ネッシーが来る[★★★]

[初出誌] 『公園のネッシー』、「小学館ブック」19748月号、17頁、113コマ

[単行本]  『ネッシーが来る』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第6巻」197511日 初版第1刷発行、17頁、113コマ

[大全集] 『ネッシーが来る』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 202012930日 初版第1刷発行、17頁、113コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『公園のネッシー』が『ネッシーが来る』に変更

 「まず、ネッシーはかならずいると信じるのび太郎くんから」が「まずネッシーはかならずいると信ずるのび太くんから」に変更[97(4)]

 

 「こまかい×じるしがついているだろ」が「こまかい×印がついているだろう」に変更[97(8)]

 「中にはうそつきや気ちがいもいるだろう」が「なかにはうそつきもいるだろう」に変更[99(1)]

 

 「カメラの角度やレンズの焦点深度を、もとにして」が「カメラの角度やうつす物までの距離など……」に変更[102(7)]

 「ぼくはみんなの前でズル木にあやまらなくちゃならない」が「ぼくはみんなの前であやまらなくちゃならない」に変更[103(8)]

 

 「これはカバ田の家だっけ」が「これはジャイアンの家だっけ」に変更[109(2)]

 「しんせきへとまりにいったんだって」が「しんせきの家へ行ったんだって」に変更[109(6)]

 

[梗概] のび太はママから、「まあ、ずいぶんねっしんにお勉強してるのね。ノートをとったり、スクラップしたり…、あついのに感心だわね。二学期の成績が、楽しみね」と珍しく絶賛されている。

 

 「ネッシーはいるかいないか」といった公開討論会で、ズル木と対決するため、のび太はドラミちゃんの助けを借りて、ネッシーの資料整理の真っ最中である。

 

 ジャイアンが司会するこの討論会で、のび太はネッシーのいる派、ズル木はネッシーのいない派である。まず最初に、のび太は「ネッシーをみたという最初の記ろくは、五六五年、…、アダムセンという人が『聖コロンバ伝』の中でネス湖の竜のことを書いている」と紹介した。

 

  のび太は一九三四年、漁業管理員キャンベルがネッシーを目撃し、同年ロンドンの外科医であるケネス・ウイルソンが最初の写真撮影に成功、さらに、アーサー・グランドが陸へあがったネッシーを見たと発表した。

 

  ズル木から、証拠写真の提出を求められたのび太はスチュアート、ウイルソン、マクナブ、オコナーの撮影した四枚の有名な写真を提出した。『ネッシーがくる』といった作品が発表された後で、四枚のうちウイルソンの写真は1994年、トリック写真と判明したといった注が改訂版に載せられている。

 

 のび太は続けて、「一九六八年、バーミンガム大学の科学者たちが、水中音波探知器を使ってネス湖を調査」した結果によれば、「あきらかに動物とおもわれる巨大なかげを、水中で探知している」と報告した。こうした話を聞きながら、司会のジャイアンは「よし、きまった! ネッシーはいる」といった結論を下した。

 

 この結論にズル木は反撃を開始した。ズル木はバーミンガムの発表に対して、反対する科学者も多く、水中音波探知器のカゲはゴーストといってごくごくありふれた現象であることを指摘した。次に写真に対して、ひとつはトリック写真、もうひとつは関係のないものが写っているという二つの説を提出した。

 

 動物学者のモーリス・バートンの研究を、ズル木はイラストを使いながら詳細に説明している。ウイルソンの写真をカメラの角度や写したものまでの距離から、この写真は意外に小さいものを写していると判断できる。

 

  ズル木は「水にもぐろうとしているカワウソのしっぽと考えれば、いちばんぴったりする」といったバートンの結論を引用した。

 

 さらに、ズル木は「こんなちっぽけな湖に…。まい年おおぜいの人がおしかけてるのに、まだ一ぴきもつかまえられていない。それどころか、骨一本みつかっていない」とだめ押しの論陣を張った。

 

  司会のジャイアンは「決まった! ネッシーはいない!」と結論を下し、反論しようとしたのび太に対して、「おれたちの公平なはんだんに、したがえないってのか!」と脅し、その上暴力を振るった。

 

  コブを作って帰ってきたのび太はドラミちゃんに「新しい決定的なしょうこをみつけてくると、約束したんだ。みつからなかったら…。ぼくはみんなの前で、あやまらなきゃならない」と訴えた。

 

  こうした結果を予想して、ドラミちゃんは東京にある「公園の池と、スコットランドのネス湖を、地下水路でつなぎ」、地底探検車の電気掃除機的機能によって、ネッシーを吸い付けながら一週間以内に東京に引き連れて来るという計画をのび太に打ち明けた。

 

  一週間たっても東京の池にネッシーの現れる気配は全然見られなかった。残り十分で予定の期限が切れるので、心配になったドラミちゃんは池に潜って、調べると巨大なネッシーが池に到着していた。

 

  早速ズル木を呼びにいったけれども、親戚の家に出掛けた後だった。ガッカリしながら池の畔で座っていると、誰かがネッシーを見つけて、「ギャー」と叫びながら逃げていった。大騒ぎになることを心配したドラミちゃんは、かけがえのない「生きている化石」のネッシーを帰して、地下のトンネルを埋めてしまった。

 

  翌日、ジャイアンが「こいつ、おれの話を信じねえのか!」とズル木に暴力を振るいながら、「ネッシーがいるかいないか」を詰問していた。ドラえもんとのび太の前で、ズル木は「いるいる。ネッシーはほんとにいるんだよう」と答えた。

 

  こうした出来事の背景に、ジャイアンの前の晩の行動が関係していた。つまり、ジャイアンが「あつくるしかったから、公園へさんぽしにいったんだ。そしたら池の中から…。あらわれたのが、例の写真のネッシーそっくり!」といった目撃談に起因していた。

[S2006A0614087408]