のび太の魔界大冒険Ⅱの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の魔界大冒険』、「月刊コロコロコミック」198310月号、26頁、159コマ

[単行本]  『のび太の魔界大冒険』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.5」昭和591025日 初版第1刷発行、26頁、165コマ

[大全集] 『のび太の魔界大冒険』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、27頁、165コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「とするとうら山?」が「裏山へでも?」に変更[258(1)]

「魔法をつかうにもきびしい勉強や高価な道具が必要らしい」が「魔法を使うにも勉強や高価な道具が必要らしい」に変更[258(5)]

「ピク ピク」コマ挿入[263(8)]

 

「スッ」コマ挿入[264(1)]

「あっ あれ!」コマ挿入[264(2)]

「ぼく魔法が使えた!!」、「軽いものならできるんだね」コマ挿入[264(5)]

「チンカラホイのホイ」、「いいかげんにして!!」コマ挿入[264(7)]

 

「また?」、「こんな地震がよくあるの?」、「しょっちゅうじゃない!なにいってるの」コマ挿入[265(6)]

「じゃ、ホーキののり方おしえて!」が「じゃ、ほうきの乗りかた教えて!」に変更[266(7)]

 

 [梗概] 学校で、一年に習った物体浮遊術がひとりできず、のび太は放課後残されることになった。テレビでは、シミュレーション・ゲームマシン「水晶玉」、「不老長寿丸スーパータイプ」、目産ニューモデル「スカイラインFC」のCMが流れていた。

 

 のび太の学校からの帰りが遅いので、ドラえもんが探しに出掛けると、うら山にいて、「魔法の世界では、苦労しないでなんでもできると思っていたのに…」、できないのでガッカリしていた。

 

 ドラえもんからも「魔法を使うにも、勉強や高価な道具が必要らしい」、ママからも「魔法もろくに使えないようじゃ、一流の大学や会社へ入れませんよ!」と言われた。もとの世界へもどそうとしていたら、ジャイアンとスネ夫からホーキングに誘われたが、のび太ができないとわかると、誘って悪かったと嫌みを言われてしまった。

 

 くやしい思いをしたのび太は一年生の魔法から学び直す決心をした。魔法の基礎「物体浮遊」を学ぶため、空中にものを浮かべる術から始めた。小さな子どもたちがのび太の家の塀の外で、空中ビー玉遊びをし、「チンカラホイ」といいながら自由に石をコントロールしていた。

 

 のび太は「体の力を抜き、大きく息を吸ってはき、小石をジッと見つめ、心をからっぽにして、チンカラホイ」と叫んだけれども、小石はビクリとも動かなかった。その後何回も「チンカラホイ」と叫んだけれども結果は同じであった。

 

 しずちゃんがやってきたので、小さな石に対して、顔を真っ赤にし、「チ、チ、チンカラ…ホイ!!」と叫ぶと、しずちゃんのスカートが「ピク ピク スッ フワ~」と動いた。できたと感動し、しずちゃんに何度も「チンカラホイ」と叫びながら試してみたので、しずちゃんから「いいかげんにして!!」と怒鳴られてしまった。 

 

 「ごめん! ついむちゅうになって」とのび太とドラえもんが正座して謝っていると、「ゴ・ゴ・ゴ…・ゴ ゴゴ」と大きな地震が起きた。すると、しずちゃんは満月博士の「魔界接近説」はほんとかしらとつぶやいた。

 

 のび太がチンプンカンプンな顔をしていると、「しらないの!? ウッソー」といわれたので、ドラえもんは「じつはのび太は記憶喪失症にかかっていろんなことを忘れちゃったんだ」と説明すると、「やっぱり!」となった。

 

 のび太はしずちゃんにホウキの乗り方を習ったが、なかなかマスターできないので、しずちゃんがいっしょに飛んだらコツがわかるからといって、のび太をホウキに乗せてくれた。ドラえもんが科学の作ったタケコプターに乗ってついていくと、しずちゃんから「科学なんて迷信を信じてるの? この魔法文明の世の中に」と言われてしまった。

 

 ホウキで空を飛んでいると、ジャイアンとスネ夫がサルをいじめていたが、サルが「ズババッ」と魔法を使うと、二人のホウキは燃えだし、大地に「ドサ」っと墜落してしまった。しずちゃんがケガをしていた二人を「チンカラホイ」と言いながら病院に運ぼうとしていた。

 

 しかし、重いので、のび太に助けを求めると、「チンカラホイ!」と大きな声で叫んだので、空中に浮いていたジャイアンとスネ夫は「ドス ドス」と落下し、しずちゃんのスカートが「パッ」とめくれてしまった。

 

 近くに大きなお屋敷があったので、そこへ二人を運ぶと、屋敷に生えている木から「なんの用だ!!」と問われたので、「けがをしたんです」と答えると、玄関が「ギ・ギ…」と開いて中に入ることができた。

 

 肖像画から突然その屋敷の主が飛びだし、「おおい、美夜子」と呼んで、ケガの手当を手伝わせている。そのため、「アローネの花から作りだした薬」で治療を受けることができた。

 

 目の前で不思議な現象が起きたので、しずちゃんが「あなたはひょっとして魔学博士、満月先生じゃありません?」と問うと、「いかにもわしは満月だが」となった。

 

 次に、しずちゃんは魔界接近説ほんとうですかと尋ねると、「わしのことをホラ吹きとか、頭がおかしいとかいうやつさえいる。だがこれは事実などだ!!」と大興奮し、「わかった時は、もうおそいのだ。大地震…。大台風…、そして…、世界のおわり…」と話を滔々と続けた。

 

 ジャイアンとスネ夫の治療も終わったので、プロのレーサーを目指し、腕に自信のある美夜子さんがじゅうたんの運転をして、町までおくってもらうことになった。家に帰ると、のび太とドラえもんは「世界のおわりだって…。もとの世界にもどそうか。それがいいよ」となった。

 

 ママから「あの電話ボックスみたいの? じゃまだったからゴミ収集じゅうたんにもてってもらったわ」となり、「え~っ。そんな!!」と驚愕する二人であった。