円ピツで大金持ち [★★]
[初出誌] 『円ピツ』、「てれびくん」1981年4月号、10頁、72コマ
[単行本] 『円ピツで大金持ち』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第25巻」1982年8月25日 初版第1刷発行、10頁、72コマ
[大全集] 『円ピツで大金持ち』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 19」2012年6月30日 初版第1刷発行、10頁、72コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『円ピツ』が『円ピツで大金持ち』に変更
[梗概] のび太はパパのかたたきのアルバイトもしないで、さらに、ドラえもんのくどいお説教も聞かないで、ただこづかいだけがほしかった。困惑したドラえもんは「紙に金額をかきこめば、その紙がそのままお金になる」というひみつ道具『円ピツ』を出して、のび太に与えた。
ドラえもんの説明も聞かないで、本屋さんに飛び込んで、新刊を買おうとした。しかし、不安になり、家に戻ってドラえもんに「これを使ったら、その分だけ、貯金がへるとか、物がなくなるとか」を確認して、そうでないことがわかったので、再度、出掛けて350円の新刊を買うことができた。
紙切れに金額を書くだけで、ほしい物やどんな高い物でも手に入れることができるので、のび太は世界一の大金持ちになったと思った。持ちきれないほどの買い物をひとまず家へ運んでから、また出掛けてしまった。
ドラえもんは当初、「少しこらしめなくちゃ」と思って黙っていた。しかし、今回の買い物でストップをかけようとしたら、のび太がすでに家を出てしまっていた。
のび太はふだんお金を使いなれていないので、なんかいい使い道がないかと考えて、歩いていると、スネ夫に出会った。スネ夫は「ぼかあ、ふだんから豊かにくらしてるから」特別にほしいものはないという返事であった。
しずちゃんにはかわいいブローチをプレゼントした。しずちゃんからは「でも、こんな高い物もらえないわ」と返されそうになったが、のび太は「いいからいいから」といって立ち去っている。
のび太が走っていたら、ジャイアンにぶつかり、「ムガア」と怒ったジャイアンに殴られそうになった。しかし、ホットドッグをプレゼントし、さらに、ひと月千円で用心棒になってもらうことができた。
スネ夫のボールがのび太の頭に「ボカ」と当たると、ジャイアンがスネ夫の胸ぐらをつかんで殴ろうとした。ジャイアンが千円で用心棒に雇われたことを知ったので、スネ夫が千百円を出すというと、のび太は二千円、すると、スネ夫は二千百円、さらに、のび太は「サラ サラ」と五千円と書いたので、決着がつき、スネ夫は「ボカッ ボカッ」と殴られてしまった。
のび太を探しにやってきたドラえもんが、スネ夫からのび太が「ジャイアンに五千円を与えた」という話しを聞き、ビックリ仰天している。なぜなら、あの「円ピツ」は『アルバイト料先ばらい円ピツ』であり、「かいた金額の分だけ、働いて返さなくちゃならない」ものであるからである。
その頃、ジャイアンズのホームグランドを作る話を、のび太とジャイアンは話していた。グランドが完成したら、のび太は「ぼくがエラーや三振してもおこるなよ」と申し出ると、ジャイアンは「もちろんだとも心の友よ」と快諾している。ふたりが不動産屋に入る寸前に、ドラえもんはのび太を取り押さえることができた。
のび太は「なんでそれを始めにいってくれななかったの」と攻撃すると、ドラえもんは「こんなでたらめするなんて思わなかったもの」と答えている。その間にも、本屋さんや買った店からの仕事が殺到していた。
夜になって、のび太が宿題をしている間も、ドラえもんは懸命にバイトに精を出していた。それを見て、「ごめんねドラえもん、いつも迷惑ばかりかけて」と心の底から謝っていた。
[S1924・A2502・078104]