のび太の恐竜Ⅱの3[★★★]           

[初出誌] 『のび太の恐竜』、「月刊コロコロコミック」19802月号、44頁、251コマ

[単行本]  『のび太の恐竜』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.1」昭和581225日 初版第1刷発行、59頁、305コマ

[大全集] 『のび太の恐竜』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 12010929日 初版第1刷発行、59頁、305コマ

 

 [梗概] ピー助に会うことができたので、早く日本へ連れて帰ろうよとドラえもんに頼むと、なぜか、ドラえもんは「白亜紀の世界なんてめったにこられないところだから、一日楽しく遊んでだね。帰るのはあしたにしたら…」と提案してきた。

 

 すると、しずちゃんが「こまるわあたし、宿題がまだだし、ことわりなしに、よそでおとまりしたらしかられちゃう」、スネ夫も「ぼくも六時までに帰らないとママが…」、ジャイアンも「おれだって母ちゃんに…」と言い出した。

 

 ドラえもんが「タイムマシンだから。たとえばむこうをでた時間の五分後に帰れば、こっちで何時間、いや何日、何年すごそうが、むこうでは五分間しかるすにしなかったことになるよ」というので、帰りを伸ばすことになった。

 

 ピー助と白亜紀の海で泳ごうとのび太が誘うとみんな賛成し、ドラえもんもおぼれないための安全装置『エラチューブ』、『深海クリーム』を出し、その上、水着を作るためのひみつ道具『きせかえカメラ』を取り出している。

 

 スネ夫のデザインによる水着をこのカメラに入れて「カシャ カシャ カシャ カシャ」と写すと、水着姿になることができた。同じデザインであったのでしずちゃんも短パンツの水着を着ることになったので、顔を赤らめることになったが、すぐ取り直すことができた。

 

 みんなでピー助の背中に乗って遊び、その後、のび太は水中をピー助と散歩し、しずちゃんは海ユリの花束を作っていた。ジャイアンとスネ夫はこんなでっかい生きているアンモナイトを学校へ持っていったら、先生が喜ぶだろうと言いながら、少し動かすと「ズシン」と動いたアンモナイトの下敷きになってしまった。

 

 その間、ドラえもんは孤軍奮闘してタイムマシンの修理に努めていたが、「専門の工場でなきゃ絶対なおせない。し~らない!!」と完全にギブアップしてしまっていた。

 

 のび太は疲れたので島で甲羅干しをしようとしていた。その島が突然「ググーッ」と動きだしたので、よく見るとこの時代の危険な動物「アーケロン」の背中の上だった。ドラえもんを除いた四人の主人公は昼間、とても楽しい遊びの時間を持つことができた。

 

 夜になるとキャンプファイアの周りで食事をし、その後、みんなにとってピンとこない一億年という年月が話題になった。ドラえもんが具体的に、例えば、「むかしむかし王子さまと王女さまが…」といったおとぎ話はざっと千年前、その倍の二千年ほど前にキリスト誕生、その倍の四千年前にはエジプト、メソポタミア、インドなどで文明が栄えていた。

 

 当時、日本はまだ縄文時代で農耕も始まっていなかった。人間の歴史が始まってまだ数千年、したがって、一億年とは、その歴史を二万回ほど繰り返した長さである。そんな気が遠くなる昔にぼくらはきているんだと締めくくっている。

 

 スネ夫がもしも帰れなくなっちゃったらどうするという冗談を言ったので、ジャイアンを始めみんな「こんなときにこわいじょうだんいうな!!」と言いながら、スネ夫を追いかけていた。

 

 夜が更け漆黒が増してきた時、シダのしげみのむこうになにかが立っている気配がした。突然、巨大なティラノサウルスが姿を現し、「フーッ!」、「フーッ!」と不気味な唸りをあげ、「ズシ」と足音を立てて近づいてきた。

 

 ドラえもんは、野獣は火をこわがるはずだから、「たき火の後ろへまわれ!!」とみんなに命令している。おっそろしい顔で見つめられたので、スネ夫などは「ナムアミダブツ…」を唱えだした。重苦しい沈黙が続いた後、ティラノは「クル」と向きを変え、「ズシ ズシ…」と暗闇の中に消えていった。

 

 みんな「ヘタ ヘタ ヘタ」と座り込み、スネ夫が真っ先に、「も~、こんなこわいとこはいやだっ」と泣き叫び、みんなも呼応して日本へ帰ろうと言い出した。その時、ドラえもんがタイムマシンの故障を告げたので、一同はパニック状態になってしまった。

 

 ジャイアンがドラえもんの六本のひげを鷲掴みしながら、「そんないいかげんな機械によくもおれたちを乗せたな」と抗議すると、ドラえもんも「かってにのったのが悪いんだい」と応戦している。みかねたしずちゃんが「けんかしてるばあいじゃないでしょ!!」と仲裁に入っている。

 

 みんなが「ワ~ツ」と泣き崩れている時、突如、のび太が『どこでもドア』をくぐれば簡単に日本に帰れるのではないかと言い出した。スネ夫からは「天才!!」、ジャイアンからは「心の友よ!!」と絶賛された。

 

 しかし、ドラえもんから「どこでもドアには白亜紀の地図がインプットされていないから」ダメであると説明された。さらに、ドラえもんから、「タケコプターは、時速八十キロで八時間連続運転すると電池があがっちゃう。ここから日本まで何千キロ」もあるから到底使い物にならないと言われてしまった。

 

 その時、スネ夫から、ラジコンを使うとき、長時間続けて使うとすぐ電池がなくなるが、休ませながら使うと長く使えるといった意見が出された。ドラえもんも四時間飛んで、あと二十時間休ませればかなり持つと言い出した。

 

 しかし、しずちゃんから、日本とアメリカの間には広い広い太平洋が横たわっているので、どこで休むのかといった難問が出された。ドラえもんから、白亜紀には、日本とアメリカが北のほうで陸続きになっているから、時間がかかっても歩いてだっても日本へ行けるという意見が出された。

 

 今度の案こそ実現可能性があったので、みんなでバンザイをしあった。そうしている間に、長い長い夜が過ぎ、東の空が明るくなりだした。