のび太の恐竜Ⅰの3[★★★]
[初出誌] 『のび太の恐竜』、「月刊コロコロコミック」1980年1月号、49頁、328コマ
[単行本] 『のび太の恐竜』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.1」昭和58年12月25日 初版第1刷発行、54頁、360コマ
[大全集] 『のび太の恐竜』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 1」2010年9月29日 初版第1刷発行、54頁、360コマ
[梗概] のび太は元気になった翌朝、スネ夫やジャイアンをギャフンと言わせるために、約束を果たそうとした。スネ夫の家に行くと軽井沢に出かけたとのこと、ジャイアンもおじいさんと山へ芝刈りに行って留守とのことであった。
往来では二人の女子学生が公園の池で怪獣を見た人の話題を交わし、家ではママが新聞の記事「公園の池に怪獣!?」を読んで驚き、テレビではアナウンサーが公園の池に潜水夫をもぐらせて怪獣の調査に当たらせるといったニュースを流していた。
のび太は「もうぐずぐずしていられない。ほんとにピー助のしあわせをねがうなら…。とるべき道は一つ!」と結論づけ、スネ夫との約束を破棄した。のび太とドラえもんは公園に行って、ピー助を『スモールライト 』 で小さくし、「タイムマシン」を使って、白亜紀の、首長竜の群れの中に無事送り届けることができた。
ドラえもんは「今度のできごとは、のび太くんがぼくにたよらず、まがりなりにも、自分で考えて行動した点で大きな意味があった。これからも大いに独立心を強め…、なんでも自分ひとりの力で…」と、とても高い評価で総括した。
スネ夫との「生きて動いている恐竜を見せる」といった約束を守ることができなかったので、のび太は「鼻でスパゲッティたべる機械をだしてくれえ!」と涙ながら訴えると、ドラえもんも「できることかできないことか考えてからしゃべるもんだ!」と猛然と反論している。
のび太が気の抜けたような表情で、ピー助の大好きであったボール遊びを部屋でしていると、スネ夫が呼びにきた。一緒に広場に行くと、ジャイアンから「鼻でスパゲッティをたべる約束だったよな」と言われ、強引に目の前のスパゲッティの皿に顔を押し付けられた。
ものすごいハクションをしたので、スパゲッティイがジャイアンやスネ夫の顔に飛び散っている隙間に逃れて、なんとかしずちゃんの家に避難することができた。
理由を説明すると、しずちゃんまでも「のび太さんのほうが男らしくないと思うわ。はずみでウソついちゃうことってだれにもあるけど…。あっさりあやまっちゃえばわらい話ですむことじゃないの」と言い出す始末であった。しずちゃんに恐竜を見せるといって外に出ると、ジャイアンとスネ夫が追いかけてきた。
タイムテレビで見るとピー助は多くの恐竜にいじめられている最中であった。いじめている恐竜は同じ首長竜であった北アメリカ産のエラスモサウルスらしかった。ドラえもんはピー助を白亜紀のアメリカに送ったことに気付いた。
ピー助を日本に連れ戻すため、机の引き出しのタイムマシンに乗ろうとしたら、しずちゃんやジャイアンやスネ夫たちも乗り込んできた。定員オーバーになり、「ガク ガク ガク ビュゴ~ キャアーアーアー」、最後には、「ボカアン」と凄い音を立てて、海岸の砂地に不時着した。
砂地の中から「ムク ムク」とはい出し、ドラえもん以外は全員無事であることを確認することができた。海岸で全員声を合わせて「ドラえも~~ん」と呼びかけた。
すると、近くの砂地が「ムク ムク ムク ザ・ザ ザーッ」と盛り上がり、ドラえもんとタイムマシンが現れた。お互いの無事を確認すると、突然、のび太が「ピー助と別れた場所だ!!」と叫んで、海のほうへ駆け出した。ピー助の名前を何度も何度も大声で呼ぶと、沖合で気づいたピー助が「ピューイ! ピュイ!」となきながら近づいて、海に入ったのび太を口にくわえ、背中にのしてくれた。
その姿を見て、スネ夫は「おそれいりました!!」、ジャイアンは「ゆるせ!」、しずちゃんも「うたぐったりしてごめんなさい」と正座して謝っている。ドラえもんは冷汗を垂らして、タイムマシンの修理に専念していた。
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