平和アンテナ [★★]

[初出誌] 『平和アンテナ』、「てれびくん」19815月号、10頁、69コマ

[単行本]  『平和アンテナ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第25巻」1982825日 初版第1刷発行、10頁、69コマ

[大全集] 『平和アンテナ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 192012630日 初版第1刷発行、10頁、69コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] のび太、ジャイアン、スネ夫の大すきなテレビ番組『ムテキマン』が今夜放映される。非常に楽しみにしながら、家に帰ると、パパとママがはげしい夫婦げんかをし、のび太は離婚するかもしれないと思って、ドラえもんの部屋へ走っていった。

 

  ドラえもんは悠然と、「パク パク ムシャ ムシャ」とどら焼きを食べ、「ゴクリ」とお茶を飲み、食べ終わったら…、夫婦げんかをピタッと止めてみせると豪語していた。

 

 ドラえもんがひみつ道具『平和アンテナ』を取り出し、「ピピピ」と電波が出ると、あれほどはげしかった夫婦げんかもピタリと終わり、「わたしが悪かったわ。とんでもない。悪いのはぼくのほうだよ」と握手を交わしている。このように、「平和アンテナから出る平和電波はどんなあらそいもピタリと止める」ものである。

 

 「平和アンテナ」の使用に対して、最初、断っていたが、「みにくいあらそいをなくして、平和な世の中にするのが、悪いってのか!?」と詰め寄られると、ドラえもんも使用を認めざるをえなかった。

 

  のび太がイヌとネコとのけんかを仲裁し、けんかをしながら将棋をしているご老人に、平和電波を浴びせると、「さ、どうぞ。王さまをおとりください。いや、それはあなたに悪いから…」と仲良くなりすぎてしまった。

 

 しずちゃん自身にもパパやママにも問題がなかったので、のび太はもっと本式のけんかを止めたいと思っていた。そこへ、わがままで、乱暴で、けんかがごはんより好きなジャイアンがやってきた。

 

  最高の標的を獲得したので、一緒について行くと、広場で安雄とはる夫がけんかをしていた。すると、ジャイアンがけんかの仲裁に入って、ふたりを仲良く握手させてしまった。

 

 「平和アンテナ」の使い道がないとスネ夫に嘆いていると、ジャイアンを見たスネ夫が「のび太がね、きみのことを乱暴でわがままでクルクルパー…」と告げ口をしたので、「ウガー」と追いかけられることになった。

 

  ドカンの陰に隠れていると、アンテナを手にしたスネ夫はこれで助けてやるのにと思っていたのに、日が暮れて、『ムテキマン』が始まるので、アンテナを「ポイ」と捨て、ジャイアンとともに家に帰ってしまった。

 

 のび太はアンテナを拾って、家に帰ると、「ジャジャジャーン」と「ムテキマン」が始まるところであった。画面で、「ムテキマンよ。こんどの怪獣には、さすがのおまえもかなうまい。

 

  なにをアクマーン。正義はかならず勝つのだ!!」とクライマックスのシーンになったので、のび太は「ムテキマン負けるな!!」と叫んだ。すると、右手に持ったアンテナのスイッチを「カチ」と入れてしまった。

 

 画面は、「アクマーンよ。むだなあらそいはやめようではないか。わしも、そう思ったところだ、ムテキマン。これからなかよくくらそう。ふたりがなかよくなったので、ムテキマンは、今週でおしまいです」となってしまった。

 

  「だから、ろくなことにならないと、いったんだ!!」と、ドラえもんとのび太ははげしくつかみ合いのけんかとなってしまった。

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