まんが家ジャイ子先生 [★★★]

[初出誌] 『まんが家ジャイ子』、「てれびくん」198211月号、12頁、95コマ

[単行本]  『まんが家ジャイ子先生』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第29巻」1984125日 初版第1刷発行、12頁、95コマ

[大全集] 『まんが家ジャイ子先生』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 192012630日 初版第1刷発行、12頁、95コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『まんが家ジャイ子』が『まんが家ジャイ子先生』に変更

 

[梗概] のび太がニヤニヤしながら、ドカンのある広場で遊んでいたジャイアンとスネ夫のところへやってきた。おもむろに、「コロコロコミック十月号」を出し、『新連載のび太くん』と書かれたページを開いて、二人に見せた。

 

  「こんなムチャクチャなでたらめなまんがが、コロコロみたいな一流の雑誌に…」と異議を唱えると、のび太は調子に乗って、「あんまりおもしろいから、ぜひのせてくれと、編集長が」と話してしまった。

 

二人から「ポカ ボカ」殴られているところへドラえもんがやってきて、二人に「なんでもいからかいてみて」と二枚の絵を描いてもらった。ひみつ道具『すりこみ製本機』に雑誌と原稿を入れ、スイッチを「ポン」と押すと、「ポケ ポケ バサ」と印刷されて、雑誌に中に閉じ込められた。

 

 スネ夫が「こんなインチキでよくもぼくらを」と、のび太に殴りかかろうとすると、ジャイアンは「のび太くんに、何しやがる!!」と逆に殴り倒してしまった。ジャイアンはスネ夫にあっち行けと命じ、のび太に「さっきは、らんぼうして悪かった。きみにおりいってたのみがある」と神妙に語り出した。

 

 「おれな…一度でいいからクリスチーネ剛田のまんがを、雑誌にのせてやりたいんだ」、「クリスチーネ剛田ってだれだっけ。女子プロレスかなんか…」、「ジャイ子のペンネームじゃねえか。忘れたのか!! 何度新人賞に応募しても、落選続きで…」と涙を出しながら真情を吐露した。

 

 ジャイ子が「まんがをやめようかと思うの。あたしには才能がないのよ」と泣き出したので、ジャイアンは「弱虫!! 百回や二百回の落選でくじけるな!!お兄ちゃんがついてるぞ」と激励している。

 

 ジャイアンはこれまでかきためた原稿と山ほどの少女雑誌をもってきたので、「すりこみ製本機」で「ポコ ポコ」刷ることになった。完成した雑誌をジャイ子に見せると、「こ、これはたしかにあたしのかいた…お兄ちゃん!!」、「ついにおまえの才能が、花開いたのだ」と、二人はしっかと抱き合った。

 

 ジャイ子が編集部へお礼の電話をすると言い出したので、ジャイアンが頼みにきたので、ドラえもんとのび太が「こんなうそがつき通せるわけないよ。うちあけてほんの軽いじょうだんだったと…」と忠告した。すると、ジャイアンは「妹がないてよろこんでるのに、いまさらそんなこといえるか!」と怒鳴ってきた。

 

 ドラえもんはひみつ道具『通話よこどり電話』を取り出した。ジャイ子が編集部に電話をかけると、のび太編集長から「や~や~クリスチーネ先生!! こないだは傑作をありがとうございました。

 

  人気アンケートで、たちまちトップになりました。いまや先生の人気は、日本一…世界一…」との返事が返ってきた。すると、ジャイ子は「人気のわりには、ファンレターが一通もこない」ことを不思議に思った。

 

 のび太がよけいなこと言うからだということになり、結局、ドラえもんがひみつ道具『もはん手紙ペン』を出すことになった。ダイヤルを替えて、幼稚園から大学生まで幅広いファンレターを段ボールいっぱいなるまで、のび太は書きまくった。

 

  心のこもった手紙を読みながら、ジャイ子は「でも…、おかしいな。こんな人気作家は、ほかの雑誌もほっておかないと思うけど」とつぶやいた。

 

 「もっとたくさんの雑誌にのせろ!!」となり、『アンコロモチストーリーズ』、『日出処は天気』、『ペロペロキャンディ』を「マンガレット」、「少女ブレンド」、「ギャオ」にのせることができた。

 

  すると、ジャイ子は「原稿料が入ったら、お城みたいな家を建てようね」となった。ドラえもんたちも「そこまでめんどうみられるか!!」、ジャイアンも「おれ、うちへ帰れないよ」と悲鳴を上げ出した。

 

 ジャイ子は「よくこんなまんがが、雑誌にのったものだと思うわ。どれもこれも、プロのまねじゃないの。わたしのかきたかったまんがは、こんなものじゃいないんだわ」となり、読者がどうみているか、生の声を外に出て聞くことにした。

 

 スネ夫がやってきたので、「クリスチーネって新人のまんがよんだ?」、「きいたことないなあ。ひっでえまんが!! へたくそでシッチャカメッチャカで、よくもこんなはじしらず…」と話したところで、ジャイ子に気づいた。「ジャイアンに、殺される」といって気を失ってしまった。ジャイ子は「はっきりいってくれてよかった。これで目がさめたわ」となった。

 

 「編集部ですか、クリスチーネです。あんな作品で、原稿料なんかいただけません。第一歩から勉強し直します。あれはなかったことにしてくださいね」と「通話よこどり電話」にかかってきた。その電話を受けたジャイアンは「えらいぞ、ジャイ子…。いや、クリスチーネ先生」と感涙にむせんで応対していた。

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