宇宙完全大百科 [★★★]
[初出誌] 『なんでものってる「宇宙完全大百科」』、「小学六年生」1990年5月号、10頁、76コマ
[単行本] 『宇宙完全大百科』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第42巻」1991年1月25日 初版第1刷発行、10頁、76コマ
[大全集] 『宇宙完全大百科』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 16」2011年11月30日 初版第1刷発行、10頁、76コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『なんでものってる「宇宙完全大百科」』が『宇宙完全大百科』に変更
[梗概] ジャイアンは「この目ではっきり見たぞ! スネ夫のすべり込みセーフだ!!」、チラノルズのキャプテンは「いーや、おれの返球がいっしゅんはやかった! アウトだ!!」と主張して、もめ続けたので、のび太は宿題があるので帰ることにした。
家に帰ると、パパは新情報がギッシリつまった全八十八巻の大百科事典を、セールスマンに売り込まれようとしていた。パパがはんこを押しそうになったとき、ママが帰ってきた。すると、セールスマンはママの「いりません!!」の一声で、野比家を飛び出している。
パパはママから「三セットも!! 読めもしない英語の事典まで!!」と注意され、パパが「これはのび太の勉強に役立てようと思って…」と反論すると、「のび太が一度でもこれを手にとったことがあります? どんなりっぱな事典でも、使わなければ宝のもちぐされです!!」とピシャリと言われてしまった。
のび太が宿題でわからないところが出てきたので、パパに聞きにいくと、テレビを見ていたパパから、「百科事典でしらべなさい!!」とめずらしく怒鳴られてしまった。
のび太が百科事典で調べてみても、どこにも「きょうの宿題」は出ていなかった。ドラえもんは未来の「宇宙完全百科」なら出ていると教えてくれたが、その完全百科の情報量はディスクにギッシリつめこんでも星一個ほどの大きさになって宇宙空間に浮かべてあるというほどである。
のび太が「宇宙空間に? そんなの読めないじゃないか」と質問すると、ドラえもんはひみつ道具『宇宙完全大百科端末器』を出してくれた。
この端末器は本の形の機械であり、呼びだしキーを押すと、電波が衛星軌道の大百科に応答を「ポン ピコ ピコ ピコ チーン」と求めるものである。調べたいことをマイクに、例えば、「宿題を教えて」と吹き込むと、「宿題は先生が出した課題を生徒が自宅で学習する」ことと出てきた。「なんだこりゃ」となった。
聞き方が悪いので、何年何月何日何学校の何年何組に出た宿題」とくわしく入力すると、解答つきで「カタ カタ」と出てきた。「そんなの丸うつしなんてずるいぞ!!」、「このつぎはきっと自分でやるから」と言い合っていた。
のび太は将来のことがちょっと気になったので、この端末器に「野比のび太の略歴」を調べることにした。「野比のび太 野比玉子の長男。勉強もスポーツも苦手、おっちょこちょい、弱虫でノロマ…」と出てきたので、アウトプット用紙をまるめて捨ててしまった。
その後が気になったので、アウトプットを続けると、「高校は…? もののはずみで合格! 大学…? 一浪ののち補欠入学。源静香と結婚」と出ており、さらに、証拠の写真も見ることができたので、「もうほかのことなんかどうでもいい…」心境になっていた。
ドラえもんが「おい、ジャイアンがカンカンだぞ! アウトセーフの判定がつかなくて多数決で決めることになったが、九対八ということに…。つまり、こっちのメンバーがたりらなかったんだ。のび太がこっそりぬけたせいで」と報告に来た。
「わあどうしよう!!」、「知らん!! ずるいことばっかりしてるからだ!!」といわれたとき、のび太は「草野球の記録はないの? ジャイアンズ対チラノルズ第九回戦。できれば写真つきで」と、マイクに吹き込むというアイディアが閃いた。
そのアウトプットをもって広場に行くと、「未来の百科事典にのってた公式記録だぞ。文句あるか」とジャイアンは鼻高々であった。
[S1677・A4219・069005]