のび太の大魔境Ⅲの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の大魔境』、「月刊コロコロコミック」198111月号、25頁、137コマ

[単行本]  『のび太の大魔境』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.3」昭和60925日 初版第1刷発行、26頁、146コマ

[大全集] 『のび太の大魔境』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 12010929日 初版第1刷発行、26頁、146コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「ゴトン ゴトン ゴトン」コマ挿入[456(1)]

「文字なし」コマ挿入[456(2)]

「文字なし」コマ挿入[457(7)]

「ワーッ」、「キャン」コマ挿入[458(2)]

 

「ドドド」コマ挿入[458(5)]

「修理不能!」コマ挿入[458(6)]

「あった」が「一人前だけあった」に変更[463(5)]

「地図によれば、ここから先が……」コマ挿入[473(2)]

 

「ウガウ」コマ挿入[476(3)]

「文字なし」コマ挿入[477(7)]

 

[梗概] 古めかしい汽笛を「プオー」と鳴らしながら、蒸気船は「ゴトン ゴトン ゴトン」と進んでいった。スネ夫はリビングストンやスタンレーになったような気がしながら舵を取っていた。ペコはみんなを案内しているような気で船の舳先で前方を見つめていた。

 

 ドカンのある広場では、神成さんが「空き地とみればゴミを捨ているやつがおる! けしからん!! 近所に住んでる者の身にもなってみろ」と腹を立て、おくさんといっしょにゴミを燃やしていた。その中には、ジャイアンが隠したひみつ道具「どこでもドア」を含まれていた。

 

 「ゴトン ゴトン」と進んでいた蒸気船がワニにすっかりかこまれてしまった。ジャイアンが物をワニに投げ、「パカ」と当て、ストライクと賞賛されていた。しかし、舵をスネ夫にかわってジャイアンが取っていたので、だれも舵を取っておらず、「ザザン」と岩に激突し、「ドドオ ドドド」と船底を破られ、修理不能になってしまった。

 

 船がどんどんしずみ、ワニも「ザバ」と船に上がってきたので、ジャイアンが「このやろ!! このやろ!!」と戦ったが、ワニがジャイアンのズボンを「パク ギャー」となってしまった。

 

  ドラえもんも「桃太郎印のきびだんご! スモールライト! タケコプター! スーパー手ぶくろ!」をのび太に出すようにいわれたが、みんな置いてきた物ばかりであった。しずちゃんが「どこでもドア」で逃げればいいと教えてくれたので、「四次元ポケット」に手を入れると、「アチャ アチャ」となり、燃えた棒きれをつかんだだけだった。

 

 「おれたちこれでおしまいだ!!」と叫んでいると、ペコが勇猛果敢にワニにかみついたが、振り払われて川に「ザバーン」と落っこちてしまった。ワニに食われそうになった時、どこからともなく矢が「シャーッ」と飛んできて、ワニにぐさりと刺さった。一行は近辺に住んでいた原住民に救い出されることになった。

 

 「ドロロン ドロロン」と太鼓の音が響く中で、原住民の歓迎を受けることになった。『ほんやくコンニャク』によれば、「きょうは聖なる神のお祭りだ、えんりょなくたべてくれ」とわかり、歓迎パーティーじゃないことがわかった。

 

 原住民がバウワンコと叫び、目の前に、衛星写真やジャイアンのユメに出てきたものとそっくり同じであった。のび太はあの人たちは本物のバウワンコを見たことがあるんだ!!」と確信し、ドラえもんも「きっと、巨神像は近くにあるんだ。聞いてみよう」ということになった。

 

 原住民によれば、「バウワンコの神にあうには三つの命がいる」ということだ。「テムの滝こえるとサバンナに出る。ライオンの国七の七倍の七倍ライオンがいる。ここで一つ命を落とす」

 

 「サバンナをすぎるとオドロンドロの谷、切りたったがけくだれない。のぼれない。谷の底死霊の国、あやしい光あやしい声。また一つ命落とす」、「もし谷をこえたとしても、そのむこうは永遠の霧にとざされた神の国。はいれば二度と生きて帰れぬ。三つめの命おとす」という話であった。

 

 みんなが帰ろうかという気になると、ジャイアンは「おれは迷信などおそれないぞ、それこそさがしもとめた大魔境だ。かならずバウワンコの神にあって宝をもらってくると、そうつたえろ」とドラえもんに命じている。「

 

 神をおそれぬ者ども、この村におけば神のいかりこの村にふりかかる。早くでていけ、さもないと…」と言って、矢がみんなの前で「グサ」と刺さった。

 

 いそいで逃げて、ジャングルをさまよっていると夜になったので、ドラえもんはひみつ道具『ドラえもん帽子』という住まいを取り出している。小部屋が五つあってそれぞれベッドとトイレがついていたが、外は危険であるため、食事を取ることもできなかった。

 

 みんなは「わたしたちどうなるのかしら。なんでこんなむちゃな旅にでたんだろ」といった愚痴が出始めると、ジャイアンは「おれのせいだってのか!!」と怒鳴りだし、「そのとおり!! この探検を計画したのがおれ!! 道具をおいてきたのもおれ!! 船をこわしたのも村をおいだされたのもみんなみ~んなおれのせいですよ!! どうせおれは、もともときらわれものなんだ!! バタン」と部屋を出て行ってしまった。

 

 スネ夫は「どうだろねあの態度、ひとりでヒステリーおこして」、のび太も「ほっとけ!」というばかりであった。ジャイアンはいなくなったペコとともに、「ペコ! お、おれ…どうすれば…、ワーッ」とペコを抱きしめて泣き崩れていた。

 

 次の日、テムの滝をこえ、ライオンのサバンナにでた。ここで命をひとつおとすということになっていたが、ぼくらは前へ進むしか道はないということで、「ザッ ザッ ザッ」とサバンの中を進んだ。

 

 ペコに案内されながら、広いサバンナを進んだが、どこにもライオンの姿が見られません。あの岩に登ればなにか見えると思って登ってみると、目の前はライオンだらけの光景であった。

 

 「ガル…ウガウ」と吠えるライオンを目にして、みんなは戦う気力もなく、「ヘナ ヘナ」となってしまった。武器もなく、ちかよるな、「シッ シッ」と騒いでいると、ペコがライオンの中に飛び込んでいった。ジャイアンも追い掛けると、「バオオオーン」の声とともに、巨神像が目の前に現れた。