のび太の魔界大冒険Ⅲの1[★★★]

 [初出誌] 『のび太の魔界大冒険』、「月刊コロコロコミック」198311月号、26頁、173コマ

[単行本]  『のび太の魔界大冒険』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.5」昭和591025日 初版第1刷発行、26頁、173コマ

[大全集] 『のび太の魔界大冒険』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、26頁、173コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「魔界のブラックホールが」が「魔界の暗黒星が」に変更[284(3)]

 

[梗概] ドラえもんが戻ってくると、「もしもボックスはほかのゴミといっしょにつぶされて埋め立て地の地底深く…」と知らされたので、のび太は「それじゃもどれないじゃないか。無責任だぞ。なんとかしろっ」、「自分が作った世界だろ。きみこそなんとかしろっ」と猛烈な口げんかになった。

 

 夕食時もお互いに背中を向けて食事を取り、テレビのチャンネル争いでも、『アバレちゃん』と『太陽にわめけ』で二人ははげしく争った。テレビで「超大型台風が発生した」というニュースが流れ、夜になると「ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ」と地震に地響きが続いた。けんかした二人は、あすの日曜日一人で満月博士を訪ねようとお互いに言い張っていた。

 

次の日の朝、二人は争って出掛けようとしたが、ドラえもんがのび太のために、わざとタケコプターを落としていってくれたので、空中を飛んでいる時二人は仲直りをして、二人で力をあわせて困った状況を乗り越えようと誓った。

 

しずちゃんも地震と台風のことが気になって、ホウキに乗って満月博士の家を目指していた。三人で満月博士の屋敷にいってみると、跡形もなく、一匹のネコが「ミー ミー」と鳴いて寄りついてきたが、三人は飼えないといって、その場を離れている。

 

 ドカンのある広場で野球をしていたジャイアンとスネ夫を誘って、五人で学校の先生に相談して、正しい判断をしてもらおうと思った。先生に魔界接近説を話しても、「いいかね、悪魔とか魔物とかのさばっていたのは大昔のことだ。

 

  ここ三百年間、信用できる目撃例はひとつもない。人間社会の発展におされて絶滅したんだよ」と一蹴されてしまった。

 

 しずちゃんが「満月博士の説によれば、悪魔族はもともと地球の生物じゃなく、魔界とよばれるほかの天体からきた異星人だと…。その魔界が今度こそ本格的な地球侵略をくわだてて、大接近を開始したというんです」と力説した。

 

  「近づくにつれ、まず地震や台風の天変地異で大混乱をおこすだろうと予言しています。現に、そうなってます」、先生から「地震も台風も単なる自然現象にすぎん!」と再度一蹴されてしまった。

 

 ただの自然現象かなと心配しながら帰ると、山であったノラネコが「ミイ」と鳴きながら追い掛けてきた。家に帰ると、テレビで、「もしこのまま上陸すれば、史上空前の災害が予想され…」といったニュースが流れていた。

 

 台風のニュースを聞きただごとではないと、話し合っていると、「ミャゴ」と部屋までノラネコが追い掛けてきた。ママがやってきたので、「チンカラホイ!」と唱えて、ノラネコをママの目からかくすことができた。

 

  「あのママにかくれてこっそり飼うなんて不可能だよ!!」とドラえもんに訴えていると、ノラネコはのび太の宿題をぜんぶスラスラ解き、しかも全問正解であった。魔法の世界には不思議なネコがいるんだなあと感心しながら、ひとまずミルクをあたえることになった。

 

 台風のことが心配になり、「ガタ」と風も出てきて、空が血のように真っ赤に染まった。夜になるとネコが「ミャーゴ ミャーゴ ミャーゴ」と鳴きし、きりに窓を開けろと催促しているようにみえたので、ドラえもんが窓を開けると、きれいな月の光が見えた。すると、「ボウン」となって、「美夜子さん!!」が二人の目の前に現れた。

 

 美世子さんは魔法によってネコにされ、月の光をあびると魔法がとけるというものであった。「ゆうべ魔物たちにおそわれ、父はつれさられ…いえはけされ…。おねがい! わたしと…」と言いかけると、月が雲に隠れ、「ボウン」となってネコの姿に戻ってしまった。

 

 ネコの姿では話すことができないので、風が強く吹きだした夜、雲の上に出る計画を立てた。雲の上に出ると、「ボウン」となり、美夜子さんから「おねがい! あたしといっしょに魔界へのりこんで!!」と早速懇願されてしまった。