のび太の大魔境Ⅵの3[★★★]

[初出誌] 『のび太の大魔境』、「月刊コロコロコミック」19822月号、30頁、176コマ

[単行本]  『のび太の大魔境』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.3」昭和60925日 初版第1刷発行、43頁、227コマ

[大全集] 『のび太の大魔境』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 12010929日 初版第1刷発行、43頁、227コマ

 

[梗概] 救出されたブルススは王子に「ありがたや! バウワンコ一世陛下の予言が、いまこそまさに実現しようとしております。その予言とは、悪者がそむき王国は重大な危機にさらされる。

 

  その時十人の外国人が…。巨神の心を動かし、国を救う」と古い古い言い伝えを物語っている。「十人の外国人の話も巨神の心を動かすという話」もブルススには、まったくわからなかったけれども。

 

 チッポが「おなかがすいて死んじゃいそう。シク シク」と泣き出し、みんなも長い間なにも食べていないことに気づいたので、ドラえもんはひみつ道具『先取り約束機』を取り出している。

 

 ドラえもんが「あすかならずごはんをたべるから、いますぐおなかをふくらませて」と、この機械に約束すると、その結果を先取りすることが可能になった。すると、みんなはおいしい味が口の中に広がり、お腹いっぱいになってもう食べられない状態になった。

 

 王子はブルススから、スピアナ姫は王宮の一室にとじ込められているが元気であるということを知らされた。しずちゃんはさっきの機械を借りて、「近いうち、きっとおふろにはいるから…。やっとさっぱりしたわ」といいながら眠りについた。

 

 ダブランダーは「なんということだ!! あれだけの兵力を動員しながら、手がかりひとつつかめぬとは!!」と部下に怒鳴りつけていた。コス博士は王家につたわる古い予言「国乱れる時、十人の外国人が巨神の心を動かす」を熟知していたので、夜にまぎれて巨神像を目指すものと思われますとダブランダーに進言している。

 

 干し草を摘んで「ガラ ゴロ ガロ ゴロ」と荷馬車を動かしていると、もう少しで巨神像に到達できるところで、大勢の兵士に見つかってしまった。ブルススは「王子さまは巨神像をめがけてつっぱしってください」と進言し、回りの巨木を引き抜いて、「ブルン」と振り回して敵をちらかしていた。

 

 その間に、「巨神像にたどりつけば、きっと道が開ける」と王子は固く信じて、荷馬車を「ダーッガーッ」と走らせることにした。

 

 火を吐く車や空を飛ぶ船によって、王子たちは森の奥に待避しなければならないほど、追い詰められてしまった。コス博士はマイクを使って、「にせ王子とその一味よ、もうこれまでだぞ。森はすっかりかこまれている。あきらめてでてこい!! ジャングルを焼きつくせ。やつらをあぶりだすのだ」と命じている。

 

 王子は「勝負があったようですね。ぼくのためにこんなことになってしまって、おわびのことばもありません。これ以上、外国人であるみなさんをまきこむわけにはいきません。この森を南へ進めば湖にでます。

 

 地下水脈から脱出してください。その間、ぼくが敵をひきつけておきます。チッポ、しっかりご案内するんだよ。みなさんお世話になりました」という言葉を残して、森の中へ消えていった。

 

 ジャイアンは「ペコだけじゃどうにもならん。おれも行くぜ」といいながら、爆弾が「ドオ ドドオ」と炸裂する森の中へ入っていった。王子と遭遇すると、はげしい口あらそいになったが、最後はガッシリ握手をして、森の中へ前進した。

 

 そこへ大量の爆弾が投下されたので、みんなはまた一同に会うことになった。みんなは「これからなにがおこるにしても、ぼくらはず~っといっしょだよ」と確認しあった。

 

 タブランダーとサベール隊長は巨神像の前にすでに待機していた。王子は神像に近づいたら、「全力で走りましょう。ひとりでも中へはいることができれば…」とみんなを叱咤激励していた。

 

 「予言の外国人あと五人はとうとうつごうがつかなかったね」とのび太が呟くと、しずちゃんはハッと何かに気づき、「先取り約束機」で何かを連絡している。

 

 サベール隊長が兵士に「かかれ!!」と号令すると、王子を先頭にみんなは全速力で、「ダダッ」とひとかたまりでゴールをめざした。その時彼方の空から、タケコプターに乗った五人の仲間がやってきた。ぼくらがもう一組と驚いていると、「おどろくのは後まわしにして、早く神像へ」と急き立てられた。

