地底の国探検[★★★]
[初出誌] 『ここほれワイヤー』、「小学館ブック」1974年6月号、15頁、88コマ
[単行本] 『地底の国探検』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第5巻」1974年12月1日 初版第1刷発行、16頁、90コマ
[大全集] 『地底の国探検』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 20」2012年9月30日 初版第1刷発行、16頁、90コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『ここほれワイヤー』が『地底の国探検』に変更
「さ、そこでそうだんだけど…」が「さっ、そこでドラミちゃん相談だけど…」に変更[64(3)]
「地面の底に、町が!?」が「地面の底に町がある?」に変更[69(7)]
「しらべてみようよ。大発見じゃない」が「調べてみようよ。大発見じゃないか」に変更[70(1)]
「地かくは、地表から三万メートルくらいのところまでいうの。400度以上の高熱の世界なのよ」が「中心付近はものすごい圧力で鉄も溶かしてしまう高熱の世界なのよ」に変更[72(5)]
「ピラミッドね。かなり古いものらしいわ」、「人の気配がまったくないけどみんな死に絶えちゃったのかな」コマ挿入[76(2)]
「あの穴はなにかしら」コマ挿入[76(3)]
「じゃ、ぼくらは地球の中心をつきぬけてうらがわへ…」が「じゃあ、ぼくらは地球の中心をつきぬけて裏側へ……」に変更[78(4)]
[梗概] のび太は今月のこづかいも百円硬貨一枚になってしまったので、地面の中にはまだたくさんの宝物が埋まっているから、ドラミちゃんに、宝さがしの道具がないかどうかを相談している。
すると、ドラミちゃんからきっぱり、お金は自分で働いてもうけるものと言われてしまった。のび太はドラミちゃんはくそまじめなところが、欠点だと言いながら外に出かけた。
土管のある広場で、ジャイアンは新聞に出ていた方法、つまり、二本の折り曲げた針金を使って、地面に隠した鉄パイプをものの見事に、探り当てていた。ジャイアンは、手に持った針金が埋まっている場所の上にくると、ひとりでに開くんだとみんなに説明している。
のび太は全く信用できなかったので、自分の持っていた全財産百円硬貨を埋めるから、探してみろと挑発している。ジャイアンが「トコ トコ トコ テク テク テク」と探し回っても見つからないので、「百円玉ぐらいじゃ、かんじないんだよ。一万円玉なら見つかるのに」と言い訳している。
家に帰って、のび太はドラミちゃんに泣きながら、「あの、百円玉があきらめきれないよ」と訴えると、『ここほれワイヤー』というひみつ道具を出してくれた。広場に行って探すと、このワイヤーが「ピョコ」と伸びて、百円玉の形をして、いとも簡単にここだと知らせてくれた。
このワイヤーはこすればこするほど、深いところの物を探してくれる道具である。のび太は宝探しができると思い、ワイヤーを思いっきり何度も何度も、「ゴシ ゴシ」とこすった。
ワイヤーは町らしい形を示したので、地面の底に、町があると思い、のび太がスコップで掘り出した。そんなものじゃだめなので、ドラミちゃんが「ジャーン」とひみつ道具『地底探検車』を取り出した。探検車は地面の中を「ガ~ ゴ~」と音を立てながら、どんどん掘り進み五千メートルを超えてしまった。
すると、逆転装置が故障し、「ガッ ギーン」と轟音を立てて、地球の中心である内部コアに飛び込んで暴走し続けた。
ふたりが気絶から目覚めると、探検車は止まり、あたりは暗くてひんやりしていた。ライトを付けると目の前に、びっくりするような大地底都市が出現した。車から降りて探検すると、地底人の国らしく、かなり古いピラミッドが目に入ってきた。
さらに探検を続けると、巨大な穴があったので中を覗き込むと、多数の人骨が横たわっていた。ふたりは「地底人に食べられた人たちだな。やあん、こわい」と抱き合って震えていると、とびらが「ギギギ…」と開いて、「ドヤ ドヤ」と人が階段から駆け降りてきた。
ふたりは懸命に逃げて「地底探検車」に飛び乗り、「ギューン」とエンジンをかけて無事戻ることができた。『朝夕新聞』を読んでいたのび太のパパが、「千年前のマヤ族のいせきが、地下から発見された」という記事をふたりに話してくれた。マヤ族は昔メキシコで立派な文明を築いた人種であった。
さらに、ふたりは新聞に出ている写真を見て、アッと驚いた。のび太は「ぼくらは地球の中心をつきぬけて、うらがわへ」行ったことに気づいた。
パパは、探検隊が入り口を発見してはいっていったら、二つのひとかげがにげていったという記事を紹介し、逃げたふたりは地底人ではなかろうかと書いているが、「まさかねハハハ」と笑い飛ばしている。ふたりはその話を聞いて、頭が混乱し、チンプンカンプンの表情をしていた。
[S2004・A0509・087406]