山奥村の怪事件[★★★]
[初出誌] 『どこへでも行ける「ふしぎなドア」』、「小学館BOOK」1974年3月号、15頁、96コマ
[単行本] 『山おく村の怪事件』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第7巻」1975年5月25日 初版第1刷発行、17頁、104コマ
[大全集] 『山奥村の怪事件』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 20」2012年9月30日 初版第1刷発行、17頁、104コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『どこへでも行ける「ふしぎなドア」』が『山おく村の怪事件』に変更
「のび太郎さんのいってること聞こえないって!」が「のび太さんのいってること聞こえないって」に変更[32(4)]
「どんなものがほしいのか、それとなく聞いたほうがいいわよ」が「それはやはりどんなものがほしいのか、それとなく聞いたほうがいいわよ」に変更[32(8)]
「けしきがよくて、しずかでゆっくり休めるところ」が「けしきがよくてひとけがなくてゆっくり休めるところ」に変更[34(1)]
「ほんとにだれもいないよ。きみがわるいくらいシーンとしてる」が「ホントにひとけがないよ。きみが悪いくらいシーンとしてる」に変更[36(1)]
「こんちわ……」、「みんなどこへ行ったんだろう」が「こんちは……」、「みんなどこへ行ってるんだろう」に変更[36(2)]
「レッツゴー」コマ挿入[37(2)]
「レッツゴー!」が「文字なし」に変更[37(3)]
「いろいろ持っていかなきゃ」、「なんにもないところだから」コマ挿入[37(4)]
「だれもいないから」が「よくねむれるよ」に変更[38(3)]
「ど、どこなのよ、ここは」、「いけないよ。よその家へだまってあがりこむなんて」コマ挿入 [38(4)]
「ここは高伊山の山奥村です」、「村じゅうさがしたけど、ネコ一匹いないんだから」コマ挿入[38(5)]
「すみにくかったんだ。電気も水道もきてないしな」が「不便で住みにくかったんだよ。電気も水道も来てないし」に変更[39(2)]
「しずかだね……」が「しずかねえ」に変更[39(6)]
「どーこーかーで春が生まれーてる」が「どーこおかーで春が生まれーてるー」に変更[40(1)]
「ここが台どころ」が「ここが台所だね」に変更[40(6)]
「文字なし」コマ挿入[40(8)]
「ウ……」コマ挿入[41(2)]
「現場は、なだれの危険があるため、捜査もはかどっていません」コマ挿入[42(1)]
「人がいたからたすけてくれって」が「人がいたから助けてくれと」に変更42[(7)]
「ウ…」挿入[43(5)]
「ズルズル」挿入 [46(1)]
「文字なし」コマ挿入[46(2)]
[梗概] きょうはパパとママの結婚記念日であった。のび太は何かアッとおどろくようなプレゼントをしたかったが、ドラミちゃんに相談しても、むずかしいという返事であった。
二人に直接聞くことにしようとしたが、外の工事の「ダダダダ ガガガガ ドスン ドスン ドドドド」という音で、押し入れの中でも眠れないとパパはこぼし、ママも朝からうるさくてノイローゼになりそうだわと、愚痴っていた。これを聞いて、のび太は「けしきがよくて、しずかでゆっくり休めるところ」プレゼントしようと思った。
ドラミちゃんがコンピューターで調べると、「高伊山の山おく村」がリストアップされた。ドラミちゃんが「ニュウ」と出したひみつ道具『どこでもドア』で、山おく村へ行って事前に調査することにした。着いた山おく村は雪も深く、合掌造りの家にも誰一人住んでいなかった。
ゆかもくさり、クモの巣だらけで、いまにもオバケが出そうであったので、のび太は帰ろうと言い出した。しかし、ドラミちゃんがそうじすればきれいになると言ったので、二人でそうじを始めることにした。
ドラミちゃんとのび太が野比家の廊下を「ドタ バタ」走りながら、掃除機や食べ物やテレビなどを、何度も運んで準備を整えていた。「どこでもドア」を使って二人をこの家に招待すると、よその家にだまってあがりこむことはよくないことだと注意された。
しかし、パパが雑誌で読んだ「ここにすんでた人たちは、二、三年前に村をすてたんだ」という記事を思い出した。そして、ここには、電気も水道もきてないし、学校も遠くてお医者さんもいない。冬になると雪に閉じこめられ、何か月も町に出ることができないと、説明してくれた。
静かで、生きかえった気がすると言いながら、パパとママは「どおこおかあで春が生まれてる」と、一緒に窓辺で歌い出した。のび太とドラミちゃんはおやつにラーメンを作るため、かまどでお湯を沸かし始めた。なかなか火がつかなかったが、火がついたので、お湯が沸くまで、外でパパと雪合戦をすることにした。
誰もいなくなった部屋のテレビには「高伊山で行方不明になった金原さんは、七日たったきょうになっても見つかりません」というニュースが流れていた。そのニュースを聞きながら、行方不明になった金原さんが「ヨロ ヨロ」と部屋に入ってきて、板の間に出ていたラーメンの袋に気づいて、「ガッ ガッ バ バリ ボリ ボリ ムシャ ムシャ」と食べまくった。
やっと声が出るようになったので、人の声のするほうへ「おうい、助けてくれ!」と叫びながら行くと、木の枝から雪が「ドサドサ」と落ちて、雪の下に埋もれてしまった。
外では、学生野球のピッチャーだったパパが、のび太から「いがいとうまいじゃない」と言われながら、雪合戦を楽しんでいた。ドラミちゃんが「今、へんな声が聞こえなかった?」と尋ねたが、木の枝から雪が落ちたんだと言うことになった。
落ちてきた雪を使ってみんなで雪だるまを作ると、東京では作ることのできない大きな雪だるまになった。のび太がみんなに見せてやりたいと言い出したので、ドラミちゃんはひみつ道具『雪だるま運搬機』を出して、「どこでもドア」を使って、わが家の庭に運びこんだ。
お腹がすいたので、戻ってラーメンを作ろうとしたら、ラーメンは全部食べられてなくなっていた。パパからタヌキかサルか野生のネズミが食べたのだろと説明されたあと、ママが作ってくれたおいしいごちそうを、囲炉裏のそばで食べることができた。
いい日曜日であり、ビルの工事の音も完全にやんでいた。しかし、庭に運んだ雪だるまは、すっかり形が崩れていた。テレビでは、「高井山でそうなんした金原さんは、東京都内の道の上で倒れてるところを発見されました」というニュースが流れていた。ママも、「へええ、ふしぎな話があるものね」とみんなと一緒に驚いていた。
[S2002・A0719・087403]