森は生きている [★★★]
[初出誌] 『森は生きている』、「てれびくん」1981年1月号、10頁、68コマ
[単行本] 『森は生きている』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第26巻」1983年1月25日 初版第1刷発行、13頁、90コマ
[大全集] 『森は生きている』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 19」2012年6月30日 初版第1刷発行、13頁、90コマ
【初出誌vs.大全集】
「?」、「のび太のせいだぞ」、「うぬ~よくもよくも」コマ挿入[114(5)]
「森が助けてくれたんだね」コマ挿入[114(7)]
「文字なし」コマ挿入[115(1)]
「ただいま!」、「きょうはおみやげがあるよ」コマ挿入[115(2)]
「この山でぼくにそんな口をきいたらただじゃすまないぞ」挿入[116(3)]
「文字なし」コマ削除[77(7)]
「それみろ」、「二度とじゃましにくるな!」コマ挿入[116(4)]
「ちょっとわがままがすぎるんじゃないか?」、「今夜こそてってい的にしかりつけてやるわ!」コマ挿入[116(5)]
「ガミ ガミ」コマ挿入117[(1)]
「ガミ ガミガミ」コマ挿入[117(2)]
「ヒラ ヒラ ヒラ」コマ挿入[117(4)]
「きみもよろこんでくれているんだね!!」コマ挿入[117(5)]
「文字なし」コマ挿入[118(2)]
「山の心よ、すがたをあらわしてくれ」コマ挿入[118(4)]
「モヤ~」コマ挿入[118(5)]
「すきなら、なおさらだよ」、「こんなくらしをつづけてたら、のび太はだめになる」コマ削除[78(9)]
「帰りなさい!」、「おそろしいめにあわせるわよ」、「やるならやってみろ!!」コマ挿入[118(9)]
「な、わかってくれよ。きみも、つらいだろうけど」、「どんなことしても、のび太をつれもどすんだ!!」に変更[119(1)]
「お願い、のび太のために…」コマ挿入[119(2)]
「スウ」コマ挿入[119(3)]
「山をおりろ!?」、「まだそんなこといってるのか」コマ挿入[119(5)]
「こにいればだれにもいじめられないし、たべものも山がだしてくれるんだよ!!」、「たべて生きてるだけでいいのか!!」コマ挿入[119(6)]
「こんなことつづけてたらきみはだめになっちゃう!!」、「かならずだめになるぞ!!」コマ挿入[119(7)]
「山よこいつをおっぱらえ!!」コマ挿入[119(9)]
「ぼくじゃないよ! ドラえもんを……」コマ挿入[120(1)]
「ブウン」コマ挿入[120(2)]
「な、なんで、あんなに仲よしだったのに」コマ挿入[120(3)]
「ありがとう…」、「きみ、ほんとにのび太がすきだったんだね」コマ挿入[120(5)]
[梗概] 先生やママに叱られたり、友だちにいじめられたりして、のび太の姿が見えなくなったとき、学校のうら山にいることが多かった。のび太は「あたたかいひだまりにねこんでいると、葉ずれの音や小トリの声が、なぐさめてくれるようで、いやなことも忘れてしまう。
だから、ゴミがすててあったりすると、はらがたつんだ。ぼくのへやを、よごされたような気がして」と語りかけるので、ドラえもんは感心し、「自然を愛するのはいいことだ。きみとこの山を、もっとなかよしにしてあげよう」とひみつ道具『心の土』を出している。
「心の土」をくだいて山のあちこちにばらまくと、まいた人と山の間に心が通い合うことになる。のび太がまくと、「サワ サワ」と木の葉が集まって、「フカ フカ」のベッドを作ってくれた。
山をきれいに片付けたが、落ち葉のベッドが昨夜の雨でしめっていると、木の枝がのび太を乗せて、「ピョン」と木の高いところに運んで、ベッドを用意してくれた。おやつがほしいと思うと、オレンジ色のきれいでとてもおいしい木の実を落としてくれたり、眠くなると、小トリがのび太のために子守歌を歌ってくれたりした。
のび太がジャイアンやスネ夫に追いかけられると、山は落とし穴を作ってくれたり、ハチに追いかけさせて、危機を救っている。しばらく、山に雨がふらないときには、のび太は草も木ものどがかわいていると思って、ひみつ道具「どこでもじゃぐち」を使って、たっぷり水を与えている。
しずちゃんから「近ごろ、のび太さんどうしたの。いつもひとりでどこかへいっちゃって」と質問された。ドラえもんも気になっていたので、山へ行って「山にばかりこもっちゃだめだよ」と注意した。すると、のび太は「ほっといてくれよ。ぼくは、この山がすきだし、この山もぼくがすきなんだ」と反論してきた。
ドラえもんが「山より友だちと遊べ。ひるねばかりしてないで、勉強もしろ」と再度注意すると、のび太は「この山でぼくにそんな口をきいたらただじゃすまないぞ」と腹を立て、ドラえもんを鳥たちに襲わせて、追っ払っている。
ママも「今夜こそてってい的にしかりつけてやるわ!」と立腹し、夜遅く帰ってきたのび太に対して、玄関前で、「ガミ ガミ ガミ ガミ ガミ」と強く説教をした。その晩、のび太は木の上のベッドで、「もう家へ帰らないぞ。学校へもいかない。ずうっと、うら山くんとくらすんだ」と決心した。
ドラえもんも山に行って、ひみつ道具『心よびだし機』から山の心を呼びだし、「もや~」と現れた山の心に「のび太をこれいじょう近づけないでほしいんだ」と頼むと、山の心も「いやよ。あたし、のび太くんが大すきだもん。帰りなさい! おそろしいめにあわせるわよ」と反論してきた。
ドラえもんは「やるならやってみろ!! どんなことしても、のび太をつれもどすんだ!! お願い、のび太のために…」と両手をついで頼んでいる。すると、「山の心」が「心よびだし機」の中へ「スウ」と消えてしまった。
のび太が山を下りろと命ずるドラえもんに対して、「まだそんなこといってるのか。ここにいればだれにもいじめられないし、たべものも山がだしてくれるんだよ!!」、「たべて生きてるだけでいいのか!! こんなことつづけてたらきみはだめになっちゃう!! かならずだめになるぞ!!」、との応酬があった後、のび太が「山よこいつをおっぱらえ」と命じた。
すると、「ズボン」と落とし穴に落ちたのはのび太であった。「ぼくじゃないよ! ドラえもんを…」と叫ぶと、ハチの大群が「ブウン」と山からのび太を追い払ってしまった。ドラえもんは「ありがとう…、きみ、ほんとにのび太がすきだったんだね」と山の心に深く感謝した。
家に帰り、のび太がふとんの上にションボリ座り、「信じられない。あんなにやさしかった山が…」と涙を落としていた。そのかたわらで、ドラえもんは「ゆめをみていたと思えばいいんだよ。わずかな間だったけれど、楽しいゆめを」と懸命に慰めていた。
[S1921・A2612・078101]