ジャイ子の新作まんが [★★★]

[初出誌] 『ジャイアンの妹思いはいいけれど…』、「小学六年生」19908月号、10頁、73コマ

[単行本]  『ジャイ子の新作まんが』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第44巻」1993525日 初版第1刷発行、10頁、73コマ

[大全集] 『ジャイ子の新作まんが』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1620111130日 初版第1刷発行、10頁、73コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『ジャイアンの妹思いはいいけれど…』が『ジャイ子の新作まんが』に変更

 

[梗概] ドラえもんがなかよしのネコたちと屋根の上で、「フニューゴ ニャ~ゴ。ミャ-オ ゴロゴロ ウニャ ニャ~ゴ」と合唱していたら、ジャイアンに「ゴチ」と石を投げつけられ、「うるさい、やかましい、静かにしろ!!」と怒鳴られてしまった。

 

  ドカンのある広場でサッカーを楽しんでいたら、ジャイアンが「さわぐな!! おまえら、近所めいわくってこと考えろ」と説教して帰っていった。

 

 ジャイアンが「ソロリ…ソロリ…」と玄関を開け、家に入り、「ジャイ子や、静かになったろ。いいアイディアがまとまったかい?」、「もうだめ!! わたし才能がないんだわ!!」、「なにをいうんだ!! ジャイ子は天才だよ。いつかは日本のまんが界を背負って立つんだよ」

 

  「もうすぐしめ切りなのに、まだ一ページも…」、「わかった! 兄ちゃんにまかしとけ。同人雑誌の茂手とかいう編集長にあって、やい、しめ切りのばすか、それとも痛い目にあいたいか…」、「しめ切りはみんなで決めたことだからわがままいえないの!! 気がちるからかまわないで」といった会話が続いた。

 

 ドラえもんとのび太がテレビの『オバQ』を「キャハ ハハハ ゲラ ゲラ ゲラ」と笑ってみていたら、ジャイアンがやってきた。「古代エジプトの悲しい恋の物語だって、なんとかラーメンという王さまの」

 

  ドラえもん「エジプトのラーメン王? ひょっとしてツタンカーメン?」、「そうそう、そのなんとかタンメン。それでなんとかコショーが必要なんだって。その時代の服とか家とか調べるの」、「時代考証のことだ」といたトンチンカンな会話が続いた。

 

 ジャイアンが「そこで、おまえらタイムマシンで、ちょこちょこっと写真を」というので、「そんないいかたってないだろ」と言いながらタケコプターで逃げ出した。

 

 「きみにとってはかわいい妹でも…、関係のないぼくらにまで石をぶつけたりどなったり、あんまりかってだよ!!」と抗議すると、ジャイアンは両手をついて謝り、「あんまりジャイ子がかわいそうで、つい…」となった。

 

 ドラえもんとのび太が古代のエジプトに行って、ピラミッドなどの写真をたくさん写して、ジャイアンに手渡した。写真をジャイ子に見せようとすると、「エジプトの物語はいきづまったから、中世ヨーロッパの話をかくことにしたの。アーサー王と円卓の騎士みたいな…」と言いだした。

 

 ジャイアンは「遠足の騎士か、わかった!! のび太、ドラえもん! たびたび悪いけど…」、「中世ヨーロッパの写真」、「恩をきる!! ジャイ子、写真をもらってきたぞ!!」となった。

 

 ジャイアンが家に戻るとジャイ子の姿が見当たりません。押し入れで「ゴト」と音がしたので、開けてみると、ジャイ子が「あーっ、せっかく新しい案が浮かび上がったのに!! ほっといてよ!! こうたびたびじゃまされたんじゃちっともはかどらないわ!」と泣かれてしまった。

 

 ジャイアンはドラえもんに「おれにじゃまされない仕事場がほしいと…」相談を持ちかけたので、のび太が以前に使ったひみつ道具『カンヅメカン』を紹介している。

 

 ジャイ子に「仕事が終わるまでぜったいに開かないよ。時間の進み方がちがって、中での一日が外では一時間にしかあたらない」と解説すると、「意外に広いのね」という印象であった。

 

 ジャイアンはカンヅメカンの外で、「イラ イラ ソワ ソワ」、シーンとしているからカンの壁に耳を付けてだいじょうぶかなと心配したり、「おれの知ったことか!!」とふてくされることもあった。

 

 そこへ、茂手モテ夫が原稿の進み具合を尋ねてきた。ふたが開いていたので、中に入るとジャイ子はかわいそうにグッスリ寝込んでいた、原稿ができあがっていたので、モテ夫に手渡すと、「ちょっと拝見…。「お兄ちゃん」?…へえ、平凡なタイトルだな」とひと声もらした。

 

 ジャイアンはうしろにバットをかくし、「もしもつまんないなどといってみろ! ただじゃおかねえからな」と身構えていた。モテ夫は「感動した!! こんなすばらしいストーリーは初めてだ」と絶賛して帰っていった。

 

ジャイアンは「かわいい妹と、わがままでらんぼうだけど妹思いの兄の話しだって。なにか…、ちょっとひかかるけどな」とドラえもんとのび太に話しかけていた。ドラえもんからは「まあまあ。よかったじゃない」と心から祝福されていた。

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