地底のドライ・ライト[★★]

[初出誌] 『ドライ・ライト』、「てれびくん」19821月号、12頁、89コマ

[単行本]  『地底のドライ・ライト』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第33巻」1985425日 初版第1刷発行、12頁、89コマ

[大全集] 『地底のドライ・ライト』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 192012630日 初版第1刷発行、12頁、89コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『ドライ・ライト』が『地底のドライ・ライト』に変更

 

[梗概] のび太が昼寝をしていたらママにストーブを切られてしまった。ママは「地球にはもうあまり石油がのこっていないの。だいじに使わないと、すぐになくなっちゃうのよ」というのが消した理由であった。

 

  ドラえもんもママの意見には賛成であった。二十二世紀になるとひみつ道具『ドライ・ライト』が使われて、エネルギー問題に対処していた。

 

 この「ドライ・ライト」は太陽の光線のエネルギーをドライアイスみたいにかためたものであり、小さなかたまりであったけれども、とても温かかった。ドラえもんは夏の熱い日光を地底にためていた。

 

  鉱脈は町の地下いっぱいに広がり、必要なだけ取り出し、布でくるむとカイロに、天井からつるすと電灯に、幹電池の代わりにいれると懐中電灯に、ヤカンに入れるとアッという間にお湯になった。

 

 のび太は、「会社を作って売り出そう。…。安くて便利なエネルギーが手に入れば、みんなよろこぶよ。悪い? ドラやきすきだろ」、「とつぜんへんなことをきくな!! 大すきなのにこのところお金がなくて」、「ドライ・ライトでもうければ、食べほうだい」、「や、や、やろう。やろう」ということになった。

 

 ドラえもんが早速、しずちゃん、ジャイアン、スネ夫、安雄、はる夫に売りに出かけると、高いといって断られ、友だちを相手に金もうけしようなんて!と散々であった。ドラえもんは「こりゃだめだ」と思って帰宅した。

 

  すると、のび太から「ドラやき食べたくないの!!」と言われたが、「いや、いくらドラやきのためでも、売れないしさむいし…」と言い訳すると、のび太はドラえもんをドラ会社の社長にし、社長室の横にどら焼き食堂を作ろうと言いだしたので、再度、ドラえもんは興奮して「なにがなんでも売ってくる」と言って出かけた。

 

 ドラえもんは知恵を絞って、きょうはサービスで見本を配り、この便利さがわかれば買わずにはいられないだろうと思った。ジャイアンとスネ夫は広場で寒さのため野球をやめようとしていたが、ドライアイスをあちこちにまくと、温かくなり、また野球を始めだした。帰りには明日から百グラム百円と宣伝もバッチリ入れた。

 

 しずちゃんの家で、ドラえもんはおフロにドライ・ライトを「ポチャ」と入れて、アッという間にフロを沸かしている。安雄やはる夫には試供品を進呈している。往来では、行き来している町の人々に、このライトの便利さを体験してもらっている。

 

 野比家では、見本をくれと、おすなおすなの大さわぎであった。見本のサービスはおしまいですと告げると、百グラムに百円を払って買う人が出てきた。ドラえもんはこのライトはここにしかないので、三百円、五百円とドンドン価格をつりあげた。

 

 最初、五百円は高いといっていた神成さんもその価格で買うことになった。お客さんが殺到したので、ドラえもんは鉱脈をドンドン掘り出した。

 

 「来年の夏はもっと広い場所でドッサリつくろう。世界中へ輸出して、世界中のどら焼きを輸入しよう。ウヒョ ヒョ」とよだれを垂らして、楽しい夢をみていた。「……なんだかあつくなってきたよ」となり、ドライアイスを格納した場所へ行ってみると、扉が開けっ放しの状態であったので、全部とけだして町中へ流れ込んでいた。

 

 ドカンの広場では冬であったが、ジャイアン、スネ夫、しずちゃんは夏姿でバレーボールを楽しんでいた。のび太は「この暑さは当分続くだろう」と考えていた。かたわらで、ドラえもんが「フニャ…」となって、すっかり気落ちしていた。

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