のび太の大魔境Ⅱの1[★★★]

[初出誌] 『のび太の大魔境』、「月刊コロコロコミック」198110月号、29頁、166コマ

[単行本]  『のび太の大魔境』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.3」昭和60925日 初版第1刷発行、29頁、166コマ

[大全集] 『のび太の大魔境』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 12010929日 初版第1刷発行、29頁、166コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「さー、いそごうぜ!!」が「さあ、いそごうぜ!!」に変更[429(6)]

 

[梗概] 「アフリカは最古の人類を生んだ土地だ。しかしその奥は、未だに人類の支配のおよばないジャングル・砂漠・草原がひろがり野生の王国となっている」、「コンゴ河の南、コンゴ盆地の一角が…、「タバコ好きの森」と名づけられたなぞの地帯なのだ。太古から晴れたことのない深い霧の海の奥底に、なぞの巨神像が立っているのだ」

 

 そのなぞを解くためのハラハラワクワクドキドキするような大冒険に一行は旅立ったのである。しかし、まだ三キロも歩かないうちに、どこまで歩いても木ばかりなのではやくも飽きてきた。のび太は0点の答案を机の上に置いてきたのでどこでもドアで帰って、答案を隠してきた。

 

 次に、スネ夫が教養テレビの「上級フランス語講座」の今日のビデオ撮りに家に帰っている。ジャイアンは「探検隊としての心がまえができとらん!!」と猛烈に腹を立てていた。

 

 ジャイアンが「どこでもドアを使うの、もうやめてくれ!」と提案すると、しずちゃんから「お手洗い」のリクエストがあった。

 

 「いちいち家へオシッコに帰る探検隊なんてきいたこともない。魔境のムードもなにもぶちこわしだ!! この調子でこれからどうなるんだよ!!」と不満を述べ、「みんな、こんどから探検の途中で家へ帰ろうとするやつは、おれがぶんなぐる!! どんな理由があってもだぞ!!」と厳命した。

 

すると、しずちゃんから「あのタケシさん、ことづけが…」、「なに、うちのかあちゃんが? えっ? カンカンになってすぐこいと…。ドラちゃんちょっとどこでもドアを…」となった。

 

みんなから「かあちゃんにあいに帰る探検家なんてみたことない!!」と言われたが、「るせえ!!」の一言で、家に帰り、戻ってきた時には顔に絆創膏を貼っていた。

 

  お昼時になったので、ドラえもんがひみつ道具『出前電話』を出したら、ジャイアンからムードがこわれると言われたので、新しいひみつ道具『植物改造エキスⅠ』を出し、みんなからカレーライス、ホットケーキ、カニピラフ、ラーメンの注文を出してもらっている。このアンプルを木に注射すると、お好みの品が実となってみんなの前に出てきた。

 

 しずちゃんからながめのいいところで食事しようと提案があったので、ドラえもんはひみつ道具『即席エレベーターと植物改造エキスⅡ』を出し、木のてっぺんに「ニョキ ニョキ」と伸びた枝が渦巻き状になったので、その上で食事をすることになった。

 

 ペロが「ワン ワン ワン」と吠えたので、北の方に白い煙が見え、そこがヘビー・スモーカーズ・フォレストであることがわかった。「猛獣でもでてくれば、もっと探検らしくなるんだがな」とジャイアンが言うので、ドラえもんはひみつ道具『猛獣さそいよせマント』を出している。

 

 ジャイアンがマントを着ると、「マントからでる光が、猛獣をカンカンにおこらせてさそいよせる」ものである。しばらくすると、ヒョウが「ガウ」と吠えて追いかけてきたので 「ギャー だずげでえ!!」の悲鳴となり、ドラえもんの投げた「桃太郎印のきびだんご」を「パク」とたべたのでことなきを得た。

 

 ジャイアンが「よけいなことして!! せっかくおれがやっつけようと思ったのに!」と粋がっていた。「こうやって丸太んぼうをふりかざしてだな…」と引き出すと、大蛇であり、ジャイアンは大蛇に「ギュ」と締め付けられてしまったが、のび太の「スモールライト」の助けを借りて、危機を逃れることができた。

 

 ジャイアンがサイに「ドドドッ ドドドッ」と追いかけられるとスネ夫が「ショックガン」で、ゴリラに追っかけられるとしずちゃんが「スーパー手ぶくろ」でジャイアンの危機を救っている。

 

 夕暮れになったが、「どこでもドアに時差修正マシンをつけといたので」、日本の夕方に帰ることができた。

 

 「こんなにハラハラドキドキしたのはじめてよ。これが探検なんだね。あれがアフリカなんだよ」と話していると、ジャイアンが「なにが探検だ!! なにがアフリカだよ!! くだらん!! 探検ごっこもうやめだ!! 石ころの神さまがなんだ! 見たくもねえや! 二度と探検とか魔境とかいったら、おれがぶんなぐる!!」とすごい剣幕で家に帰っていった。

 

 その晩、ジャイアンが夜中に目をさますと、目の前に巨神像が立っていた。「一度おもいたった魔境探検をかんたんにあきらめるとは、それでも男か! わしの台座の下に宝がかくされている。そこまでの地図をあたえる。いけ! 勇敢な少年よ。財宝をその手ににぎるのだ」といって、神さまはスーッと消えてしまった。

 

 翌日、土管のある広場で、「探検やめるといったのに。あたし、ピアノのレッスンしなきゃ。ぼくは塾へいかなくちゃ」と話していると、ジャイアンが「一度おもいたった探検を、それでも男か! 女です!!」と話し終わると、おもむろに、夕べなぞの巨神像がジャイアンに与えた宝の地図を差し出した。

 

 「アフリカの神さまがきたの? わら半紙にサインペンでかいてある。インチキくさいなあ」と噂していると、ジャイアンは「おまえらうたがうのか!?」と顔を真っ赤にして激怒している。

 

 どこでもドアで出発する前に、ジャイアンは「桃太郎印のきびだんご、スモールライト、タケコプター、ショックガン、スーパー手ぶくろなど」のひみつ道具全部ドラえもんに出させ、土管の中に隠し、「あんなものにたよるのは、ひきょうだ。この腕と勇気で危険をきりぬけるのだ!!」と宣言して、出発することになった。

 

 「ドロロン ドロロン ドロロン」と不気味な太鼓が鳴り、きょうの探検は、ただじゃすみそうもないような気がした。のび太が地図にかかれた河をみつけたので、この河をさかのぼっていけば、「巨神像と宝がぼくらをまってる!!」ムードになってきた。ドラえもんは古くさい探検ごっこ用の蒸気船を出し、気分を出しながら、一行は河をさかのぼることになった。