ひろびろ日本[★★]
[初出誌] 『ひろびろポンプ』、「てれびくん」1980年3月号、14頁、92コマ
[単行本] 『ひろびろ日本』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第21巻」1981年5月25日 初版第1刷発行、14頁、92コマ
[大全集] 『ひろびろ日本』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 19」2012年6月30日 初版第1刷発行、14頁、92コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『ひろびろポンプ』が『ひろびろ日本』に変更
[梗概] 土管のある広場で野球をやると、近くの民家の窓ガラスを「ガシャン」と割り、自分の家を希望すると、土地が高くて手に入れることができず、家にいると足を「ガツン」と階段にぶつけるのも、のび太に言わせると、すべて日本が狭いからだということになる。
もっと広い国に生まれればよかったと嘆いていると、ドラえもんは土地を膨らませて広げることのできるひみつ道具『ひろびろポンプ』を取り出してくれた。
この道具は本来、小島を大きくする機械であるが、思い切って日本全体を広げることになった。影響力が大きいので、『驚時機』で世界中の時間を止めて、このポンプを野比家の庭で使うことになった。
この機械の特徴は、家とかへいで囲った部分はそのままのサイズで、しかも、日本全体が拡大されるものである。『自家用人工衛星』を打ち上げて、モニターで日本列島を確認すると、のび太も「あんなにふとっちゃって!!」とびっくりするような姿に変容していた。
「タケコプター」で飛行しながら、空から眺めてみると、地面だけ広がり、家は離ればなれになり点在している。なぜか、道路幅はそのままで長さだけが伸び、レール幅もそのままで長さだけ伸びている。ドラえもんに言わせると、なぜそんなに都合よくなっているかどうかを説明すると長くなるとのことである。
広くなった日本の住み心地を試してもらうため、ドラえもんは『夢風鈴』を取り出し、寝ながら起きている日本中の人に、『夢スピーカー』で「いま朝になったつもりで、いつものとおりに生活してください」と呼び掛けている。
のび太がとなりまでたっぷり百メートルもあるので、心までひろびろとしてくると思って、学校へ登校していた。いつも十五分かかるから、十倍の距離になったので、二時間半もかかることがわかり、急いだが疲れ切って学校へ行くことを止めてしまった。
さらに、野球を広場でしたが、ジャイアンが「ガアン」と打つと、のび太は果てしなく追っ掛けなければいけなくなり、広すぎてどうにもならなかった。
家に帰ると、夏でもないのに、バカに暑くなってきた。ドラえもんは「太平洋のまん中を日本がふさいじゃったので、…、世界中が異常気象になった」ことに気づき、「農業や漁業もだめになって、食べ物がなくなる」ことを心配しだした。しばらくすると、「ドドドド」と部屋に水が流れ込み、外に出るとあたり一面大洪水になっていた。
ドラえもんは「海がせまくなったから、その分水かさがふえた」ことに気づき、元に戻すため、ポンプのホースを「スポッ」と抜くと、「プシュー」とものすごい勢いで、日本はみるみるうちに萎んでいった。のび太の「せまいままで広くできない!?」という矛盾した願いに対して、ドラえもんは「むちゃなことはいわないでくれ!!」と弁解に務めている。
[S1911・A2103・078003]