あやとり世界 [★★★]

[初出誌] 『あやとり世界』、「てれびくん」19774月号別冊付録、32頁、127コマ

[単行本]  『あやとり世界』、「てんとう虫コミックス ドラえもん短編第15巻」1978725日 初版第1刷発行、18頁、130コマ

[大全集] 『あやとり世界』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 182012430日 初版第1刷発行、18頁、130コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「つまんないな」が「つまんない」に変更[269(4)]

 「『もしもボックス』を出して!」が「「もしもボックス」を出してっ!!」に変更[269(6)]

 

 「ジャイアンがあやとりを!!」コマ転置[270(7)]

 「それからこうやって……」コマ転置[270(8)]

 「パチパチパチ」、「スネ夫さんあやとりの名人ね」コマ転置[271(2)]

 「はい、さかずき」コマ転置[271(3)]

 

 「かんたんなのでいいからやってみせろ!」が「かんたんなのでいいからやってみせろ!」に変更・校正ミス[272(2)]

「ちょっとぐらい待ちなさい、いじきたないわね!」が「しばらくぐらい待ちなさい。意地がきたないわね!」に変更[275(10)] 

 

「ウヒヒ………」、「あ~おもしろい」コマ挿入[273(3)]

「みごと!なげられたひもが生き物のように空中にひろがりまう!」が「みごと!!投げられたひもが生き物のように空中にひろがります!!」に変更[277(5)]

 

「トロフィーと賞金30億円がわたされます」が「トロフィーと賞金三十億円が手わたされます」に変更[279(8)]

「ビュー」、「もーいやだっ」コマ挿入[283(6)]

「文字なし」コマ挿入[283(7)]

 

[梗概] のび太が夕べ寝ないで考えた、「ほうき星」というあやとりをしずちゃんたちに見せても、少しも関心を示してくれなかった。ママに見せたら、「なんのやくにもたたないあやとりなんかやるひまがあったら、お勉強なさい!」と叱られてしまった。

 

 のび太は寝っ転がって、「つまんないな。あやとりのうまさで人のねうちがきまるような…、そんな世界があったらなあ…」と夢見ていたら、ひみつ道具『もしもボックス』で、あやとりが大流行の世界を作ってみようという考えが閃いた。そこで、もしも世界中があやとりに夢中だったらという電話を入れることにした。

 

 のび太が往来に出ると、ジャイアンが悪戦苦闘しながら、あやとりをしている姿が目に飛び込んできた。広場では、スネ夫が女の子たちの前で「さかずき」というあやとりを披露して、名人であるとほめられていた。

 

 のび太が「ニタ ニタ」と見ていると、スネ夫からやって見せろと言われたので、「自信がないけど…」と言いながら、「ササササ」と鮮やかに、「ほうき」、「三だんはし」などを次々に披露すると、絶大な拍手をもらい、女の子だけでなく、大人からも、「なんというあざやかなゆびさばき! 目にもとまらないはやさ…。天才だ!」という声援が乱れ飛んだ。

 

 家に帰って、勉強をしようとすると、ママから「勉強するひまがあったらあやとりのけいこをしなさい!」と命令され、「あやとりがへただといい大学やいい会社には入れませんよ」と言われてしまった。のび太は「なんとすばらしい世界だろう」と浮き浮きしているかたわらで、ドラえもんはなぜかとても不愉快な態度をとり続けていた。

 

  パパが急いで会社から帰って、テレビのところまで「ダダダダ」と走って、「パチッ」とスイッチを入れている。「プロあや」タイトルマッチがあるためであり、ママまでが、ドラえもんが「ごはんまだ?」と催促すると、「ちょっとぐらい待ちなさい、いじきたないわね!」と叱りつけられている。

 

 テレビでは、糸山さんの解説で、赤のコーナー世界チャンピオングレート・フィンガーと白のコーナー挑戦者アヤノ・トリローとのタイトルマッチが実況中継されだした。

 

 第一ラウンド、挑戦者が投げたひもが生きもののように空中に広がり、鮮やかな指さばきで、「川」を、チャンピオンは「パパパ」と一瞬の早業で、「富士山」を完成している。

 

 最終の第五ラウンドでは、必殺技の「大森林」を繰り出し、チャンピオンをノックアウト寸前まで追い込むと、過去に七回防衛に成功しているチャンピオンは起死回生の「銀河」を繰り出して、鮮やかに逆転し、トロフィーと賞金30億円を獲得している。

 

 のび太はプロあやとり選手権を見て、「ぼくもなろうかな」とパパに言ってみた。パパから「ユメみたいなこといっちゃいかん。あれはたいへんな才能と努力と…」と、即座に否定されてしまった。

 

 そこへ、全日本プロあやとり協会の人が天才少年の噂を耳にして、のび太をスカウトにやってきた。パパとママが「うちののび太ですか?」と信じられないでいると、契約金三千万円の話が出て、パパとママは「ドダッ」と卒倒してしまった。

 

 朝学校へ行く時間であったけれども、のび太が「きょうは行かない。うちであやとりの研究をする」と言うと、ママは「それはいいことね」とバックアップしている。朝食時に、こんどの選挙であやとり党が勝ったと、パパから紹介されると、のび太は今にあやとり大臣に、きっとなってみせるとドラえもんに宣言している。

 

 ジャイアンは熱心にのび太の弟子になることを志願し、しずちゃんたちものび太から広場で喜々としてあやとりを習っていた。ドラえもんも誘われたが、最初はほっといてくれといっていた。

 

 しかし、「今どきあやとりをやれないなんてはじだぞ、おしえてやるよ」と言われて、堪忍袋の緒が切れ、「手がゴムまりだからできないんだよっ」と叫んで、「ビュー」と家に帰り、「もしもボックス」で「もとの世界に、もどれっ」と電話を入れてしまった。

 

 すると、のび太がこれが銀河とデモしても、しずちゃんたちは急に興味を失って、「そう。おじょうず」と言って、サッサと立ち去ってしまった。

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