とう明人間目ぐすり[★★]
[初出誌] 『とう明人間』、「小学館ブック」1974年9月号、12頁、84コマ
[単行本] 『とう明人間目ぐすり』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第8巻」1975年7月25日 初版第1刷発行、12頁、84コマ
[大全集] 『とう明人間目ぐすり』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 20」2012年9月30日 初版第1刷発行、12頁、84コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『とう明人間』が『とう明人間目ぐすり』に変更
「知ってるよ。それがとう明人間なんだろ」、「早くかしてくれ」が「知ってる。それがとう明人間なんだろ」に変更[113(2)]
「見つからずに人の家へはいりこんだり」、「すじはしゃべらないでよ、自分で読むから」が「見つからずに人の家に入ったり」、「すじはしゃべるなよ。自分で読むから」に変更[113(3)]
「かさないとはいってないだろ、ゴリブリのあとで読め」が「貸さないとはいってないだろ、ジャイアンのあとで読め」に変更[114(6)]
「ゴリブリくん…」が「ジャイアンくん……」に変更[119(4)]
[梗概] ドカンのある広場で、ズル木がのび太に『透明人間』のおもしろいところを、「ペラ ペラ」としゃべっていた。のび太はどうしても読みたかったので、メンコ五枚で借りようとしていた。
なかなか貸してくれず、持っているもの全部やると約束したら、貸してもらえるようになった。そこへ、突然、ジャイアンが割り込んできて、その本を持っていってしまった。
メンコを返せと言っても、ジャイアンのあとで読めと言って返してくれませんでした。ズル木は「きみの努力しだいだね。…、むだだろうけどね。あいつにかしたものが、返ってきたためしはないんだ」と言って帰ってしまった。
家に帰って、ドラミちゃんに「仲間の間にあんなわがままなやつをのさばらせておいていいのかと、ぼくはいいたいんだ」と訴えると、「ぜったいゆるしちゃいけないわ」と言ってもらうことができた。
のび太が本物の透明人間になりたいと頼むと、ドラミちゃんは「そんなずるいの、きらいだな。ひきょうだと思うわ、おことわり!」ときっぱり言われてしまった。のび太は「けち! くそまじめ!」と怒鳴ったあと、持ってないから断ったんだという作戦に切り替えた。
すると、ドラミちゃんも持っていると主張し、人間にも目玉の水晶体とガラス体のように透き通った部分があり、それを実現する目薬があると言って、「四次元ポケット」から取り出した。
そのひみつ道具『透明人間目薬』を「ヒョイ」と奪い、のび太は目に「ピチュ」とさしてしまった。すると、本当に見えなくなり、ばんざいと叫んだあと、体につけているものを全部取り払ってしまった。メガネをかけられないのは不自由であったけれども。
ドラミちゃんから「おねがいだからあんまりいたずらしないでね」と念を押されて、外に出かけることにした。しずちゃんたちに出会うと、見えないけれども思わずごみ箱のふたで前を「サッ」と隠してしまった。
往来では、ズル木がジャイアンに「あの本いつかよみおわったら…かえしてもらえるだろうね」とていねいに尋ねたが、ジャイアンは「おれが、かりたもの返さないみたいないいかただな。いつ返さなかった!! えいきゅうにかりておくだけだぞ」と毒づいたので、ズル木も「じゃあ、つまりどろぼうじゃないか!」と言い返してしまった。
ジャイアンが「もういっぺんいってみろ!!」とズル木の首を絞めるので、透明ののび太が「そんなふうにすぐらんぼうするのが、頭の悪いしょうこだ」と言ったので、さらに「ギュウ」と首を絞められて、ズル木は失神してしまった。
のび太はジャイアンのあとに次いで家に上がり、土足のまま「ペッタ ペッタ ペッタ」と廊下を歩いたので、ジャイアンはかあちゃんに「ビタン」と殴られ、廊下掃除を命じられた。ジャイアンは不愉快な一日であったので、静かに『透明人間』の本を読み出した。
のび太がその本を奪ったので、ジャイアンは「本物の透明人間? まっ、まさか…」と思った。本物の透明人間であると名乗ったあと、「きみの自分かってをこらしめるためにやってきた」と宣言すると、ジャイアンは「なにを!!」と突進してきたので、ひょいと身をかわすと、ジャイアンは障子に頭から突っ込んでいった。
さらに、耳を「ギュ」と引っ張ったり、おしりを思いっきり「ポン」と蹴られたりしたので、ジャイアンは「ウオー」と叫びながら、手当たり次第本を「ドシン バタ ドタ」と投げまくった。その一冊がかあちゃんの顔を「バシン」と直撃したので、「ヒィ~、かあちゃんゆるして」という結果になった。
家では、パパが風呂に入ろうとするとき、目薬の容器が落ちていたので、目にさしていた。のび太はうまくいって、ドラミちゃんから「もとにもどりましょ」と言われているとき、お風呂からママの「キャーッ」という悲鳴が聞こえてきた。透明人間になったパパが頭に手ぬぐいをのせて、風呂に入っていたためであった。
[S2007・A0809・087409]