のび太の海底鬼岩城Ⅲの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の海底鬼岩城』、「月刊コロコロコミック」198210月号、26頁、148コマ

[単行本]  『のび太の海底鬼岩城』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.4」昭和58625日 初版第1刷発行、26頁、148コマ

[大全集] 『のび太の海底鬼岩城』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 22011130日 初版第1刷発行、26頁、148コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「あと5分!4!3分!2分!1分」が「あと十分!九分!八分!七分!六分!」に変更[74(1)]

 「東京タワーが三三0メートルだから……」が「東京タワーが三三三メートルだから……」に変更[86(1)]

 

 「しかし、なーんにもないところだなあ」が「しかし、なあんにもないところだなあ」に変更[88(4)]

 「ばーか、海の底にそんなものあるか」が「ばあか、海の底にそんなものあるか」に変更[88(5)]

 

[梗概]  テキオー灯のききめが切れるまであと三十分しか残されていなかったが、ドラえもんはのび太やしずちゃんと一緒にタケコプターで海の中を懸命に追い掛けていた。スピードは水上バギーの方が速くドンドン、離されるばかりであった。水上バギーはそのころ、東太平洋海膨を越え、ホーン岬を回れば大西洋に入るところまできていた。

 

 ドラえもんは「とりよせバッグ」を使おうとしたが、バギーが猛スピードで突っ走っているため、飛んでる弾丸を手づかみするようなものであった。「どこでもドア」は海の上に置いてあり、浮かび上がるのに時間がかかって使うことができなかった。

 

 残り時間も十五分になり、ジャイアンとスネ夫は「まっ暗だあ。なんにもみえないよ。苦しい! 水圧でからだが…、しめつけられる。耳がジンジン頭がガンガン。ウッウッ息が…息が…」と苦しみだした。

 

 ジャイアンとスネ夫は「ウ! ク…、ク、ク、ゲ…」となって、バギーから転落してしまった。ドラえもんたちもタイムリミットになり、「すべては終わった……。ぼくのせきにんだァ。こわれておわびする」と大きなトンカチを出した。しずちゃんに「ドラちゃんがこわれたって、二人がいきかえるわけじゃなし…」と慰められていた。

 

 「ドオ…ドド…ドドオ…」と遠くの方で音がきこえたので行ってみると、ものすごいエネルギーが周りの岩を砕き、バギーが転覆していた。のび太が岩かげを見ると、ジャイアンとスネ夫はグッタリと横たわっていた。

 

 二人の前で、のび太が「ジャイアンのへたな歌も二度ときけなくなったんだなあ…」、ドラえもんも「そう、あのへたくそなひどい歌…」と語りかけると、ジャイアンは「へたくそで悪かったなあ!!」と立ち上がって怒鳴るので、みんなで手を取り合って信じられないと喜び合った。

 

 ジャイアンとスネ夫は元の状態になっていた目の前のバギーを見て、「あいつだ! あいつのためにこんな目にあったんだ」と攻撃すると、バギーも「イケトイワレタカライッタンダ。モンクアルカ。プルル」と反論している。

 

 「中古のポンコツバギーがなまいきだ!! ドン ボカ」、「ブルルーッ、イチバン気ニシテルコトイッタナ!! ギャーン」となった。バギーをしずめるため、ドラえもんとのび太は「ドサ」とバギーをひっくり返している。「ドーセボクハポンコスダヨ。サーコロスナラコロセ!! ブルル」となり、ドラえもんも「たいど悪いなあ。

 

 前からおかしかったんだ。こんな危険な車は、こわしたほうがいいかも…」といいだしたので、しずちゃんは「そんな! こわすなんてかわいそうよ!! 機械にいいこと悪いことを区別する力なんかないわ。命令されたから走ったんじゃないの」と猛然とバギーを弁護している。

 

 しずちゃんの取りなしによって、ジャイアンもスネ夫も反省し、ひっくり返したバギーをみんなでもとにもどして、キャンプにもどることにした。テレビでは、最近海底火山脈の活動が活発になり、地球全体の深海底に大きな異変が起きる前ぶれではないかと、報道していたので、のび太のママは心配になってきた。

 

 次の日には、世界一深いマリアナ海溝を探検することになった。海溝の深さは一万一千メートルもあり、地球の底の底に到着すると、みんなで記念写真を撮ったりした。みんなは何万年も何億年もこの光もささない暗黒の世界にも、けっこう生物がいると知って驚いている。

 

 ジャイアンとスネ夫が遠くに幽霊船を発見したので、みんなで行ってみることにしたが、のび太ひとりどうしても船倉に入らなかった。みんなが船倉にはいると、ガイコツ化した乗組員の遺体を発見し、船長らしき人の書いた航海日誌があったので、ドラえもんはひみつ道具『ほん訳こんにゃく』を出して解読することにした。

 

 すると、「一五三四年三月本船はインカの黄金をつんで出航した。ユカタンをはなれ、二日後大あらしにあう」と書かれてあった。

 

 のび太が帆柱の上で待機していると、「ゴオン ゴオン ゴオン ゴオン」とものすごい音とともに、見たこともない怪魚がやってきた。その怪魚がのび太を攻撃しだしたので、「わ~みんなきてくれえ」と絶叫している。