のび太の宇宙小戦争Ⅰの2[★★]

[初出誌] 『のび太の宇宙小戦争』、「月刊コロコロコミック」19848月号、36頁、197コマ

[単行本]  『のび太の宇宙小戦争』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.6」昭和601125日 初版第1刷発行、37頁、215コマ

[大全集] 『のび太の宇宙小戦争』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、37頁、215コマ

 

[梗概] 特撮ビデオ「宇宙大戦争」を撮影中、のび太が大きなハクションをしたため、「ズシ グシャ メリ メリ」となり、撮影はメチャクチャになってしまい、ジャイアンやスネ夫に「でていけ!!」と怒鳴られてしまった。

 

 家に帰り、「ダダダダ ガバ ワアー」とドラえもんにしがみつき、のび太「アワウアオアオワ~」、ドラえもん「ほう、スネ夫がプラモを使ってミニチュア特撮ビデオ「宇宙大戦争」をとるの」、「ウエウエ オエッ オエッ」、「それがほんのちょっとした失敗で、仲間はずれにされちゃったの?」

 

  ドラえもんは「わかった。くやしいからスネ夫にはり合って、こっちもビデオをとりたいっていうんだろ」、「よくわかったな」、「ながいつきあいだからね」となった。

 

 二人が出木杉に手伝いを頼もうと思って出掛けると、出木杉はスネ夫とジャイアンにすでにスカウトされてしまっていた。しずちゃんに頼むと、おもしろそうといって、のび太が考えていた「宇宙戦争」ではなく、リリカちゃんが魔法使いに追われるという夢いっぱいの人形アニメを作ろうと言いだした。

 

 のび太は準備の前に、スネ夫の現場をのぞくと、大学生のいとこに作ってもらったミニチュアに、出木杉がピアノ線でロケットを飛ばすアイディア提供者になっていた。そして、そのロケットでワルモンダーの要塞を派手に攻撃する準備を整えていた。

 

 出木杉を取られたのが失敗だったと考えながら、撮影現場である学校のうら山へ戻ることにした。そこでは、ドラえもんがリリカちゃんにひみつ道具『ロボッター』を装着し、森の中を悪魔に追われているかもしれないので、つかまったらたいへんと思い、ときどき後ろを振り返り、必死に走りつづけるシーンを撮影していた。

 

 そして、気絶しているリリカちゃんを茂みから跳びだしたウサギさんが背中に乗せて走り去るシーンとなった。

 

次の場面では、魔法使いの家来のロボットが登場するので、のび太はプラモのロボットをうちへ取りに行くことになった。途中、スネ夫の撮影現場をのぞくと、ロケットが飛び交い、ワルモンダーの要塞を「ドコッ ドコッ ズガ~ン ガガン ドガ ズガ ドガン」とはげしく攻撃している場面が撮影されていた。

 

のび太は「こりゃあ…、とてもかなわない…」と落胆しながら、ロボットをもってドラえもんの撮影現場に戻った。

 

 悪役のロボットに「ロボッター」を装着して、リリカちゃんやウサギを「ガチャ ガチャ」追っていくシーンが撮影された。次に、ウサギが登場するので、のび太が探しに行ってもどこにも見つかりません。

 

 しずちゃんが大好きなぬいぐるみだといって、「うわあん」と泣き出したので、「まいごのまいごのウサギくん」と歌いながら、みんなで懸命に探した。しかし、小さな、ふしぎなロケット以外なにも発見することができなかった。

 

 スネ夫は超大作ビデオ「宇宙大戦争」の一部を特別公開いたしますとあいさつしながら、みんなでビデオを見ることになった。クライマックスシーンになる場面で、なにかが画面を「シャッ」と横切ったので、巻き戻し、スローでズームアップして見ると、ウサギが名場面を横切っていることに気づいた。

 

 スネ夫はガッカリし、ジャイアンに「くじけずにがんばろうじゃないか」と慰められて、あすの撮影にそなえていた。

 

 ウサギ探しも日が暮れたので中止することになった。家に帰って、ロボッターは電池で動き、うら山から七百メートルの範囲で止まっているはずだとドラえもんがのび太に説明していた。

 

 すると、洗濯物取り入れていたママが「ウサギが倒れてる!!」と叫んだので、庭に出てみると、たしかに探していたそのウサギであった。しずちゃんにウサギが見つかったと電話連絡し、安心して眠れると思って床に就いた。

 

 ドラえもんが押し入れに入ると、「ワア ガラ ネ、ネ、ネズミ、ネズミ」と叫んで飛びだし、かじられたドラ焼きをのび太に見せていた。すると、「ネズミではない」と、本棚を「ソロリ」と開け、「あんまり腹がへったので、つい無断でたべちゃった。ゆるしてください」と言いながら小さな人間が現れてきた。

 

 ピリカという星からきた、名前はパピという宇宙人であった。「ほん訳ゼリー」の力で日本語をしゃべることができた。

 

 しずちゃんに親指みたいな宇宙人の話をしてもなかなか信じてもらえなかった。そのパピくんがウサギに乗り、ロケットが地球に漂着して「フラ フラ」で、子どものくせに大人みたいなしゃべり方をし、なんかなやんでいるみたいと、懸命にしずちゃんに説明しながら、家に来てもらっている。

 

 しずちゃんがパピくんに会うと、「…かわいい!!」と思わず言ってしまった。すると、パイくんから「赤んぼみたいにいわないでほしいな。小さくても年はきみとにたようなものです」と抗議された。

 

 しずちゃんが謝って、「あなたのおうちをもってきたの。どう? なにもかもそろってるのよ」と紹介すると、パピくんは「せっかくですが…。そろそろおいとましなくちゃ…。…ぼくには敵がいるんです。おそるべき敵です、やがてはぼくをおって地球へくると思う…。みなさんをまきぞえにしたくないのです。さようなら」と言いながら部屋を出ようとした。

 

 のび太が「それをきいたらなおさらきみをいかせるわけにいかない」とストップをかけ、ドラえもんもしずちゃんも懸命に引き留めていた。

 

 パピは「地球の人たちはなんて親切なんだろう。ピリカ星を代表して深く感謝の意を表します」とコメントし、しずちゃんのもってきた住みごこち満点の家を借りることにした。

 

 しずちゃんも小さい頃から夢みた人形の家に住みたくなったので、ドラえもんに「スモールライト」を出してもらって、みんなといっしょにパピと同じサイズになって、同じ生活を楽しんだ。

 

官邸の夜会を思いだすダンスを楽しみ、ぬいぐるみのロデオを楽しみ、メロンを腹いっぱい食べたりもした。パピは八歳の時に大学を出ており、ピリカ星では大学を卒業すれば大人も子どもも区別がなくなり、選ばれれば十歳で大統領になることができると楽しそうに話してくれた。

 

 スネ夫たちはゆうべ作ったプラモで撮影を続けていると、突然、見たこともない戦闘艦が「ゴオ」とやってきて、「ズガガン」とプラモを完全に破壊してしまった。