくは-きみたちの友情を永遠に忘れないだろう」といいながらひとり寂しく部屋を出ていき、野良猫のクロを魔法にかけて、「ゴロ ナゴ」とおとなしくさせ、公園まで背中に乗せてつれていってもらっている。

 

 公園の時計が真夜中の十二時を「チーン」と告げると、野良猫のクロの声帯を借りたパピが「ドラコルル! ぼくはきたぞ。約束どおりしずかさんをハニャせ!」と叫ぶと、噴水の中に隠れていた戦闘艦が「ザザーッ」と現れた。

 

 ドラコルルが「ネコの姿とはどういうことだ!!」と尋ねると、パピは「ネコの声帯を借りて話をしているので、本人はハニャれた場所にいる。しずかさんをハニャしたら現れよう」、「まず姿を見せろ、少女はその後で放してやる」

 

 「しずかさんが安全なところまで立ち去ってからぼくがでる! きみが一度でも約束を守ったことがあるか」、「しかし、人質を放したらおまえも一緒に逃げないという保証はあるか?」、「ニヤい! しかしぼくが一度でもウソをついたことがあるか?」といった激しい論戦が続いた。

 

 ドラコルルがその間にも、懸命にパピの居所を探しても見つからないので、しずちゃんを放すことにした。しずちゃんが野良猫のクロの背中に乗って逃げる姿を確認すると、パピは「しずかさんお元気で…」といいながら茂みからでて、自ら戦闘艦に乗り込んで連れ去られてしまった。その戦闘艦に激しく「ワン ワン ワン」と吠える一匹の犬に見送られて。