 

 のび太は「けんか手ぶくろ」、スネ夫は「ビームガン」、ジャイアンは「空気砲」、しずちゃんは「スモールライト」を駆使して、大群の兵士を蹴散らすことができた。その間に、新しくタケコプターでやって来たドラえもんに先導された一行は、神像の神の心のある小部屋を探しながら入っていった。

 

 サベール隊長が追いついてきたので、ドラえもんはひみつ道具『秘剣電光丸』をのび太に投げ与えた。のび太とサベール隊長の激しい闘いが続き、なかなか決着がつかなかった。

 

 その間に、みんなは「ハートをかたちどった彫像である巨神の心の場所に」辿り着くことができた。ジャイアンが中心になって、巨神の心をネジみたいにひねろうとしたが、五千年の間にさびついてビクともしなかった。のび太と剣の名手であるサベールとの決闘は相変わらず激しく闘われていた。外の四人も大勢の兵士と死闘を繰り返していた。

 

 コス博士は空飛ぶ船から「全艦隊火炎放射用意!!」の号令をかけ、「ドオ」を火炎を発射したので、外の四人はひとまず神像のかげに隠れることになった。のび太は「ウワオー ビシーッゴロ ゴロ ゴロン ズシーン」とサベール隊長を倒すことに成功した。

 

 ジャイアンたちは神の心を「クルッ ブルン ブルン ブルン ブルル ブル ブルー」と動かすと、「ゴゴゴゴゴゴゴ」となって、巨神像が動き出した。

 

 「オオオオーン」と巨神像が動き出し、空飛ぶ船や火を吐く車から激しい攻撃を「ドガ ドガ ゴオ」と受けても、「ガーン ズシ グシャ バリ バリ バリ」と反撃し、コス博士の指揮する艦船を壊滅状態にまで追い込んでしまった。

 

 ダブランダーはツチブタに乗って王宮へ逃げ去ったので、王子は「スピアナ姫があぶない!!」と思って王宮に急いだ。

 

 王宮では、ダブランダーが「姫! あなたはわしといっしょににげるのだ!! うぬっ! さからうのか!! ならば死んでもらおう」と短剣を振り上げた時、巨神像がダブランダーの頭に巨大な岩石を「ズコ」と落下させて、危機を救っている。そのため、王宮で王子と姫は無事再開することができた。

 

 しずちゃんは「先取り約束機で約束したの。もしぶじに帰れたら、きっと過去にさかのぼって、ピンチにおちている自分たちを助けにもどるって」、もうひとりのしずちゃんは「じゃ、約束をまもってね」とお互いに固い握手をした。

 

 やって来たドラえもんも「新しいどこでもドア」を、もうひとりのドラえもんにプレゼントして帰っていった。スネ夫は「十人の外国人のなぞはとけたけど…、なんだかややこしい話」と頭を悩ましていた。

 

 一行は王子から大歓迎を受けた。しずちゃんはドラえもんマンガ史上最も豪華なお風呂を体験することができた。しずちゃんのお風呂の係りは「石けん係、洗髪係、シャワー係、マッサージ係、香油係、パウダー係」の計六人であった。

 

 王さまや女王様の歓迎パレードのあと、王さまの申し出に対して、ジャイアンは「宝物? おれたちゃそんなもの目あてに、はたらいたじゃないぜ」、スネ夫も「王国再建の資金にしてください」と応じている。王さまはのび太の手を握りながら、「あなたがたの名まえは、王国の歴史とともに永遠にのこるでしょう」と言われた。

 

 「大冒険だったね。すばらしい夏休みだったよ」と言いながら、「どこでもドア」からドカンのある広場に帰ってきた。しずちゃんが「でも、これで終わりじゃないのよ。約束をはたさなくちゃ」、のび太も「そうか、まだ一つのこってたんだ、大きな約束が」、ジャイアンは「元気だせ! 自分で自分を助けにいくんだ。文句あるか!」と檄を飛ばしている。

 

 のび太は「いこう! ぼくの部屋のタイムマシンへ!!」、ドラえもんも「道具をいっぱい持って、巨神像のひみつをおしえにいこう」と、夕日を背中にいっぱい受けながら、野比家に急ぐ五人組であった。

[C03147L0153110820201]