ドラQパーマン[★★]
[初出誌] 『ドラQパーマン』、「月刊コロコロコミック」1979年8月、30頁、154コマ
[大全集] 『ドラQパーマン』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 20」2012年9月30日 初版第1刷発行、30頁、154コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] のび太が昼寝をしていたら、突然、「ゴゴゴゴゴ」とものすごい地震が襲ってきた。「ドラえもん」と絶叫しながら、階段を駆け下りたため、足を滑らし、「ゴロ ゴロ ゴロ ドシ~ン」と転げ落ち、気絶してしまった。ドラえもんがひみつ道具「災難訓練機」を使って、のび太を起こしたためであった。
のび太が「せっかくいいゆめを見ていたのに!!」と猛然と抗議したきたので、ドラえもんも「夏休みもあとわずかだ。たまっている宿題をかたづけないとたいへんなことになる」と厳しく反論した。
のび太は腕を組んで、にやりと笑いながら、「いいんだ。毎年なんのかんのいっても、けっきょくドラえもんが助けてくれるから」とほざくので、ドラえもんは頭に湯気を立てながら、怒りまくった。あまりしつこいので、のび太はビックリ箱からネズミを「チュウ」と出し、ドラえもんを追っ払っている。
屋根の上に待避したドラえもんは「あれほどだらしない男ってこの世にいるものだろうか」と自問しながら、ひみつ道具「グータラ探知ロケット」を取り出し、いちおうさがしてみることにした。ドラえもんは「のび太とおなじほどだらしない人間にだけ反応する」ようにこのひみつ道具の感度を調節した。
早速ディスプレイが「ピコ~ ピコ~」と反応した。正ちゃんが頭のいいOちゃんをおだてて宿題をやってもらっていた。それを見たオバQは猛烈に腹を立て、「そんなことしていたらわるい頭がますますわるくなるじゃないか」と怒鳴りつけた。
Oちゃんが正ちゃんのためを思って、ぜんぶちがった答えをかいておいたと教えくれた。その話を正ちゃんに告げると、正ちゃんは「ワン ワンワン」と吠えて、オバQを部屋の外に追っ払っている。
ドラえもんが再度ディスプレイを見ると、屋根の上に隠れているみつ夫に向かって、ママが「隠れてもむだだから出ていらっしゃい!!」と怒鳴っていた。パーマンが宿題を何一つやっていないということを聞いて、「人が汗を流して働いているあいだになにをしていたんだ!!」と説教している。
こうした光景を見て、ドラえもんは「わかるわかる。できのわるい友だちを持つとくろうするんだよな」と妙に納得した。
ドラえもんに素晴らしいアイディアが閃いたので、パーマンとオバQにそのアイディアを紹介した。それは「何日か人のめんどうなんかみるのをやめて。山奥でぼくらだけの夏休みを過ごす」というものであった。賛同を得られたので、早速楽しいキャンプ生活ができるように、大きな木の上にバンガローを建てることになった。
のび太は部屋を探してもどこにもドラえもんの姿を見ることができなかった。机の引き出しにしまっておいた「タケコプター」を使って、ドラえもんを探しに出掛けた。その頃ドラえもんたちは冷暖房完備のバンガローを完成し、「どこでも蛇口」を取り付け、テレビを見たり、ステレオを聞いたりできるようにしていた。
パーマンが川へ魚を捕まえに行き、オバQが山へ食べ物を探しに出掛けたけれども、満足な食べ物は何一つ手に入れることができなかった。
しかし、ドラえもんが『日曜農業セット』で米や野菜を作り、「電池ガマ」と「電池ナベ」で料理を作ったので、みんなで楽しく食事をすることができた。オバQが二十杯もガツガツと食べてしまったので、電池ガマはあっという間にスッカラカンになってしまった。食後、三人は雲の上で最高に気分のいい昼寝をたっぷりと取ることができた。
正ちゃんがOちゃんの話を通訳してくれたドロンパから、オバQたちがグータラどものめんどうみるのをやめて、三人だけでどっかの山奥でのんびりとキャンプする計画を立てていると聞かされた。正ちゃん及びそれを偶然耳にしたのび太も「な、な、なんという失礼な!!」と猛烈に腹を立てた。
一方、みつ夫はママからの長いお説教から解放されたので、パーマンを探したが、どこにもその姿を見ることができなかった。猿のブービーとパー子が代わりに探しに出掛けると、タケコプターを装着して、ドラえもんとオバQを探しているのび太と正ちゃんに空中でばったり出会うことになった。
ドラえもんたちが「頭が悪くてどうしようもなまけものだ」と噂しているので、みつ夫の家に集まった三人は「こんなにばかにされてひっこんでいられか。なんとかあっといわせてやろうじゃないの」となった。のび太は「三人でパッパと宿題をかたづけてみせようよ」、正ちゃんは「パッパとはいかないだろうけど」、みつ夫は「力をあわせりゃなんとか…」と意見はかならずしも一致しなかった。
