のび太の魔界大冒険Ⅰの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の魔界大冒険』、「月刊コロコロコミック」19839月号、34頁、198コマ

[単行本]  『のび太の魔界大冒険』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.5」昭和591025日 初版第1刷発行、34頁、203コマ

[大全集] 『のび太の魔界大冒険』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、34頁、203コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「文字なし」コマ挿入[250(2)]

「の……の……」、「のび……のび……」コマ挿入[250(3)]

「いいから窓の外をみろ!!」コマ挿入[250(6)]

「文字なし」コマ挿入[251(2)]

「文字なし」コマ挿入[251(3)]

 

 [梗概]  しずちゃんが生きて帰った者のいない魔王の宮殿にとじ込められているので、のび太は一人で助けに行くことになった。長くて険しい道であったので、ドラえもんにひみつ道具『そくせき魔法ぼう』を出してもらった。

 

 この帽子を被ると魔法が使えるので、この帽子を被って「空飛ぶじゅうたん」を出し、しずちゃんを助け出した。帰る途中、魔王の家来に「ただのぞうきんになれ!!」と呪文をかけられ、その上、「ボボム」と現れた巨大な魔王が「ひねりつぶすぞ!!」と脅されてしまった。

 

 のび太は「ジャイアンのいちばんこわいものに変身!!」と叫ぶと、ジャイアンのかあちゃんが「ボウン」と現れ、「魔法にこんなのありかよ。きったねえ~きったね~」と叫んで逃げていった。

 

 しずちゃんから「のび太さん、魔法を使えるのね」と尊敬のまなざしでみつめられた。「もうジャイアンなんかに負けないぞ」と宣言すると、「のび太!!」とママに怒鳴られ、居眠りから目がさめた。

 

 庭掃除をしながら、魔法が使えたら楽しいだろうなと夢想し、ドラえもんが古いじゅうたんを粗大ゴミ場へ捨てに行ったので、じゅうたんに座って、魔法のぼうしなんてないよと尋ねても、「あったりまえでしょ」というドラえもんの返事であった。 

 

のび太がゴミ置き場で古いランプを「ナデ ナデ」していたら、突然、のび太はドラえもんの石像に押しつぶされてしまった。ドラえもんがゴミ捨て場に捨てるとはと腹を立て、自宅へ持って帰ることにした。

 

太めで短足でマヌケな顔で、見れば見るほどドラえもんにそっくりであった。庭に置かれたドラえもんの石像を見ていると、なぜか「タラ~」と汗を流していた。

 

 ジャイアンに呼ばれて広場で野球の試合に参加することになった。バッターに立って、魔法が使えたと思ってバッターを振ると、まっすぐ太陽に吸いこまれるような大ホームランとなった。実際は見送りの三振であり、ジャイアンから「やる気があるのか!!」と胸ぐらをつかまれた。

 

 魔法が使えると思って守備をしていると、「ガーン」と飛んできた大飛球も座って左手を伸ばすとナイスキャッチとなった。実際は、ボールが顔面を「ガツン」と直撃し、大きく後ろにそらし、「なにやってんだ、バーロー」となった。

 

 のび太は笑われるかもしれないと前置きして、出木杉に魔法がほんとにあるかどうかを質問した。出木杉は魔法も昔はちゃんとした学問として研究されていた例として、古代バビロニア人の占星術、中世の錬金術を挙げた。

 

 近世に入ると、魔法は悪魔の力を借りる術で、神にそむく学問ということになった。その後、あとから発達した科学が、それまでの迷信のウソを徹底的に暴き、魔法は息の根を止められてしまったと説明してくれた。

 

 のび太が学校のうら山で、科学じゃなくて魔法のほうが発達していれば、「今ごろは魔法文明が栄えて便利な世の中になってと思うがなあ…」とつぶやくと、「ガサ ドサ」とさっき使ってた、うちのほうきとのび太の石像が木の上から落下してきた。

 

 家に運んでドラえもんに「魔法で石にされたぼくたちじゃないかしら」と尋ねると、「また! アホなことを!!」となった。

 

 夜になってもきみが悪くて眠れないので、ドラえもんを起こし、「ちょっとした工夫で、ほんとに魔法が使えそうな気がするんだ」と話すと、「あきらめの悪いやつだなあ。できるわけがない」と叱られたので、眠ることにした。

 

 夜中に、「ゴロゴロ ビシャン」とカミナリが落ちたので、「そうだ!! 「もしもボックス」があったんじゃないか!!」と叫ぶと、ドラえもんはひみつ道具『もしもボックス』を出してくれた。

 

 「魔法の世界になったら!!」と電話したら、「ジリリリリリリ」とつながった。魔法が使えると思って、「空飛ぶふとんよ、とびあがれ。チンカラホイ!! アブラカダブラ!! とべよ、ゴマ!! ビビデバビデブー」とお互いが唱えてもビクとも動かなかった。ばかばかしくなったので、ふたりはもうねようということになった。

 

 次の朝、ドラえもんは石像を探してもどこにも見当たりませんでした。しかし、空をみるとじゅうたんを使って通勤する人、ほうきに乗って通学する男の子を目にすることができた。

 

 ママから、早く食べないと遅刻しますよといわれたが、のび太は「空飛ぶじゅうたんでひとっとび」と答えると、「空飛ぶじゅうたんなんてどこにあるの? あんな高いもの!! それにパパが運転免許もとれないし」ということであり、のび太は「期待してた世界とちょっとちがうなあ」と走って登校することになった。