ねむりの天才のび太 [★★★]
[初出誌] 『ねむりの天才、のび太』、「てれびくん」1982年4月号、11頁、75コマ
[単行本] 『ねむりの天才のび太』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第30巻」1984年4月25日 初版第1刷発行、12頁、81コマ
[大全集] 『ねむりの天才のび太』、「藤子・Ｆ・不二雄大全集 ドラえもん 19」2012年6月30日 初版第1刷発行、12頁、81コマ
【初出誌vs.大全集】
「ごめんください」,「のび太先生はいらっしゃいますか～」,「ATV」,「ATV」コマ挿入[50(7)]
「いねむり評論家の由目見さんが、解説されます」,「よろしく」コマ挿入[51(2)]
「解説は、いねむり評論家の由目見さんです」が「ねむりは世界を救う！！」に変更[51(3)]
「そうともしらず、おれたちは………」,「おわびしなくちゃ」コマ挿入[52(3)]
「ええっゆるしてくださる！？」,「あんなにいじめたのに！？」コマ挿入[52(5)]
「つまらないうらみは水に流し、手をとりあってねむりの道をきわめよう」コマ挿入[52(6)]
「これからはあらそいをわすれ、なかよくねむろうじゃないか」が「この平和が永久につづくよう祈ってぼくらもねむろうか」に変更[52(7)]
「しかしその前に」,「晩ごはんたべなくちゃ」,「グー」コマ挿入[52(8)]
[梗概] のび太は授業中居眠りして、先生に叱られ、ママから「ガミ ガミ」説教されているときに、「スヤ…」と眠り、さらにきつく叱られてしまった。のび太は「ドラえも～ん。いねむりしながら、おきていられるくすりをだしてくれ」と頼んだが、ドラえもんは部屋にいなかった。
ドラえもんが帰ってくると、のび太は昼寝の夢を見ながら昼寝をしていた。ドラえもんが「ねたいからねる。食べたいから食べる。それじゃ動物と同じじゃないか。人間なら、自分の意志でしっかりと…」と忠告すると、のび太は「ねむるのが悪い、おきてりゃえらいなんて、だれがきめたんだろ」とふて寝を始め出した。
そして、突然「そうだ！！」と起きあがり、「もしもボックス」に「ジリリリン」と電話して、「もしも、ねむれればねむるほどえらいという世界になったら…」とお願いしている。
学校では、先生が「えらい！！ きみはよくそんなにねむれるなあ。それにひきかえ、みんなは勉強ばかりしてる！！ 少しは、のび太を見ならっていねむりしなさい。みんなろうかで反省しろ」と怒鳴りつけている。
家に帰るとママが洗濯物を干して働いているので、のび太は「また働いてる！ ねむくないから起きていればいつまでたってもぬむれないよ」と「ガミ ガミ」叱りつけている。
のび太が昼寝をしていると、しずちゃんが「今度から、中学へ進むとき、ひるねテストがあるんですって。あたし、自信ないの」と「ねむり方を教えて下さい」とやってきた。
のび太が「じゃあね、最初は初心者向きのねむり方。こうやって」と模範を示すと、のび太先生が「スヤ スヤ」と眠って、しずちゃんから先に眠っちゃ教えてもらえないと注意されている。
のび太はいちばんだいじなことは、体の力をぬくことだ、そして、頭の中を空っぽにしてと指導しているが、しずちゃんが眠れないというので、「どうしてこんなかんたんなことができないの！？」と腹を立ててしまった。
ドラえもんから「そりゃ、のび太の頭はもともとからっぽだもの」と茶々を入れたので、のび太とドラえもんのけんかになってしまった。しずちゃんから、「やかましくてねむれない」とクレームが入ったので、けんかをやめることにした。
のび太はやり方を変えて、「おだやかなのんびりした…、春の野原を想像しよう。お日さま、そよ風、一匹のちょうがひらひらと…。つづいて二匹めのちょうがひらひら…、三匹め…、四匹め・・」と語りかけると、しずちゃんは「スヤ…」、ドラえもんは「ウト…」、のび太は「グウ」と眠りに入った。
途中から、爆睡に入ったドラえもんが「フガ～」と大きなイビキをかきだしたので、みんなの目が覚めてしまった。しかし、しずちゃんから、「でも、ねむれたわ。先生のおかげです」と涙を出して感謝された。のび太先生も「きみには、才能があるよ。あしたから、さらに高度なねむり方に進もう」とアドバイスしている。
評判になって、「あけぼのテレビ」が教養番組の『正しいひるね』を放映することに決まり、のび太が出演することになった。いねむり評論家の由目見さんが「ねむりは世界を救う！！ ねむりながら戦争はできません。平和のため、のび太先生をお手本にして、みんなねむりましょう」と解説を始めた。
アナウンサーから模範演技を頼まれると、「パタ。グウ」となり、なんという早わざと絶賛されている。「スロービデオでもう一度。う～む、むだのないアクションですなあ。0.93秒！！ おそらく世界新記録でありましょう！！」と実況中継され、評論家からも「あのねすがたのみごとなこと。一すじのよだれが、なんともいえませんねえ。ねむりの天才というほかありません」とベタほめされている。
アナウンサーもヒートアップし、「オリンピックのいねむり種目に、日本代表として、大活躍が期待されます」と絶叫している。
この中継を見たジャイアンとスネ夫は「先生！！ バカにしてすみませんでした！」と手をついて謝ると、のび太先生は「つまらないうらみは水に流し、手をとりあってねむりの道をきわめよう。この平和が永久につづくよう祈ってぼくらもねむろうか」、「先生！！」となった。
しかし、のび太のお腹が「グー」となったので、晩ご飯を食べようと思って、ママのところへ催促に行くと、「スヤ スヤ」眠っており、起こすとこれから買い物に行くという返事であった。「みんなねむってて、なんにも買えなかった」と帰ってくると、居眠りのダンプが「ドカン」と野比家に突っ込んできた。
その光景を見て、のび太は「もしもしボックス」の中で、「もしもしもとへもどして！！」と大声で叫んでいた。
[S1936・A3005・078204]