しかし、みつ夫のママから「えっ、お友だちといっしょにお勉強!? そんなことならママ大賛成よ」と励まされることになった。
雲の上では、オバQの「フンガ~ ゴ~」というものすごいイビキで、ドラえもんやパーマンはよく眠ることができなかった。その上、地の底でゴロゴロと地鳴りがしだし、カラスの群れが騒ぎだし、大異変の前触れではないか、とオバQまでブルブル震えだした。しかし、三人は「つまんないこと気にしないで遊ぼう」ということになった。
勉強を元気よく始めたが、やがて、のび太はマンガを読みだし、正ちゃんはファ~とため息をつきながら仰向けに寝っ転がったりしたので、みつ夫は鼻息も荒く、「グータラといわれたくやしさをわすれたのか」と檄を飛ばした。
正ちゃんが「なかなかはかどらないなあ」と愚痴り、みつ夫も「この調子だと何日かかりかな」と弱音を吐き出した。すると、のび太は前にも使ったことのあるひみつ道具『ハツラツン』を取りだした。これを飲むと、「一粒で二十四時間眠くもならないし疲れもしない」というものであった。
その後、なにごとも起こらなかったので、夜になるとキャンプファイアのまわりで歌を歌うことになった。最初に、パーマンが「まっかなマントをひるがえし来たぞ、ぼくらのパーマンが…」と歌い出した。歌を終えると、ドラえもんは「まあまあ。よかった。ちょっと音程がはずれてたようだけど」と拍手しながら評価した。
次に、オバQが「キュキュキュのキュ キュキュキュのキュ オバQ音頭でキュッキュッキュ」と気持ちよさそうに歌った。しかし、ドラえもんは「かなりのオンチだ」、パーマンも「こりゃひどい」と渋い顔をして聞いていた。
最後に、ドラえもんが顔中口だらけにして、「アンアンアンとっても大好きドラえ~もん」と怒鳴るように歌ったので、パーマンもオバQも両手で耳を押さえ、気絶寸前に陥っていた。
ドラえもんが歌い続けると、空からカラスやハトが「バサ ドサ」と目をまわして落下してきた。さらに、「あまりの歌のひどさに山まで火を吹く」有様であった。さすがに、ドラえもんも「まさかァ」と呟いて、驚愕していた。
みつ夫のママから、「もう遅いわよ、のび太さんも正ちゃんももう帰らないとおうちで心配なさるでしょ」といわれたが、せっかく調子が出てきたところであったので、のび太の提案でのび太の家で勉強を続けることになった。
正ちゃんは「こんな遅く?」、みつ夫は「しかられるよ」とためらったが、のび太の出した「タケコプター」を装着して、野比家に行き、引き出しの中の「タイムマシン」に乗って昼にもどることにした。
のび太がママに「今日一日家で友だちと勉強してもいいか」と尋ねたので、ママは「えっ!? い、いまなんていったの!?」とびっくりし、「まあまあ、ゆめじゃないかしら.のびちゃんがすすんで勉強をはじめるなんて」といいながら、三人にスイカをごちそうしている。
そのため、正ちゃんからは「ふだんよっぽどやらないんだな」と冷やかされている。のび太は「夜になったらまた、タイムマシンで昼にもどって、こんどは正ちゃんの家へ行こう」と提案し、正ちゃんは「ひと思いに宿題ぜんぶかたづけようぜ!」、みつ夫は「パーマンやQちゃんや、ドラえもんにぼくらの意地を見せてやろう!!」と意気軒昂であった。
夜になると、宿題は完成し、のび太は「奇跡としか思えない」、正ちゃんは「ぼくらもやればやれるんだね」、みつ夫は「さ、あとは大いばりで遊べるぞ」といった感想をもらした。
火山の噴火に続いて、「ゴゴ~」と地震が、さらに、「ドウドウドウ」と大洪水が襲いかかるので、「日本沈没だっ」と逃げ惑うオバQなどは絶叫している。当たりはいちめん海となり、三人は山奥の高い木の上のバンガローに孤立し、「きっと日本中で生き残ってるのはぼくらだけだよ」と嘆いていた。
三人はバンガローの屋根の上で、「のび太~。正ちゃ~ん。みつ夫くうん」と涙を流しながら叫んでいた。ドラえもんは「けんかするんじゃなかったよ」、パーマンは「ぼくらだけ遊びにきたりして」、オバQは「だからこんなことになったんだ、ワア~」と肩を落として泣いていた。
遠くの方から、「それできみたち反省したか」という声が聞こえてきたので、ドラえもんたちは「もちろん。反省した。ぼくだって」と真面目に答えている。突然、「え!? いましゃべったの、だれ?」と気づき、バンガローの屋根から遠くを見渡すと、水もなくなり、のび太たちが「あー、おもしろかった。ずーっとかくれてみてたんだよ」とはやし立てていた。
のび太は右手に「災難訓練機」を持ち、これを使って脅したんだと説明した。特に、ドラえもんは「ひどい!! ひどい!!」と顔を真っ赤にし、何度も飛び跳ねながらくやしがった。のび太はブービー、パー子、ドロンパ、Oちゃんを呼び出し、キャンプファイアを取り囲んで、「やっぱりキャンプはおおぜいのほうが楽しいね」と、みんなに同意を求めた。
[S2015・M01115・107908]